M-1グランプリ2005
帰宅してテレビを付けると、画面には麒麟と決勝の文字。「麒麟が決勝に?」正直驚きを禁じ得ない。なぜなら画面で漫才をする二人からはオーラもなく精彩を欠き面白さが全く感じられなかったからだ。
タイムマシーン3号(以後TM3号)はどうなったんだろう
何よりもそこが気になったが続いて出てきたのは「笑い飯」。順当と言えば順当だが、そこでやったネタは既に、というかたまたま昔ビデオ録りしたのを昨日見たばかりの「バースデーソングネタ」。ぶっちゃけ決勝でやるほどのネタでもなく、正直ガッカリ。っていうかこのネタでチャンプは無理だろう?ってのが全くの本音だった。
実際始めてからも盛り上がりに欠け、審査員ともども笑いの波は少ない。僕なんかに言われたくはないだろうが、
今年はこんなにつまらなかったのか!?
という疑念が脳裏をよぎる。同時に品川庄司やTM3号は!?続いて出てきたのは噂のブラックマヨネーズ。あれから一つだけネタを見ることが出来、実力は感じた。ファイナリストはともかく、ラスト8人にこれまで残らなかったのが不思議なくらいのパワーもある。まぁお笑いはネタが命、とりあえず「笑う準備」をしつつブラマヨを見る・・・。
直前の二組がかなり自分としてはつまらなかったので、ある意味期待値が低めに再設定されていた感は否めないが、それでも十分に楽しめた。正直昨年のアンタッチャブルと比べれば「メーターの振り切れ感」はなかったものの、
「こいつらが優勝だな」
と思うには十分な出来。事実結果はそうなった。しかし僕の興味は既に別のトコロにあった。
「なんでこの三組なんだ!?」
ブラマヨはいい。確かに面白かった。正直過去のM-1のネタの中においては準決勝でももっと面白く、落ちてしまった人がいないとは言わない。それでも年々増え続ける参加者と他に類を見ない緊張感の中では、十分ファイナリストとしての役目は果たしていた。しかし、他の二組はどうだ。みんなこんな奴らに負けてしまったのか。それほどまでに他のコンビはつまらなかったのか・・・。
早速キャプチャを起動し、僕の大好きなTM3号から見てみると・・・。
「正直弱い」
いつものキレがない。ネタとネタのつながりも甘く、客席も盛り上がりづらい感じを受ける。僕自身そこそこは楽しめたが、ファンであることを差し引けば「準決勝敗退もやむなし」というレベルだった。「M-1には魔物が住む」とは某青空しょってで誰が言ったセリフだったか。
次に気になったのは麒麟である。あそこまでつまんない決勝、正直失速した準決のTM3号にも劣る。いったいどんな漫才をしたのか・・・。
「ペースがいい」
麒麟の漫才は正直あまり好きではない。スタートの「麒麟です・・・」から入って、基本的にツッコミの空回りをボケが抑えるテンポに「単位時間当たりの効率の悪さ」を感じてしまうからだ。しかしこの準決は違った。かなり早い。中くらいから大きい笑いが矢継ぎ早に起こり、ラストの気持ちいいオチまでほぼ完璧。言っちゃ悪いが過去に僕が見た麒麟の中ではダントツの出来。これなら決勝進出もする、会心で納得の出来だった。
一方笑い飯はどうか。
こちらも序盤から得意のWボケ連発。いつもなら二つのネタを連結して序盤から中盤、中盤から終盤という小、大二つの山を作ってくるところだが、今回は一つのネタを磨いて大きな山を一気にぶつけてきた印象。笑いを抑えるところがほとんどなく、かなり「イってた」。はっきりとTM3号より上を確認出来るレベル。
しかし二人とも決勝ではズタボロである。
さて、それでは栄光の覇者ブラックマヨネーズの準決勝はどうか。しょっぱな「ブラックマヨネーズで~す」などという紹介もなく、一気にネタに入っていく。気合い十分。加速もいい。一つのネタを徹底的に磨いて時間いっぱい「突いて」くる。グラフで言うなれば縮尺を小さくしたゼロヨンチャンプRRのフルチューンNSXみたいな感じ(みなさんご理解頂けていると判断します)で、はっきり言って決勝の1.5倍は面白かった。「1位→1位」も当然の出来とも言える。伸助も「95点」最高レベルである。
でも、
僕個人の好みという点で言えば、正直ブラマヨは好みじゃない。というか罵声を投げ合う漫才は見ていて愉快になりきれないのだ。確かに面白い部分があるのはかぶりを振って認める。でも「やすきよ」でも「B&B」でも、どこかに「怒ってるのはフリなのよん」的な「抜き」があったように思う。決勝の麒麟やブラマヨの漫才はもちろんネタでやってるのはわかるんだけど、見ていてなんだか「キツかった」。
僕がTM3号が好きなのはそういう気持ちに全くさせないところでもある。言い換えればツッコミにキレがないのかもしれないが、見ていて終始愉快なまま進んでいくのが、とても心地よい。目を覆いたくなる事もなければ、子供にでも安心して見せられる(まぁ安西先生みたいな「世代ネタ」は善し悪しあるけど)。
昨年のアンタッチャブルを大きく評価したいのは、やっぱそういう「ツッコミの優しさと上手さ」だと今更ながら痛感した。途中ちょっとした「諦めムード」を出してみたり、「あきれ顔」したりする息抜きと、烈火の如く突っ込む抑揚。場の空気に緩急があるからこそ安心して身をゆだねて笑っていられる感覚。
今回はM-1の空気にやられて落ちてしまったが、伸助も言ったように来年再来年とウデを上げたTM3号が見たい。その実力は十分にあると思う。そして今年で10年が過ぎてしまったコンビ。お笑いブームはまだ終わってない。強烈なネタはみんなの心にいつまでも残るハズ。ぜひ腹を抱えるくらい笑わせて欲しい。ブラックマヨネーズもチャンプの名に恥じない1年を過ごして貰いたい。アンタッチャブルなんて全然漫才しなくなっちゃって、スゲェ勿体ない気がしたから。
他に見た人いるかしら?
| 固定リンク
コメント
タイムマシーン3号、私も好きです!
投稿: ちーかま | 2005年12月27日 (火) 00時59分
M-1見れませんでした!タイムマシーン3合の漫才見たことないので、これから着目していきたいと思っています。
投稿: またんご | 2005年12月27日 (火) 01時08分
ちーかまさん、またんごさん初めまして。コメントどもです。
タイムマシーン3号は世代ネタが途中で挟まれるため、
年齢的に僕ら(30代中盤)くらいが一番楽しめるとは
思われますが、展開のよどみなさと、だじゃれ系の言葉遊び
の上手さはしゃべくり漫才の基本だと思います。
ちーかまさんは既にご覧になったかも知れませんが、
ウチのブログ11月26日の記事をご覧になって頂ければ
「爆笑オンエアバトル」で満点を取ったネタが貼り付けて
あります。Mpeg4コーデックが入ってないと見られませんが、
もしよろしければどうぞ。M-1のネタより面白いと思います
よ(^^)。
投稿: クリス | 2005年12月27日 (火) 01時52分