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2005年8月24日 (水)

行列する話

僕は並ぶのが嫌いじゃない。さすがにコンビニやプール脇にある焼きそばを買う時に並ぶ(もしくは不手際で待たされる)のはダメだが、ある種イベントとして捉えられる行列に付くことは「報われるまでのワクワク感」として捉えることが出来る人種である。

行列の出来るラーメン屋に並ぶ。空腹であればなおのことその時間は意味を持つ。おいしいから行列が出来ているわけで、並んでいればよりお腹も空く。結果おいしいものをよりおいしく食べる為の手段だと言えなくもない。

映画の開始まで並ぶ。最近ではほとんど経験しなくなったが、僕らが中学生の頃、アニメ最盛期には始発電車で最寄りの映画館に行っても、「既に1回目の上映が始まっていた」なんてことがあった。あまりにも人が多すぎて開始時間を早めてしまう。映画館に着いた時刻は朝6時半。依然チケット売場の前には列が並んでいるが、僕らは当然のように前売り券を握りしめている。期待する人の多さが僕らのテンションをいやが応にもかき鳴らす。誰もいない映画館の真ん中でひとりぼっちで映画を見たことも何度かある。でもホントは立ち見すらキツいギュウギュウの熱気の中で、同好のみんなと喜怒哀楽を共にしたいと思う。その方が絶対楽しい。

ゲームの発売に並ぶ。映画以上に「他人より早く」入手、プレイすることに意味があるのがゲームである。友人が自分より先に進んで鼻を鳴らされたらたまらない。ましてやそれが手に入れることすらままならないビッグタイトルであればなおのことだ。予約すればいいと思うかもしれないが、それは違う。少なくともそれは「試合には勝っている」かもしれないが「勝負」は放棄している。並んで手に入れたゲームはそこで「戦いに勝った」喜びを与えてくれる。ダーマの神殿に着いたとき、今後の自分の未来がかいま見える。必ず報われる時間は、そんな喜びも多分に内包している。

万博で並ぶ。これは正直やや弱い。なぜならその先にあるものの魅力が不安定だからだ。だが、「見た」という事実は今後死ぬまで失われず、見るためのチャンスもまた、時を過ぎれば永遠に訪れない。数少ないチャンスを活かして永遠の思い出を手に入れるための行列。それはまた一つの思い出になり得る。マンモスを見て「思ったより小さいな」と感じたとしても、それは見なければ決して抱くことが出来ない「リアルな」感想であり、体験なのだから。

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僕が並んだ行列で最も長かったのは、ポケモンカード最盛期に大阪ドームで行われたイベントの時。開演時刻は確か8時半くらいだったと思う。僕はその日行こうか行くまいか迷っていて、決断して会場に着いた時、時計は10時を回っていた。「こちらが最後尾です」。そのまま長く続く行列の末尾に付く。その時は「どのくらい待つんだろう」とか「どのくらいこの列が続いているんだろう」とか知るよしもなく、漫然と横幅15人くらいの列に付いた。

徐々にではあるが列は進んでいった。時折看板を持った兄ちゃんが「○○は売り切れました~」と限定販売の品切れを告知にくる。その度に行列からは落胆の声が聞こえる。「僕の目当てのカードは大丈夫だろうか」不安がよぎるが、今ここで出来ることは、少しでも(アンフェアにならない範囲で)前に進むことくらいしかない。行列の横幅は8人くらいになっていた。

長い直線の終わりで「ここからは4人で並んで下さい」とアナウンスされ、僕は今並んでいた場所から「よりドームから離れるように」階段を下り、進んでいった。そして階段を下り終え視点を切り替えると、そこには細く長く続く列が見えた。

 僕はそこから大阪ドームを2周した

1周ほどして入場口の前を通る頃には時計は既に4時を回っていて、「5時閉館予定」の文字が目に入ってきた。「僕は入ることが出来るんだろうか・・・」。周囲の人たちと一緒に言いしれぬ不安が僕らを襲う。僕は「報われる行列」は大好きだが、「報われない行列」は大嫌いなのだ。

日も大きく傾き、僕が入り口をくぐってグラウンドに続く階段に踏み出したのは5時40分。もちろん僕の後ろにもまだまだ列は続いている。彼らはみんな入ることが出来るんだろうか。一瞬思いを巡らせるが、それはそれ、今の自分には限定版ポケモンカードの方が遙かに重要である。気を取り直して8時間掛けた目的の品を探す。あった!レジのお姉さんに、

「これ100枚下さい!」

そんなに一度に買うお客がいなかったのだろう。少々困惑しつつも「もう閉館近いし」とお願いしたら「そうですね」と僕にカードを売ってくれた。かっこつけて言えばもう随分「おしている」。疲れもピークだったのだろう。終わる時刻もまだ見えない。流れ作業のように売場から押し出される僕の手にはカードの入った袋があり、瞳は目的を達成した喜びに満ちていた(やや脚色)。

会場を後にして帰りの切符を買おうとサイフを開くと、思いの外お金がある。「ん?」。死ぬほど疲れていた頭を出来る限り回転させて記憶をたどる。あの時お姉さんは僕に「ハイ1000円ですね」と言った。僕もその時は何も考えずにお金を出した・・・。

8時間の行列は僕が考えていた以上に報われてしまった。

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コメント

こんにちは、花の都パリを首都に持つ国家を名乗っておきながら、フラメンコスタイルで戦うバトルフランスがたまらなく好きな、ぴちょんくんです。
(奇妙なネタばかりですみません、竜駆さん・・・。)
行列に並ぶ事に関しては、予期していた時としていなかった時では気分的にも違っていたかと思います。
行列ができて、長時間並ぶ事が予期できていた場合は、ある程度は心構えが出来ているので耐えられると思うのですが、予想外に混んでいて長時間待たされるのではモチベーションの下がり具合もハンパではないかと・・・。
ただ、こうも思うわけですよ。
しっかりと並んでいてくれるだけでも、ありがたいかと・・・。
これは、私がガンダムの映画(ガンダムWと08小隊の2本立て)を観に行った時の事です。
たしか、劇場での限定商品で「1/144 ウイングガンダム・ゼロカスタム」の販売をやってまして、会館と同時に売店に人が殺到したわけですよ。
全体的に年齢層も低いためか我先にと購入を急ぎ、売店周辺はほとんど動けない状態に・・・。
映画館側もなんら人員整理する事もせず、そのためか購入した人達も身動きが取れず、後ろからはどんどん押しまくってくる始末。(そんな事しても順番が早くなるわけでもないのに・・・)
そんなこんなで、上映開始ギリギリでやっと購入できました・・・。(汗だくになりましたよ。ちなみに、途中経過は省略してあります。キレましたから・・・)
あと、思い出深い行列といえば、ガンプラの入荷日に並んだ事でしょうか。
自転車で隣町のショッピングセンターへ行き、開店前から並びましたよ。
目指すは、「おもちゃコーナー」のガンプラです。
大体、毎週日曜日に販売されるようになっていたようで、あとから聞いた話しでは、金曜日か土曜日には入荷していたそうで、お客さんの集まりやすい日曜日に一気に放出していたそうです。
でも、主婦のバーゲン品みたいな壮絶な取り合いは行なわれませんでしたね。
そんな事をしたら、箱や商品自体にダメージがいきますからね。
こういった部分では、なぜかみんな紳士的というか、なんと言うべきか・・・。
お互いガンプラ目当てという部分では敵なのですが、戦友みたいな意識もあったのかと思います。

投稿: ぴちょんくん | 2005年8月25日 (木) 16時38分

車はいいがミサイルに変身ってのはいくらなんでもどうよ?なクリスですども!


確かに予期せぬ行列というのは厳しいかもしれませんね。万博の時でも会場で待つのは許容範囲でしたが、会場に着く前の駐車場で直行バスに乗る際に2時間!ほど待たされたのはかなり予想外でした(^^;。確かに綺麗に並んでいるウチはそれでも「しょうがない」と言えるのですけどね。


ガンプラの行列、というかゲットの為に奔走する、というのは僕も経験があります。ただ自分の場合あるラインを境に「コネで買う」ようになったので、割と初期の頃ということになります。


店が開いた瞬間に今風に言えば傭兵のように身体を転がらせて店内に進入し(むしろ「侵入」か)、お目当てのブツを素早くサーチ。ここで「下段までキッチリ」スキルが発動しない場合はあっさりと後続に撃墜されるので、油断は禁物だ。それから「買おうかな~」と悩んでいるそぶりを見せるヤツにも気を許しちゃなんねぇ。ヤツはこちらが「買わないなら僕に譲ってよぉ~ん」と涙目で見つめたが最後、「やっぱ買おう!」これだ!まず間違いなくこちらの頬を涙で濡らさせる。また、予約していて安心しきっている心の隙にも戦士は容赦なく襲いかかる。ブツの入荷にタイミングを合わせ、「予約者のチェック」をする前にキャッシュを見せてしまえば、、、もはや店主に逆らう術はねぇ。っていうかこれは高等技術として俺も多用したもんだがな。それから最後にして最大のポイントは、「エルメス」は存在しないってことだ。「おじさん、エルメス絶対入ったらとっといてよ!」「ああわかったよ」・・・数日後俺が目にしたのは店からエルメスを持った戦士が。「何でとっといてくれなかったの!今買っていったじゃん!」「え?エルメスなんてガンプラは入ってないよ」「そんなばかな・・・」。なぜ買えなかったのか、賢明な読者諸氏ならみなまで語らずともおわかりかと思う。


あの頃の僕らには熱い風が吹いていた。ガンプラという大気圏突入時の量産ザクの表面温度よりも熱い風が。

投稿: クリス | 2005年8月25日 (木) 23時53分

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