フォーン・ブース
前述の前田さんのサイトより「90点」以上の作品をチョイスして借りることに。とりあえずなんだか「スゲェ面白そう」な筆致だったので、こいつを観てみることにしました。
話としては、一人の「やり手っぽいけど実はウワベだけ」な感じの男が出てきて、そいつがある電話ボックスで自分が切った直後に掛かってきた電話から
「電話ボックスから出たら殺す」
と言われる話。ぶっちゃけ以前見たウェズリー・スナイプス(ブレイドの人)の「スナイパー」という映画とほとんどコンセプトが同じだったので、僕にはそれほど新鮮みがなかったってのが惜しいところですが、そこはそれ最近の映画らしく「動機付け」に説得力がある感じ。まぁ
以下ネタバレ
自分が騙された故に、嘘を付くヤツが許せない。社会がどうとかオマエ自身がどうとかじゃなくて、単純に「嘘つきが嫌い」という性格というか「俺の中での正義」というか、上手く言えない自分がもどかしいけど、犯人に対して
オマエの気持ちはわかる
と思った。ムカついて殺してしまうという殺人事件が後を絶たない世の中だけど、騙された者にとっては嘘つき全てが憎くなるというのは至極当たり前だし、本当のところ、「殺したい」というより「嘘を告白して懺悔しろ」という気持ちが強くなる感じもわからんでもない。
この映画はとにかく終始ライフルで狙われ続けるので、ヒリヒリしまくり緊張しまくりなのだけども、ラストで主人公が自らの嘘(というか罪というべきかな)を告白するシーンはとっても気持ちいい。なんていうか「殺す側」の気持ちになるというと危険な思想に思われてしまうかも知れないけど、本当の意図として「殺すこと以上に望んだ答え」を主人公が提示したことによる爽快感は、想像を超えるものだったんじゃないかと思う。
とにかく犯人は「殺す気」で狙っていたのに、それを「いい意味で」覆されてしまったのだから。
ただまぁそう言った感じでラストは盛り上がるのだけども、正直中盤で「どうせ殺すんなら、さっさと殺せよ!」と電話ボックスからサクッと出なかったのは正直自分の感性とはズレるかな、と思いました。人によっては「諦めきれない」と思うかもしれないけど、あの状況で「生に対する執着」が著しく強いキャラクターとして描かれているわけではない主人公。正直「飛び出すのが普通」じゃないのかなぁ、と。まぁ奥さんとか不倫相手とか警官とか、どんどん「罪もない人」が周りに沸いてきてしまっては、そんなことも言ってられないでしょうけどね。★★★☆。
| 固定リンク
コメント