« 雷電III | トップページ | トヨタ博物館 »

2005年10月 7日 (金)

LEGO TECHNICS

10年以上前のある日、車で行けるところにトイザらスが出来ました。僕はわくわくしながら早速そこを訪れ、ぐるりと店内を見て回りました。そしてある場所に目が釘付けになったのです。

 LEGO TECHNIC

まだ物心もつかない子供の頃、親が買い与えてくれたブロックはかなりの数に上り、家や車を作るはずだった破片たちが雑然とおもちゃ箱に片づけられていました。最終的に親戚の子供の家に嫁ぐことになった彼らでしたが、(多くの子供達と同様)僕の心の底にも「LEGOの芽」が息吹く土壌が形作られました。

歳を経て目の当たりにしたそれは、僕の中の「LEGO」のイメージを大きく覆す物でした。明らかに幼児のオモチャであった過去のソレと比べると、あまりにもパーツは細かく、見た目もリアリズムを感じさせる物で、対象年齢も高めに設定されていました。そして何よりも僕を虜にしたのは、

 ギアがある

ことです。子供に限らず、男の子であれば多くの子供が「機構=メカニズム」に興味を持つ年代があるもの。古くはマジンガーZの解剖写真から昨今では自作PCに至るまで、「それっぽいメカ」はいわゆるオモチャとは一線を画す魅力を放つのです。

並んでいたアイテムはたぶん5種類くらい。価格も1000円前後から高いもので9800円までありました。確か1時間くらい掛けて僕はそこで、

8062MANUAL こいつをチョイスしました。確か高い方から二番目で、ハードケースに入っていました。家に帰って早速組み立て始めると、そこには僕の知らなかった世界が宇宙誕生のごとき加速度で広がっていきました。

子供の頃のレゴであれば、全てのブロックは「積層」で作るモノ。型くずれしない積み木と同尺度で、せいぜいそれにタイヤがある程度の代物だったのですが、そこで目にしたものはギアとギアをシャフトで繋ぎ、一つのハンドルで二つのプロペラが回ったり、アームを上下に動かしたり、格納庫が開いたり。穴の空いたブロックに無限の可能性を感じたのです。

僕はこれを買ってまもなく、そのトイザらスで一番高い値で売っていた「クレーン」が欲しくなりました。そして翌週の休みにすぐさま向かったのです。

しかしそれは無情にも売り切れていました。でも僕は「他のトイザらスでも買えるかも」なんて割と楽観的に考えて、その日は

8042MANUAL こいつを買って帰りました。こいつには前買ったやつにはない「ニューマティック」という空気を送り込んでシリンダーを伸縮させるギミックやバネの入ったサスペンションパーツなどがあり、

「こいつはちょっと大変なことになってきた・・・」

と僕なりの戦慄を覚えたものです。それはとどのつまり、「買い損ねたヤツ」を是が非でもゲットしたいという思いでもありました。

当時は箱の中にちょっとしたカタログが入っていて、その小冊子に載っているセットを見ては「これは絶対欲しい」とか「これは買わざるを得ないな」などと一人でうなっていました。そしてあることに気付くのです。

 このセット(こないだ買いそびれたヤツ)は今店に並んでいるものより古いな

そう。レゴは基本的に再販はせず、売り切れたらそれっきりだったのです。僕が買いそびれた9800円は、箱も傷んでいたし、最終処分として本来2万円程度のものが見切られていたらしいことがわかりました。要するに、

 猛烈に泣けました~(T-T)・・・

結局その当時は他に一つだけ↓

8829MANUAL 買って、僕の短いテクニックブームは終わりを告げました。

そして数年が経ち、ある日僕は他のホビー雑誌で「マインドストーム」のことを目にします。

コンピュータを使ってプログラムを記録したユニットを組み込むことでより複雑でテクニカルな動きをレゴにさせる。

またしても僕のハートに火がついてしまいました。今度はギアなんてもんじゃない。とんでもない事態が発生している・・・。まだ不慣れなインターネットを通じていろんな情報を集め、ついに僕は決断します。

 買うしかない!

そしてそこになんという偶然でしょうか。妹がハワイに遊びに行くというではありませんか。ハワイと言えばアメリカも同然(っていうかアメリカだけど)。国内でえらく高値で売っているマインドストームもきっとそれなりにお値打ちのことでしょう。僕は妹に「なんとかして買ってきてくれ」と懇願し、妹は渡米しました。

 そして1週間ほどして妹からの電話。

 「おにいちゃん、割り増し料金払ってよね!」

 とにかく重かったらしい。ジャマだったらしい。っていうか後に僕も行ってみてわかったのですが、飛行場からトイザらスまで結構距離もあったんですよ。僕はなんだかんだで3万以上払ってついに手に入れました。そしてたまたま来た友達と一緒に言葉にすると何のことはない、

 ビー玉を循環させるギミック

を朝まで掛かって作って、大いなる満足を得たのです。そしてそのマインドストームと、在りし日のテクニックが蜜月の仲であったことを知り、いくつかのサイトで情報を集めつつ、僕の中のテクニック魂に再び火が付きました。

この当時はビームからリフトへの移行直前で、パッケージもギリギリ青い旧パッケージを目にすることが出来た頃。海外から取り寄せたり、国内のサイトをしらみつぶしにして手に入れたりしていました。今思えば「もっともっと、親に金借りてでも買っとけば良かった」と思いますが、まぁそればっかりは仕方ありません。

ダラダラと書いてきましたが、最後に僕が買ったセットを軽い解説と共にご紹介したいと思います。っていうかそれなりに長いですけど。

8880MANUAL 非常に有名なテクニックの車です。たぶん最初の大箱で僕はこれを市内のオモチャ屋でも見ています。もちろんその時には興味も沸かず素通りしたわけですが、燃焼開始直後、その店の店主に尋問したのは言うまでもありません。黒いビームの塊は4WD&4WS。ハンドルを回すと4つのタイヤの向きが変わるという今の軟弱なテクニックギミックとは比べ物にならないハイレベルな機構を筆頭に、ディラクタブルライトやミッションに応じてエンジンの回転速度が変わる(動力がないのであくまで手動ですが)というのもタマリマセンでした。フランスのDIYだったか言うお店で1万円くらいの投げ売りがあり、行きつけのサイトで情報を得ることが出来たことを今でも感謝している次第です。

8485MANUAL そのショップで一緒に買うことが出来たのがこれ。国内定価が確か35000円くらいしたと思いますが、確か半額くらいだったと思います。こいつはさっきの車と違って作ってないので大きな事は言えません。ボタンでモーターの動きを制御する、マインドストームの前身的なシステムを搭載していますが、個人的には3つのグレイトな作例が可能な方向性を評価したいですね。ちなみにコスト的な問題が一番のハードルではありますが、今出しても結構売れるんじゃないかって思うセットでもあります。ティラノとか普通にカッコイイし。

8251MANUAL うって変わってこちらはかなり小さいセットです。店頭で普通に買えましたが、小さいながらも非常に完成度の高い作りでした。写真には載っていませんが、チョッパータイプにも組めたり、バネの後輪サス、全体のバランス、普通に手押しで直進する安定性。レゴテクニックの良さが存分に折り込まれていて、「こんな末端にまでここまで魂が込められているのか」とシミジミ感心させられた一品です。ファンも多いのではないでしょうか。

8277MANUAL 決してカッコイイセットとは言えないかも知れませんが、価格が安く、国内でギリギリ滑り込み購入出来たものです。今でもそうかも知れませんが、レゴは1パーツ(正式にはエレメントという)あたりいくらっていう感じで価値を計ることがままあり、定価ベースでダントツトップだったのがこのセット。記憶が確かなら546パーツで6000円くらいでした。モーターやらコントロールパネルやらが入っている8485とは比較になりませんが、当時は概ね「1パーツ20円」と言われていたので、かなり安いのは間違いありませんね。ちなみに、一番最近話題に挙げた8421のスゲェクレーンは1884パーツで26000円(ヤフオク)くらいなのですが、これはクリックブリックという「半直販」店経由での購入が可能な為で、本来であれば3万円はゆうにくだらないはずです。まぁそれでもかなり最近のは安くなりましたけどね。

余談ですが、テクニックが安くなった境目というのはたぶん、

8461MANUAL コイツの頃でしょうか。ウイリアムズのF1ですが、ほぼ直前に出た

8458MANUAL コイツと比べ、定価ベースで40ドルも違います。パーツが60しか違わないのにこの差は一体どこから来たのか今でも正直謎な部分が強いのですが、一つわかるのは箱の作りが大きく簡素化されたのです。こちらのシルバーチャンピオンまでは中箱がセロファンで中身が見える仕様になっており、種別に区分けされたプラはトレイとしても使えなくはないものでした。

しかし前述のウイリアムズでは中蓋がなく、パーツは袋のままドカドカと入っているだけ。作らずに並べてニヤニヤするコレクターにとっては正直寂しい限りの構成ですが、この価格差は全く無視出来ません(40ドルの差は国内では1万以上の差になることもザラです)。結局最近ではそんなコストダウンの流れが主流となって、先ほど書いたような1800パーツを超える大箱でも比較的手に届く価格に落ち着いてくれているというわけなのです。あ、あと組み立て作例が1種類のみ、という昨今の流れもローコストに一役買っているかもしれませんね(シルバーチャンピオンはトラックも組めたのです)。

8466MANUAL 1000パーツ前後の大箱の中でも歴代1、2を争う不人気セットがこちらの4WDです。何がマズかったのか、まだ組んでない僕には想像でしか語れませんが、たぶん構造がスカスカで、堅牢性が低く、ギミックに感動が無いためではないでしょうか。

テクニックを嗜好するユーザーが全て僕と同じとは申しませんが、やはりどこかに「驚き」や「感心」するポイントを望むもの。それがフォルムである場合もあるかとは思いますが、テクニックがテクニックであるのなら、やっぱりそこにギミックとしての見せ場は不可欠なのではないかと思う次第なのです。ちなみにトイザらスでもたたき売られていましたね。

8480MANUAL うって変わってこちらがレゴテクニック史に残る希代の名セット、スペースシャトルです。今でもヤフオクで見かけますが、このセットは本当に凄い。今のスタッフでは正直これと同レベルのものを構築するのはムリなのではないかというくらいの凄まじいギミックが折り込まれています。

8480B まずそのセカンドモデルである潜水艦からして凄い。メインのモーターは一つで、もう一つマイクロモーターが入ってるだけのセットにもかかわらず、フロント部分が三方向に開閉、ファイバーを使ったライトギミックの点滅、探索艇のリモートコントロール、もちろんペラも回転と、本来はファーストモデルで使ったパーツを上手く使って構築せざるを得ないセカンドでありながら見せ場がたっぷり。

そしてそのスペースシャトルに至っては目玉であるところの、上部ハッチ開閉、内部メカ(本当はもっと適切な名前があるんでしょうけど、不勉強な為知りませんごめんなさい)が展開し、マイクロモーターでソーラーパネルも開閉&回転。主翼のフラップは左右連動しているし、タイヤの収納は前輪後輪が連動。単純にこう書くとピンと来ないかもしれませんが、連動させるためにはわざわざそこをシャフトで繋げる必要もあるわけで、確実に動かしたとき「ニヤリ」とさせられるポイントでもあります。そしてブースター部分のファイバー点滅。まさに完璧なセットです。当時は最安値で1万ちょいで買えたチャンスがあったので、今の「ヤフオク普通3万円」に大きな抵抗があるのは否めませんが、内容的には間違いなくその価値のあるスーパーセットだと思います。

--------------

ひとしきりレゴテクニックの魅力を語ってきたわけですが、現状なかなかそれらセットを購入出来る機会がないのは残念な限り。でもお金と粘り強ささえあればオークションで見かけることもあります。もしこれを読んで興味が沸いた方がいらっしゃったら、まずお手軽なところで前述の8421モバイルクレーン1800パーツから始めてみてはいかがでしょうか。え?全然お手軽じゃない?いえいえもしここでそれより低価格の物を買うとするじゃないですか、そして感銘と驚嘆を持って世界に入るとする。そうなったときに

 もう売ってない

なんてことになったら、あなたどうします?

|

« 雷電III | トップページ | トヨタ博物館 »

コメント

レゴ用のモーターを探していたら、
ここにたどり着きました。
スペースシャトル、
すごすぎです。
ほしーーーっ!

楽しませてもらいました。

投稿: レゴ | 2006年1月19日 (木) 20時24分

はじめまして!テクニックは見るだけでもかなり訴求されちゃいますよね!以前は「積みコレクター」に否定的でしたが、今はそういう価値観もありかなぁなんて思っています。だって作らなくても十分かっこいいですからね。レゴの箱は。

投稿: クリス | 2006年1月20日 (金) 02時47分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: LEGO TECHNICS:

« 雷電III | トップページ | トヨタ博物館 »