思い出話~その1~
ゲームを嗜んでいて、過去何度も「心躍る」体験をしました。時には発売が発表されただけで、時には画面写真のあまりの美しさに、時にはプレイした直後の音楽に。今回はそんな思い出話の一つを書いてみようと思います。
最初の作品は近所の発売日、おもちゃ屋に行き、普通に楽しみにして、普通に買いました。内容的には当時似たゲームが全くなかったこともあって、友人やその兄弟たちと、ワンシーンワンシーンに一喜一憂して、とんでもなく楽しんだのを覚えています。
そして二作目、三作目は既に前評判が高く、確実に手に入れるためにそのおもちゃ屋に予約をし、足早に帰宅したのち、ドキドキしながら電源を入れました。しかし、テレビで見るような行列や、購入に際するドラマもなく、「手に入ったけど少し寂しい」気がしました。
四作目はあえて予約をせず、自転車で20分ほどのゲームショップで「出るだろう」と言われた「当日販売」に並ぶことにしました。ただゲームを手に入れるだけじゃなく、手に入れる課程も楽しむために・・・。
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授業を終え、財布を確認して、目的のショップに下見へ。時刻はまだ5時前。店も開いていて「並ぶ」というオーラをまとった戦士の姿はない。僕は同胞に電話をしに近くの電話ボックスへ。
「念には念を入れて今から戦地に赴くことにする」
「了解。こちらも直ちに現地へ向かう」※ややアレンジ
短いやりとりの後、ショップに戻ると、先ほどいなかった戦士が2名、臨戦態勢を整えていた。年の頃は12、3だろうか。まだ若輩者だが、その目の奥には獲物を狙う鋭い光がみえる。
「君たちも明日のミッションに参加するのかね?」
「はい」
短い返事。僕は彼らの横に陣取り、これから訪れる短く長い夜への準備を開始した。飲み物、食べ物は同胞が到着すれば随時補給は可能。体勢も問題なく精神状態も良好だ。ただ天候にやや不安は残る。幸い我々の陣地の上にはささやかだが屋根があり、多少の雨ならしのげそうだ。僕は僅かながら胸の高鳴りを感じていた。
そうこうするうちに、次々と歴戦の勇者たちが集まってきた。ある者は折りたたみのイスと傘を早々にセッティングし、その時が来るまで眠りにつく。またある4人組は、あろうことが雀卓を囲んで小雨降る中麻雀を始めた。そしてまたある者は恋人同士なのか、一つの傘で、、、イチャイチャするんじゃねぇぇぇ!
同胞も含め多くの戦士たちが、不規則ながらも前後関係だけはきっちり確認しつつ、坦々と時を過ごしていった。仮眠をしたり、テトリスで対戦をして立ち直れないほど強烈に負けたり、人数を数えてみたり(最終的には120人くらいだったかな)、、、。明け方、雨が降っていて気温は低かったはずだが、僕らの周りをぼんやりともやが掛かったような熱気が包み込み始めた。一台の車が駐車場に入る。店長がダンボール箱を持って降りる。
いつもより早めの開店予定時刻が告げられ、今一度順番が確認されるいなかのゲームショップ。
「バカばっかしだなぁ」
「お前もオレもな~」
ショップのシャッターが開き、「おまたせしました~」の声。ゲームを手にし、同胞にわかれを告げ、帰路につく。僕らはまだスタートラインに立ったばかりなのだ。
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