メトロイドの思い出
ゲームの思い出話はそこかしこで書き込んでいるので、正直「かぶってる」かも知れませんが、まぁその辺りは「忘れたフリ」をしていただければ幸いに存じます。
●出会い
当時鳴り物入りで登場したディスクシステム、その第一弾「ゼルダの伝説」の完成度はとてつもなく素晴らしく、当時の僕にしてみれば、昨今のプレステ2やゲームキューブなどとは比較にならない盛り上がりでした。何しろマニュアルからして超豪華!カラーイラストでも紹介されるモンスターは、当時かなり大きなムーブメントとなったドルアーガの塔のベクトルを量、質ともに大幅グレードアップしたような完成度。以降こんな凄いゲームがたったの500円で出来るようになるなんて、、、軽いめまいを禁じ得ませんでした<オッサンかっ!(C.タカトシ)。
しかし次に現れた「謎の村雨城」「パルテナの鏡」はアクション要素が強く、「ゼルダのような」アクションアドベンチャーを期待した僕としてはちょっとした失望感を味わったのも事実。まぁ悪い作品じゃないんですけどね。
しかしそんな中にあって、ゼルダに負けず劣らずの輝きを放った数少ないタイトル、それが「メトロイド」でした。
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メトロイドはゼルダとは全く異なるサイドビュー(横からの視点)で展開するジャンプアクションを基調としたアクションアドベンチャー。巨大すぎる地下迷路をハイレスポンス&ダイナミックな操作で駆けめぐり隠された武器やアイテムを探しつつ、惑星ゼーベス中枢にいるマザーブレインを破壊するのが目的。BGMもおどろおどろしいものから勇壮なもの、厳粛さを感じさせるものなどどれもが世界観にバッチリ合っていて、「ディスクゲーは音楽がいい」というイメージを盤石のものとした。
システム面でも様々なエポックメイキングが盛り込まれている。集めることで体力やミサイルの最大値が上がっていくファクターは似たようなものがゼルダにもあったが、その隠し要素がより強くより多彩なものになり、「調べ尽くす楽しさ」を構築。同時に「ボムジャンプ」に代表される「やってみたら出来た」的な隠しキャラならぬ隠しアクションはシリーズの重要な魅力にもなっている。
アイテムの中では、回転ジャンプが完全無敵になる「スクリューアタック」の印象が強い。テクニックや学習、記憶で難関をくぐり抜けるのが通例であったこれまでのアクションゲームの常識を打ち破る「消費しない無敵アイテム」。その爽快感たるや筆舌に尽くしがたく、その時の興奮は今でも覚えている。
クライマックスの演出も憎い。手強いボスを倒した途端に始まるカウントダウン。崩れ落ちる要塞からの脱出は否応なく手に汗握る名場面。そしてエンディングで証される主人公サムスの秘密・・・。
プレイが洗練されていくことで短時間でのクリアが可能になり、そしてそれすらも意味を持たせたマルチエンディング。最初途方に暮れた大要塞は、プレイを重ねるごとにまるで自分の庭のような居心地のよさを醸し出し、クリアタイムが2時間を切る頃には、自分の中で忘れられない名作になっていた。
僕がよく言う「加速感」がとても強く感じられる傑作。それがメトロイドである。
●モノクロ
予想に反して続編はゲームボーイでの登場となった。内容的には1作目を踏襲していたが、「スペースジャンプ(何もないところでも繰り返し空中回転ジャンプが出来るアイテム)以外に目立った新要素はなく、各マップの個性付けのしづらいモノクロ画面、ましてや派手な動きでは液晶がついてこられず、勢いこぢんまりとした印象に。まぁクリアはしたけどあんま良い印象はなかったな。
●スーパー
メトロイドの魅力はたくさんあるが、特に僕が惹かれたのは「偶然」を意図的に仕込む技術だ。本来ならマニュアルに記載するか、ゲーム中で具体的な操作説明をして初めて使い方がわかるようになる「テクニック」を、サムスのポテンシャルと良好な操作感の上に「無説明」で「使えるようにさせる」マップ構築。
中には体得しなければ先に進むことすらおぼつかないレベルのものもあるが、その多くは「出来ればちょっと得する」程度のモノ。しかしそれがあるからこそ普通にやるよりも効率よく回ることが出来たり、普通のプレイでは手に入れられないようなアイテムが手に入ったりする。
メトロイドはそうした「まさか」にもきっちり対応している。「まさか」こんなところにないだろう?という場所にもミサイルやタンクが隠されていて、「探す」ことの意味、モチベーションの維持が非常に上手く、強い。「いろいろやってみたくなる」というのは奥の浅いゲームではありえない。スーパーメトロイドは当時の僕をして「奇跡のゲーム」との認識を得た。価格はすぐさま大暴落してしまったが、その印象は今でも変わらない。
●フュージョン
スーパーから幾年月。結局64では「スマブラ」にゲスト出演するにとどまり、ついぞ後継者をみることはなかったが、GBA、GCでその均衡が破られた。
GBAのポテンシャルはSFCのそれの延長上にあるが、一番違うのはROMに割り当て可能な容量だ。SFC時代のポピュラーサイズ8~16Mビットから、GBAでは32~256Mと飛躍的に大きくなっている。フュージョンなどのアクションではその恩恵を大きく受けることは稀だが、それでもビジュアルは明らかに強化されたと言っていい。
システム的には敵からエネルギーを吸い取るという要素が加味されたが、何より印象に深いのはダークサムスの存在だろう。RPGなどでは比較的ポピュラーな「ドッペルゲンガー」のような存在であるにも関わらず、そのポテンシャルは明らかに主人公のそれを凌駕し、出会ったときの恐怖感たるや、筆舌に尽くしがたい。機が熟すまでは直接対決を避けるよう行動することを余儀なくされるが、常に頭の片隅に存在を植え付けられる感覚は、ある種バイオハザードにも通じる。
ダークサムスのみならず、通常のボスにもかなりの強敵がいる。完全に敵のアルゴリズムを見切り、的確な操作をし続けて初めて勝利できるバランスは、「メトロイドはアクションゲームである」ことを再認識させられる。この辺りのチューンはロックマンのボス戦にも似ているか。
器こそ小粒だが、その内容はかなりハードで、達成感の高さはシリーズの中でもかなりのもの。見た目が少々生物的なサムスに違和感がないと言えばウソになるが、駄作では決してない。
●プライム
これまでのサイドビューから完全な3Dポリゴンの箱庭になったゲームキューブ版メトロイド。見た目は激変したが、やってることはメトロイドのそれに非常に近く、原作へのリスペクトと現代の技術、センスを集積したレトロスタジオ渾身の作品。
海外での評価も高く、僕自身かなりがんばったが、、、惜しくも途中で挫折。唯一クリアしていないメトロイドでもある。
挫折したと言っても決してつまらなかったからではなく、攻略サイトを覗いてしまったことでテンションが萎えてしまったのが原因。このタイプのゲームはいくら難しくても独力で抜けてこそ面白いと痛感した次第。
任天堂のソフト全般に言えることだが、メトロイドもマリオも、「2Dのような軽やかさ」で操作出来る。みんなあまり取りざたしないが、「ポリゴンジャンプアクション」の質に関しては正直他の追随を許さないと思う。
●ゼロミッション
初代をGBAで焼き直した、と称された作品であったが、内容はかなりのリファインが為されていて、未経験者よりむしろ経験者の方が楽しめる。
挙動がかなりクイックになり最初とまどいを感じるが、しばらくやっていくと「むしろこちらの方が気持ちがいい」ことに気づくはず。ゼロミッションをやってからフュージョンをやると、そのモッサリ感がかなりキツイ。
焼き直しとは言ってもマップもほとんど異なるし、例のクライマックスシーンの後にもサービスセクションが儲けられていて、隠し技も豊富にある。全てのミサイルを取るにはかなりのやり込みを要する点も「わかってるなぁ」と感じさせるし、個人的には一番オススメ出来るメトロイドかも知れない。
●プライム2
ピンボールを除けばこれが事実上の最新作。ビジュアルの美しさは単にグラフィックが綺麗というだけでなく、しっかりとした世界観の構築にこそその真価がある。そのままスターウォーズの舞台となってもなんら違和感のない完成度は、密度の濃いマップ、考え抜かれたフラグ、快適な操作性による裏付けあってのものだろう。
プライム1と比べて難度も下がっていて、どちらか一本というのでればこちらをオススメする。ただそうは言っても決して簡単なわけではないから、もしやるからには相応の覚悟は必要だけどね。
※でもクリア時にはかなりの達成感があるので、ホントにオススメはオススメです。
ラスボスよりラスボス前の方が難しいのもメトロイドの伝統とも言えるかも知れません。
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正直言って遊び手を選ぶシリーズなのかなぁとは思いますが、しっかりマップをチェックして、何度も死にながら学習していけば、いつかはきっと倒せるようにチューニングされています。ホントはアクションが嫌いじゃないけど苦手な人に手ほどきをしながらクリアまで到達させたい、そんな良質なタイトルばかりなんですよ(^^)。
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