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2006年1月27日 (金)

キングコング見た!

正直見送りそうだったのですが、トムニャットさんメール大感謝っです!あなた様の後押しがなければ見ないで終わるところでした。この大作を!つか一人でレイトショー8時5分から。僕以外はカップルが二組。つか二人で映画見てても一言もしゃべらないんだね。今時のカップルは。つかしゃべりまくる僕が希有なのか。

今見てきたばっかなので、鮮度の高いウチにいろいろ書いておこうと思うのですが、まず前半は「CMだけ見た人用のネタバレなし」コーナー。後半に言いたいことを書きまくろうと思います。

●ネタバレなし

既にこの映画の結末はわかっているわけです。コングは最後には殺されてしまう。そこで悲しく寂しく終わってしまうだろうという先入観だけが大きく成長して、この映画の印象を「寂しい映画」と位置づけている人はいませんか?少なくとも僕はそうでした。CMを見る限り、ティラノサウルスと戦うシーン、街中で暴れるシーンが印象的ですが、実際のところ3時間近い尺の長さをしっかり飽きさせずに

 楽しませてくれる

極上のエンターテインメントです。序盤こそ現代の映画である故に欠かせない「理由付け」に多くの時間が割かれ、物語の展開にイラ立ちを憶えたことは否定しません。しかし、中盤以降とにかくスゴイ!ピーター・ジャクソンはこの映画を撮りたいが為にロードオブザリングでお金を稼いだんじゃないかってくらい贅沢にお金が使われています。ハリウッド系お金使いまくりムービーが好きな人にはまずオススメ出来ると思いますね。

あとビジュアルの出来の良さにも一言書かねばなりません。とにかく情感を重視したカットが多いのはLORでもご承知の通りだと思いますが、実際画面の比率が「1:2.2」くらい横長です。最近の映画はみんなそうなのかも知れませんが、それをしっかり活かしたカットがとても多い。こればっかりは劇場で見ないと何とも伝わりづらいかも知れませんけどね。

何にしてもレイトやファーストで1000で観たとしたら、まず損したと思わない豪華な映画ですよ(^^)。

●ネタバレあり

最初にスタンスを明確にしますが、僕はこの映画に95点くらい上げたいと思ってます。読み進めていくと「不満ばっかじゃん」と思われるかも知れませんが、それでもトータルではとても満足しています。何度も観たくなるタイプの映画ではありませんが、各シーンはとても完成度が高く、「怪獣映画」として極上の出来だと思っているのは間違いないのです。

さて、思い出せるにまかせて箇条書きにしてみます。

・ナオミワッツは、

ニコールキッドマンとケイトベッキンセールを足して割ったような正統派美人ブロンド。劇中での魅力が千変万化するあたりもこの映画にはピッタリ。僕は1976年のキングコングが「僕のキングコング」なのですが、彼女はその時のヒロイン(ジェシカラング)以上に印象に刻まれました。このマスクならコングが惚れるのも頷けると思いますね。

ちなみに彼女、前半のファッションではサービスカットなしですが、終盤少しだけ乳首が認識出来るドレスを着てます。だからなんだと言えばそれまでですが。

・画質は意図的に古くさせているのかなぁ、

と思いました。全体的に仕上げが粗かったりコマ送り的なエフェクトで方向感覚を見失わせるシーンも何度か。でもこれは時代背景として(恐慌の頃?)「絵」的な雰囲気を演出しようとしたからなのかも知れません。ただ、だから「リアル」だったのかと言えば決してそうではなく、むしろ

 CG技術がもっと進歩すれば今よりより以上に「らしい」絵になったんじゃないか

という印象すらありました。お金が掛かった素晴らしいCGではあるのですが、こと「リアリティ」という面だけで言えば、僕の大好きな「デイ・アフター・トゥモロー」に軍配が上がるかなぁという感じです。

ただ、「リアル」であることがこの映画にとってプラスなのかマイナスなのかは実際見比べた訳じゃないので何とも言えなかったりします。それはとどのつまりこの映画が「怪獣映画」であることに起因します。要するに「現実ではない」ことはわかりきってしまっているわけなのですから、そこに「必要以上のあがき」が正か否かは何とも言えないってことです。

ちなみに観ていて「これはCGだな」って分かるシーンはかなりありましたし、序盤の船のシーンなどで月明かりに照らされた甲板での会話シーンなどに「室内のライティング」を感じたりしました。この作品内でのウェイトからすればさほど取りざたすべきではない部分ですが、個人的には「惜しいなぁ」と思いましたね。

あと、コングに振り回されて暴れている人間はCGでも逆に違和感なく表現出来ていると思うのですが、むしろ恐怖がなくなって身を任せている状態で握られている彼女には抵抗を憶えました。要するに「人形に見えてしまう」のです。実際暴れてないんだから無理もないのですが、何というか「暴れない」なら手に握っているより肩に乗せてやれよ、というか、、、。まぁ途中から乗せてあげているから、「コングとの距離」を演出したのかも知れませんね。

・とにかくコングが出るまでが長い

現代の映画ですから出来る限り細部に至るまで説得力を持たせる必要がある、という考え方は理解出来ます。理解は出来るのですが、それが「面白い映画に必要かどうか」となると話は別。この映画を観た感想、最も印象に残ったシーンを鑑みると、とどのつまりティラノサウルスとの対決シーンなのです。理屈じゃないド派手な格闘シーンが「最高に最高」なわけで、そこで「なぜクロロフォルムや銃火器を大量に積んだ船で映画を撮りにいくのか」とか「なぜこんな怪獣がいる島が今まで見つからなかったのか」だとかっていうのはあまり大きな意味をなさない。

あと本来演じるはずだった女性が降りたことでナオミワッツに役が回ってくるくだりがあるのですが、正直そこも彼女のカリスマ性を刷り込むというシーケンスの為だけにあると思えば、全体の中でそれほど重要だったのかなぁとも思いました。つか確かに綺麗なんだから、「食うに困る」ほど落ちぶれているという設定はやっぱ無理がある気もしましたしね。

・恐竜のシーンが最高に良かった!

これはコングの映画ではあるのですが、個人的に一番印象に残ったのはティラノサウルスのシーンです。ビジュアルの質としてはジュラシックパークで既に刷り込まれている印象を覆すほどの新鮮みはないのですが、要は見せ方なんだなぁと痛感させられた次第。特に、

コングから逃げる→デカい肉食のトカゲ(食事中)に出くわす→そおっと逃げた先にもう一匹→穴に逃げ込む→あわやというところでトカゲがヒネリ潰される→「コングかな?ふぅ」と思ったら大ムカデ!→逃げたと思えばコングじゃなくてティラノ!→がんばって逃げ切ったと思ったら→すぐ横にもう一匹!→もう死ぬ!と思ったらコング!→さっきの戻ってきてVS2匹!→と思ったらもう一匹いきなり登場!

この下りはもう最高でした。とにかく「イイ意味で」連続裏切り。ある意味ターミネーターのしぶとさにも似た強力な演出。痛快無比で一人でニヤニヤしていましたね。この後の谷底に落ちながらの格闘シーンも絶品で、この映画は「怪獣映画」なんだとそれまでのイメージを一新した次第です。

・巨大な虫や芋虫系クリーチャーもいい!

僕が個人的に好きだというのもありますが、こういう虫系のドキドキ感は巨大な怪獣にはない恐怖と演出がありますね。っていうかこれは「日本の怪獣映画」にも見られるような演出な気がしたのは僕だけでしょうか。キングコングに対するリスペクトはもちろんのこと、監督は日本の怪獣映画もしっかり勉強してる気がしましたよ。

・ビルに上る理由付けが弱い

クライマックスは原作をリスペクトする監督としては「いじりようがない」ところだったのだとは思います。思いますが、正直今ひとつだった感も否めないんですよ。なんつーか76年のコングでは貿易センタービルに故郷の山をかぶらせるシーケンスがあって、「登る訳」が明確なのに対し、今作ではスケール感的にもなぜ登るのか伝わってこない。

最後に塔のてっぺんで絶命させる為になんだか本末転倒になっている、そんな気がしました。彼ならもっと「納得出来る」クライマックスが作れたんじゃないかなぁ。

あと、そのビルのてっぺんで普通に立ったりしてるヒロインにも違和感がありましたね。なんつーか「立てるわけないじゃん」と。あんな高いところであんな風の抵抗を受けやすい服で。スタジオの中で撮ってるのがあまりに露骨に伝わって来ちゃって、なんつーか冷めちゃったというか。

個人的にこのラスト周辺の結び方にマイナス5点という感じですね。

・ジミーや船長はどうしたんだろう

ってのはあったかも。あんなに苦労してコングを捕獲するまでキャラを立てていたのに、最後はすっきり「いなかった人」になってて。お偉いさんを何人も作るくらいなら、ワンカットでいいから事後処理して欲しかったね。

・逆にご都合主義でいいと思ったシーンもありますよ。

例えば虫に襲われるジャックをマシンガンでジミーが助けるところや、コウモリにぶら下がって脱出するところ、落下シーン全般はあれでいいと思います。コングが戦う場所が開けていたり、草食恐竜に追われるシーンがまるで通路のようだったり。あと船員があんなにたくさん死んでも来るときあんな苦労した海域をあっさり脱出して帰ることが出来たりね。まぁワガママ言ってますね。

・ジャックがもうちっと男前でも良かったかなぁ

とも思ったり。つか最初の印象ではジェイクギレンホールあたりがいいんじゃないかって思ったけど、まぁそれはデイアフタートゥモローの印象が強すぎなのかな。ジェイクは予告で他の映画に出てたみたいだし。

・遠景の中に小さな被写体ってシーンはLORにもよく使われた技法だけど、今回もいろんなシーンで使われていていい感じ。個人的には虫から助け出された後のコングが岩山を登るシーンが好きです。つかよく見ないと見つからないっての。

・しかしあんな夕焼けが見えるほど霧が晴れてたら、普通見つかるような気がする。

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もうほとんどやってる映画館はないかもしれないけど、ぜひとも映画館で観たい作品には間違いありません。その時はなるべくスクリーンが大きく見える席に座って欲しいと思いますね。テレビではこの映画は半分も楽しめないと思いますし。

ちなみに一番最後まで観ると、スタッフロールの後に、

「この作品をオリジナルスタッフに捧げます。あなたがたの映画で勇気を持つことが出来た人がたくさんいます」

みたいなメッセージが表示されました。見てない人も多そうですね。

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コメント

ども、トムニャットです。今週はとにかく凹むことばかりだったけど、頑張った自分へのご褒美としてDSソフト「メトロイドプライムピンボール」「弾爵」を購入しました。おかげで昨日の晩飯はココア2杯でしたが(汗。前者はピンボール好きなら◎、後者はDSに縦シューは合わないようで△。

まあそれはいいとして、キングコング、大いに気に入っていただけたようで一安心。というか、この映画はクリスさんの方が先に期待の一本として挙げられていたので、むしろ私の方が感謝です(^^)。
自分は昨年の宇宙戦争やEP3以上にこの作品に惚れ込みました。1976年のオリジナルを観ていないからなおさらなのでしょうね。ネットでレビューを見るとオリジナルをご存じの方の中には、監督の性格や、コングとヒロインの「両想い」に不満がある人が結構いらっしゃるみたい。(読んでみるとなるほどと思える)。
しかし私にとってキングコングといったら「他のキャラよりジャンプ力が高くて、しかも攻撃力大の頼れるヤツ」というヒロイックなイメージなので(^^;、今回のPJコングは映画史に残るべきヒーローと勝手に思っています。
今こそべた褒めしてますけど白状すると、見る前は「大猿が暴れて面白いのか?」という先入観があったのは事実。おそらくこう思ったのは自分一人だけじゃない。その点CMがヘタだったのかなぁと思いますね。「感動しました。泣きました」という呼び文句は明らかに間違っていた。この作品は極上の娯楽作なんだから。
かといって、クリスさんも一気に引き込まれたと仰っている例のバトルシーンを事前に流されたら全く興ざめだったろうし、仕方ないかな~。

キャスティングについてはナオミ・ワッツ、美人でしたね。まさにこの映画のための女優さんだと思いました。
一方、男優陣の監督や劇作家は二人とも良くも悪くも「濃い」顔で、「スクールオブロック」や「戦場のピアニスト」の残留イメージに悩まされました(笑。エイドリアン・ブロディが猛烈にタイピングするシーンはもしかしたら「戦場の~」のオマージュかも?

エンドロール最後の一文は、しまった~見逃してしまいました。。。PJ監督、気が利いていますねぇ。

今思い出しましたが、MI3の劇場予告も流れていましたね。映画ファン失格なことにMI3が今年ロードショーということを全く知らなかったので非常に驚いてしまいました。もっとも、その後に見たコングの衝撃により、現時点まですっかり意識の外に追いやられていましたけど。

ま、とりあえず、キングコングはDVD購入決定です。LORのようにカットシーン補完版を期待したいですね。

投稿: トムニャット | 2006年1月28日 (土) 12時15分

うすトムニャットさん、DOSまであと3週間となりましたね。先日買った中古ゲーは結局ほとんどプレイせず、相変わらずブログ書いたりPSOやったりの毎日です。ですからコングは久々の映画となり、内容もさることながらとてもいい気分転換にもなりました。まぁ待ち時間、予告、スタッフロールを全部含めて4時間近い拘束時間には結構疲れましたけど(^^;)。


「メトロイドピンボール」。
誌面では結構なグラフィック。でも自分的にコンピュータピンボールではKazeが作ったSSだかPSだかのやつ以上のものがないんですよね。っていうか自分はピンボーラーじゃないのですが、とにかく


 球の重み


が感じられないと面白くないというか、ピンボールこそリアリティが大切なんじゃないかと思うわけです。なんつーか「もっともっっっっっと効果音を大事にしろよ、」と。「物理法則を無視するな!」と。最近「それはポンから始まった」を読んでいてピンボールの歴史に触れたから余計そう思うのかも知れませんね(^^)。


>キングコング


ちなみに1976年のはオリジナルではないですよ(^^)。オリジナルは1933年のものかな。ピータージャクソンはそれにインスパイアされているのだと思います。ちなみに1977年頃のとある日曜日の昼間に、テレビで再放送されていたのを見た記憶があります。もちろん白黒で、登るのはエンパイアステートビル。'76コングと比べるとどうしても見劣りしてしまった印象だけがありましたが、「最初の強み」っていうのは紛れもなくあったんでしょうね。


Mi3のCM、確かにやってましたね。つかトムが映った瞬間に「アレか?」って思いました(^^)。内容的には普通に楽しみですが、監督は誰なんだろ。でもその前あたりに「XIII」があるんじゃないかと思うのですが、逆にこっちは監督が代わってるからあまり期待せず。


でも映画はやっぱ監督が何より大事というか重要なんだなぁとコング見ても思いましたね。とにかく「思い」が一番出るのが監督なわけで、オリジナルに対する敬意を何より強く感じさせました。となると個人的にはやはりスーパーマンRやローランド・エメリッヒ監督の次回作に期待してしまいます(^^)。つかウシャウスキー兄弟はなんか撮ってるんですかねぇ?

投稿: クリス | 2006年1月28日 (土) 22時29分

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