ゴクウ
寺沢武一のコミック。ホントなら「傑作」とか「名作」とか前置詞を付けたいところだったけど、そう呼ぶにはあまりにも売れなかった。主人公「風林寺ゴクウ」は警察を辞めたあと私立探偵をやっているが、ある時ヤバイ事件に巻き込まれ生死をさまよう。しかし何者かの手によって一命を取り留め、まぶたを開くと彼の目には・・・。
オフィシャルな解説では、
「オレはゴクウ。オレの左目には小型のコンピュータの端末機がしこまれている。そして、こいつは世界各地あらゆるコンピュータと直結している。あらゆる情報が瞬時にオレの左目の中にとび込んでくる。その気になりゃ米ソのミサイル基地に入り込んで世界を破滅させることもできるのだ。オレの名はゴクウ。左に神の目を持った男。」
とある。全てがコンピュータ管理の近未来、全てのセキュリティを操作し、全人類のデータを把握可能、衛生のカメラは地上の針穴に通す糸さえも映し出す。そんな「左目」を手に入れたゴクウ。武術にも長けた彼はいくつもの難事件を(かなり力づくで)解決するのだが、、、。
結局途中で終わってしまってなぜ、誰が、何のためにゴクウに左目を与えたのかも明かされなかったんですが、自分はとにかくこの漫画が好きで、当時寺沢武一が凄く好きだったってこともあるけど、1話からしっかり追ってました。アニメも(川尻義昭さんだと思われますが)、とてもゴクウの雰囲気を掴んだ素晴らしいものだったし、今だったら文庫版になったやつがBOOKOFFにあるかも。興味があったら読んでみて欲しいです。特にコブラを知ってる人には「キャラ的にはほとんど同じ」ゴクウの世界はかなり入りやすいと思いますし。
さて、
そこでやはりというか思うのは「もし自分にそんな左目があったら」です。まぁ今の世界ではそれほどまでにコンピュータは入り込んでいませんが、時代背景も漫画のように近未来になり、何でも聞ける、何でも見られる、そんな思い通りの左目が手に入ったらどうします?
自分が弱いなぁと思うのはまずそれで「お金儲け」を考えてしまうことです。電気的な操作を要する公営ギャンブルであれば、確実に勝利を重ねていくことが可能でしょう。もっともそれによって得られるのは「お金よりリスク」なのかもしれませんが。
次に思うのは他人の私生活をのぞき見するような使い方かなぁとも。でも実際自分そういう趣味はないので、出来てもさほどでもないのかとも思ったり。まぁ学生時代なら好きな子の携帯(当時はなかったけど)を見たいとか思ったかも知れません。
能力があったからと言って誰かに褒められたり、自分という存在をより高みに登らせようと目論むのはなかなか容易ではありません。困っている人を次から次へ助けるというのも、スパイダーマンじゃないですが、そうそうそればかりやって生きていけるほど世間は甘くない。誰かの役に立ちたいという気持ちがないではないけど、自分と何ら関わり合いのない人間に無差別で手助けするほど達観してないんですよね。
あ、でも「いい方に使う」か「悪い方に使うか」ってなると、極限まで前者でいたいとは思うかも。「サトラレ」だっけ?人の考えていることが聞こえてしまうような人生は絶対勘弁して欲しいから。それって重くて汚くてツライだけだと思うし。悪い方に使うとどうしてもそういう声で自分が満たされていきそう。
「いい方に使う」としても「悪いやつを懲らしめる」というのはあり?でも「自分が正義」っていう考えは凄く危険なんだよね。自分のキャパが世界中の誰よりも広いくて他の追随を許さないお釈迦様のような人間であれば別だけど、「人が人を裁く」っていうのはなかなか出来るこっちゃないと思うし。
でも「スパム」とか「フィッシング」とかの詐欺はやり返してやりたいと思うかも。numeriさんのところにもあったけど、「やられる方の身にもなれ」ってのはクールだなぁって思う。でもなんだかそれって「神の目」を持つ人間のやることじゃないよな。
超能力がホントに欲しいと思ったとき(小学生のころ)もこれと似たような思考回路が働いて、結局「テレビのチャンネルを変える」程度の使い方が関の山だと思った。未知の力っていうのはスパイダーマンのオジサンも言うように「大きな責任が伴う」もんなんだろう。自分だけの世界じゃないのだから使い方次第でいくらでも人を傷つけるし、自分にも返ってくる。まぁそれはこんな「超人的な」ものだけじゃなくて、常日頃の自分のちょっとした一言にも同じことは言えるのかもしれないけどさ。
・・・逆に言えばそんな「一言」でも世界を動かせる可能性があるって事なのかも知れないなぁなんて思ったら、それはそれで(ずっとリアリティのある)夢が広がるのかもね。
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コメント
僕個人としては、すんごく良かった!マンガ
今まで読んだマンガで、
進めてもまずビジュアル的にも、
テンポ(サクサク読めないって言う意味で)的にも、
クリスさんは、読んでくれないだろうなーってマンガ。
でも、コアなこだわりや視点をそれゆえ共有したいんだけど・・・みたいな。
漂流教室(梅図かずお)
荒野の少年イサム(山川惣治 川崎のぼる)
悪魔くん千年王国 (水木しげる)
少年ケニア(マンガじゃなく絵物語)(山川惣治)
少年王者(山川惣治)
妖怪ハンター(諸星大二郎)
海竜祭の夜(諸星大二郎)
あしたのジョー
おれは鉄平
ちびまるこちゃん わたしのすきな歌(さくら ももこ)
カムイ伝(白土三平)
マッドメン(諸星大二郎)
まんが道(藤子不二雄A)
ゴルゴ13(さいとうたかお)
などなど、やたら暇で暇でやることないならまだしも、忙しい中
ゲーム、マンガ、ドラマ、など、若い時の様に手当たり次第ってワケにはいかないよね。でもでも万が一暇だしマンガ読みたいけどなんか無いかな??てな事があったら、
例記したマンガどれもかなりとっつきにくいとは思うけど、
いつか読んでほしいな~。
投稿: nori | 2005年11月15日 (火) 23時26分
どもども(^^)。漫画はインスピレーションが大事というかゲームと比べて「知識と検証」で好みの作品を抽出出来ないので、どうしても「手堅さ」に欠けますね。面白い作品ばかりを読み進められればそれが最高ではあるのですが・・・。
ご紹介戴いた中では「漂流教室」が途中まで読んで怖くなって止めた(^^;。「ちびまるこちゃん」は中学のとき少し読んでただけ。「まんが道」は愛蔵版持ってるってところですかね。でもどれも「濃い」作品なのだろうなぁと想像に難くありません(^^;。まぁ「クリスの濃い・・・」なので読むもまたよし、という感じではあるのですが、怖いのはやだなぁと本音が顔を覗かせる次第であります。でもジョーはいいらしいね。自分は「ジョー=出崎統のジョー」だけど。でもnoriくんが池上遼一を勧めないのはやっぱ「読んでるだろうから」ってのが理由かな(^^)。
投稿: クリス | 2005年11月16日 (水) 01時34分