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2006年2月27日 (月)

値入のこと

 ★堅い話なんで興味ない人は読まなくてもいいよ~★

値入(ねいれ)とは読んで字のごとく「値段を入れる」、要するに売値を決めることだ。仕入れ値や競合店、広告、時にはその日の気分で値入をすることもある。まぁ大手であれば確実な粗利(儲け)を取る前提でマニュアル通り行われることがほとんどだろうが、ウチみたいな弱小小売店は結構いい加減なものである。

値入は「値入ミックス」という、「これは安く売るけどこっちで高く売ってトータルでバランスを取る」という手法が取られることも多い。量を売る品、見せる品、目玉商品、季節を先取りした品などさまざまな要因で値段は決まるわけなのだが、末端の部分でお客様に与える心理的な印象を考慮することも珍しくない。

その最たる例が「980円」という価格だ。消費税が導入されてこの方「1000円札でお釣りが来る」という本来のイメージは崩れてしまったが、それでもこれまでの印象は深く刷り込まれているから「大台を割る」プライス設定というのは常套手段と言える。実際は税込表記となったことで心象をギリギリキープしつつ値下げを余儀なくされた「999円」という価格帯や、競合対策で「970円」「899円」という設定、逆に切りよく「1000円」とする場合もある。

仕入れ値がある以上全て気持ちのいい売値にすることはままならないが、そうした末端部分での、言わば小手先の技による心理戦は間違いなく存在する。

 もう少し踏み込んで金額をバラしていく

僕らが仕入れをする際商品ごとにある程度「ポピュラーな売価」というのが存在する。先ほどの「980円」というのもそうだし、タオルや靴下なら100円売り、エプロンなら399円、599円などだが、問屋サイドもある程度それに併せて提案をしてくることが多い。

「980円で売れるように699円まで値下げしました」とか
「49円で出しますから100円で儲けて下さい」とか。

これはもちろん衣料品の値入率、それもウチの店近隣のレベルであるから、全国区では699円の仕入れで799円に付ける所もあるかも知れないし、逆に30円で仕入れようと200円で仕入れようと「3足1000円」にしてしまう店もあるかも知れない。もっと言えば集客用のチラシ商材として50円で仕入れて10円で売ることだってあり得る話なのだ。

そこで思うのは、お客様は「いくらに安さを感じる」のか、ということだ。もっと言えば実際の金額差が同じでもより安く感じるラインが存在する、ということだ。

生活環境が違うからこれから出す例にピンとこない方もいるかも知れない。自分なりに咀嚼しつつ読んでもらえれば幸いだ。89円と99円の差と99円と109円の差は同じではない。「率」という観点から言えば前者の方が差額率は高い。が、お客様に与える印象は明らかに後者の方が大きいだろう。逆に180円と199円の差は380円と399円の差と比べてさして大きくなかったりする。字面だけ追っかけてしまうとなんのこっちゃと思われるかも知れないが、「200円以下」というカテゴリー内の差と、「ポピュラープライス399円より少し安い」という印象の差は、意外にも後者に軍配が上がるケースがあるのだ。

しかしその一方で「399円」なら、本来500円、480円にしたかった価格を何とか300円台にギリギリ下げた、という見方も出来る。要するに「ゆとりのなさ」に安さを見つける感覚だ。同様に379円や365円という中途半端な設定に「仕入れ値からのギリギリ感」を見いだすこともあるのだが、実際小売りベースでは単に「曖昧な税込価格」とくくられてしまうのは、正直残念なところだ。

 他に予め定められた売価に縛られるケースもある

例えば目の前に「100円」の品物があったとしよう。百均ショップならその対象も非常に多いからイメージが掴みやすいかも知れない。さて、その100円の品物、当然理解していると思うが、仕入れ値は同じではない。全部が全部60円ではないし、全部が全部90円でもない。中には「タダ」で仕入れ先から貰う事だってなくはない。

百均ショップで有名なダイソーの社長の講義を拝聴したことがあるが、氏はこの会社を興す前借金取りに追いかけられるような苦しい生活をしていたという。とにかく何かにつけて不安がいっぱいで、品揃えに関しても「売り逃したくない」という心理が非常に高かったことで、あの莫大なアイテム数を揃えるに至った。そして仕入れ値もかなりムチャなものがあったという。それは、

 「全国で1000店舗あって、そのそれぞれのお店で100個ずつ売れれば、1個あたり1円の粗利でも10万円の儲けになる。そして10万個というロットなら大抵の物は作れる」

という話。在庫を持つということは回転を鈍らせるということであり、経営効率を考えたら決して褒められたことではない。しかし出店直前のセブンイレブンがそうであったように、ニーズや市場は常に変化し続けるのだ。

ダイソーの品揃えは行くたびに感心させられる。どういう作り方をすればこれが100円で売れるようになるのか見当も付かない品がたくさんある。その裏には「ロット」という当たり前の仕組みだけじゃなく、社長の小心者な一面も見逃せずに存在する。

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 そんなこんなで仕入れ担当がいくら率を切りつめて値入したとしても、それが全く意味をなさないケースも存在する。それはぶっちゃけ「仕入れ値そのものが違う」場合だ。わかりやすいところではボウケンジャーやプリキュアなどのTVキャラクターが「旧キャラ」になってしまった時などに、かなり大幅な仕入れ値の値下げが発生するが、純粋に仕入れ努力、メーカーの製造努力によって単価が大きく変わることも少なくない。先ほどロットの話を書いたが、たくさん作れば安くなるのは当たり前のことなのだ。

ユニクロや通販などは特にそうした「ロット」に対する結果が直接的だ。死に筋の売れない色まで取りそろえるマイナス面を多店舗展開と大量発注で埋め合わせたり、送料、手数料、カタログ、広告費の分だけ商品の品質を落とさざるを得ないこともままあるのだ。実際低価格帯の衣料品通販に関しては、かなり特殊なサイズなりデザインなりを除いて、通常の小売店より品質が良いケースは稀だということは覚えておいてもいいと思う。自社企画で物作りをするということは、当然価格にリスクが乗っている。「メーカー直販」というのは「リスクを分散しきれず売価に乗せてしまう」ケースも存在するのだ。
※これが食料品やら電化製品やらとなるとまた話は変わってくるけどね。

 最後に、、、

特殊な才能や比類ない努力を要求されない仕事であっても、まじめに働いてそれでも安定した収入を得られないというのは、どこかで誰かと競合しているということだと思う。要するに何かで負けている。しかし一方では苦もなく高収入を得ている人もいっぱいいるわけで、そういう人はきっと「戦っていない」んじゃないかとも思う。独占や寡占というのは意図して成すこともあるが、結果として成立してしまうことも少なくないのではないか。「戦うこと」が人々の暮らしをよりよくするとされる今の日本だが、本音の部分では「戦わずして勝つ道」を見つけたいとも思う。

なんだか支離滅裂し過ぎだったかも。たまにまじめな話を書くとこれだからいかん。

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