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2006年4月16日 (日)

唐突に塗装の話

プラモデルの話を書くことはあんましないのだけれど、なんとなく、ホントにな~んとなく書いてみたくなったのでつれづれなるままに書き連ねてみる。別にネタに困ったからじゃないよ(^^)。

みんなはプラモ作ったことありますか?FF絡みでこちらを覗いて下さってる方だと、きっとソレに関係ない話には見向きもしないと思うけど、案外常連さんたちの多くは「ガンプラの洗礼」を受けてらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

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僕がプラモを買って貰った一番古い記憶は、たぶんロボダッチかタイムボカンのドタバッタン辺りだと思う。歯医者とか目医者とかに行くのをあんまし嫌がるものだから親が買い与えてくれて、まんまと治療を受けたという、まぁ子供なら誰しも経験があろう話だ。

そこから次のステップはもういきなりガンプラになる。アトランジャーとかアオシマ、イマイ系のロボットに僅かながら触れた記憶がないではないが、明確にパッケージを手に取り「買った」記憶というのはやはりガンダム、それもシャアザクだったような気がする。

最初のガンプラは厚さ1mmくらいの接着剤がついていて、2枚のランナーはもちろん単色。説明書はピラリとした一枚の紙で、そこにはランナー状態で色が塗られたパーツ写真が載っていた。

当時はたぶん小学2年の冬休みくらいだったと思う。どこで仕入れたか「パーツは爪切りで切るといい」という情報を元に、パチンパチンと組み上げていく。途中で接着剤が足りなくならないようにある程度ケチりながら使うのがミソだ。しくじると間接を固めてしまって「片手だけ上がったまま」とかになってしまうので要注意。当然「角」の接着には細心の注意を払う。「折れて当たり前」だが、「折れたら悲しいのも当たり前」なのだ。

当時からかなり慎重派だったから、僕はいくつ作ったか分からないシャアザクの角が折れてしまった記憶が一度もない。
※逆に手や足はしょっちゅう折っていたが。
組み上がったヤツはほとんど可動範囲もなく、色も一色だったので、正直「まぁこんなもんかな」という印象を拭いきれなかった。この当時の僕には「自分で色を塗る」という概念そのものが存在しなかったのだ。

そんな中ブームは加速度的に熱量を増していく。

周囲の友達も次々に買い出して、近所(ぶっちゃけ三軒隣り)にあるおもちゃ屋はまさに戦場の様相。「君は生きのびることが出来るか・・・」を地で行くサバイバルが勃発する。

「木曜の夕方入荷するらしい」

「今度の日曜は朝10分早く開店するってさ」

「2組の伊藤がゴッグ手に入れたってよ」

「ついにギャンが発売予定に載ったか!!」
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シャッターが開くと同時に隙間から転がるように入店する様はまさにゲリラ。即座に状況判断&高速索敵開始。ターゲットを発見したらフラッシュピストンマッハパンチ並の速さで右手を伸ばし、時には箱がリアルブラッドに染まることさえも・・・。

今の任天堂DSのように「整理券を配るから朝何時から並ぶ」などという「ぼうや」のような戦いかたは通じない。まさに「結果だけが重要」なのだ。店主の静止などもはや「煽り文句」にしかならなかったのだ。

時を同じくして小学生のバイブルがコロコロからボンボンにシフトしていく。小田雅弘をはじめとしてプラモ狂四郎がバーニング!つかコミックは買わないけど作例は数十回となく見つめ続け、僕の目がもし虫眼鏡だったら、間違いなくあの厚いボンボンを貫通していたに違いない。

こうなってくると当然味気ない単色の完成品に物足りなさを感じるようになる。

「オレも塗るゼ!」

お年玉を資本の中心に据え、筆や皿、プラカラーを購入。この時はまだ確かガンダムカラーが出て無くて(出たのはどうだろうゴッグの頃?)説明書に沿って「濃緑色」とか「ミディアムブルー」とかを買ったような気がする。塗装の難度、失敗してもショックの少ないプラモ本体のレアリティ、もちろん自分の思い入れなど、綿密なプランニングによりはじき出された素体は、

 「1/144量産型ズゴック」

スパルタンな目つき、超イカス3本ツメ、ズングリとしたフォルムは劇中のイメージを非常に上手く再現していて、栄えある第一回塗装作品にはこれ以上の選択はあるまい。つか水陸両用ってのはその時点で既に胸を打ち抜かれていたね、はっきり言って。

これ以上ないくらい換気に気をつかい、新聞紙を敷き、汚れてもいい格好をして、いざ塗装開始!最初なので勝手がわからず、いきなり濃い色から塗り始めてしまって次の色に思いっきり影響が出てしまったり、細かな線を「マッキー極細」で塗るも思わずはみ出してしまったり・・・。それでもめげずに少しずつ慎重に慎重に塗っていく。

1時間くらい掛かっただろうか。僕の目の前には説明書と見まごうばかりのフルカラー塗装済みランナーが2枚。
※もちろんランナーの色のところはそのまま活かす!

「完璧じゃないか・・・」
 ※富野調

そしてテンション覚めやらぬまま、塗料生乾きのパーツを組み立てに入る。そのスピードはまさに「炎のコマ」のあらしを彷彿とさせ、実際、

 気づいたら出来てた!

もうこれが格好良くてね。色を塗って仕上げることでこれほどまでに何もかもが変わるのか、と。もう当然のように枕元に置いて寝ましたよ。幸せの絶頂ってなもんです。
※あ、ゴメン「でも翌朝隣で寝ていた妹に踏んづけられて、、、」なんてことはないです。それやられたのは別の物(^^;)。

以来次々と塗っては作り塗っては作り。基本は「1日で塗って組み立て」。大きいヤツでも小さいやつでも同じように1日仕上げ。当然合わせ目も消さないし、ヤスリも掛けない。とにかくファーストインパクトがデカ過ぎたんですよ。僕にとって「塗装をする」「塗装をしない」の差が。

合わせ目を消したり、ヒケをパテで埋めたり、事によってはパーツを改造してしまったりというのは僕にとって「割に合わない」作業だったんですね。それほど努力に見合う結果が出ない。それよりはむしろオリジナルの配色にしたり、汚しをしたり、コンパウンドで磨いたりという手間を掛けた方が、よりダイレクトに完成品にフィードバックされる。つかパテが乾くまで待てるかっての!

あと水性塗料にも泣かされましたね。もうね、「絶対」と言っていいですね。乾く前に触ってしまいます。とにかく耐えられないのです。せっかちだから。ちなみに当時はむしろエナメルの方が乾きが早いくらいだって思ってました。なぜかというと水性を使う時は水性にしかない色を使うときであって、それってば要するに「グロスのブルー系」だったりするんです。ラッカーのコバルトブルーは皆さんご存じの通り隠蔽力が非常に低いですからね。

対してエナメルを使うときってのはかなりの確率でフラットなんですよね。ミリタリー系でまとめる時はもとより、汚しでも何でもほとんどフラット。だから必然的に乾きも早いというわけなのです。
塗装は今でも筆オンリーな僕ですが、その色や発色に対してはそれなりに思い入れがあったりします。まぁバブシカさんみたいに「高み」を目指された方にしてみればガキのざれごとでしょうけど、「自分の中でのかっこよさ、綺麗さ」に対するこだわりはやっぱりあります。

さて、ここから本題です。タイトルも「塗装」についてですからね。

僕はとにかくめんどうくさがりなので、スプレーを使った塗装の「掃除」や「準備」がどうしても嫌なんですよ。においとかコスト的なことは別にさほどでもないのですが、マスキングしたり何度も乾かしては塗るって作業がどうにも性に合わない。

昔一度だけ友達に借りてやった時は、(確かイクサー1だったと思うけど)正直かなりかっこよく塗れて、「スプレーもいいかな」って思ったりもしたのですが、やっぱり掃除が面倒。水性で塗ったので水で洗えたのですが、色を替えるたびに、となると、、、。みんなホントよくやるなぁって思います。まぁ結果は綺麗だと思うけど。

ただ、その「綺麗」ってのもセミグロスやフラットの話。グロスになるとどうしてもスプレー塗装は上手く行かないんですよ。湿度との兼ね合いか塗膜になんか不自然な「かぶり」が発生してしまう。でもってエッジが妙に目立ったりして、まぁ薄く何度も何度も塗ればこういうのは改善されるのでしょうけど、やっぱ面倒なんですよね。

対して筆塗りだと、塗膜自体はかなり厚くなってしまうのだけど、ある程度自分でエッジでもツヤでも調整出来るというか、実際筆塗りでムラになる最大の理由は、技術でも道具でもなく、単に塗料の「隠蔽力」と「明度」「彩度」の関係だと思うんですよね。

特に「隠蔽力」はスプレー塗装でも言えますが、かなり重要なファクター。塗っても塗ってもエッジやムラが目立つのは、もはや「塗料のせい」なのです。

隠蔽力というのは白や黒という「濃淡」をダイレクトにフィードバックするカラーを混色していない、「鮮やかな」「彩度」の高い色は主に弱いです。特に代表的なのは青と赤(=紫も弱い)。黄色や緑の原色はほとんど使わなかったので印象としては薄いですね。

だから塗るときには下地に白を塗ってから重ねたり、勢い厚くなったりします。それでもコバルトブルーだけは最後まで上手く塗れた試しがなかったりするのですが、、、みんなにはそういう記憶はない?

逆にあまりにも塗りやすくて速攻惚れたのは、皆さんご存じの「ネイビーブルー」ですね。この色か「濃緑色」か「黒鉄色」あたりが小学生が一番最初に「イカス!」と思う色なんじゃないかと推察するのですが、いかがでしょうか。

とにかくムラになりにくく、仕上がりがシブい。これらの色を使うだけで自分のガンプラが見違えるような「本物っぽさ」を醸し出してしまうのです。赤の代わりに「赤2号」を使ったり、黄色の代わりに「サンドイエロー」を使ったりというのも、駆け出しのチンピラには基本中の基本というところでしょう。

途中当然のようにシルバーを使ったハゲチョロやドライブラシの洗礼も受けるのですが、個人的に僕がツボにハマったのは「グロス」。もともとのルーツは幼少期のポピー製超合金だと思うのですが、要するに「重そう」なんですよ、グロス塗装というのは。フラットで仕上げると確かにカッコイイのだけども、重さは見えづらい。フォルムの改造をしない自分にとっては、ただ色をツヤ有りにするだけで著しく重量感が増し、ある意味「超合金化」させることが出来る。

あとファイブスターが始まった頃、永野さんが「モーターヘッドの素材はいろんなものが使われている」みたいな話をされていたのも僕のプラモ人生にとても大きな影響を及ぼしました。アクリル絵の具のパールを混ぜたり、
※当時はプラカラーにパール系がなかった。
一旦シルバーで塗装したあとにクリアカラーを乗せる技法が生まれたのもこの頃だったと思います。ゴールドが有名ですが、自分はエナメルのクロムシルバーにアクリルのクリアブルーやクリアレッドを乗せるのが凄く好きでしたね。何とも言えない濃淡が筆でも出せたりするんです。

グロス好きが頂点に達したのはかなり後期。パトレイバーの頃です。もう周囲にはそれほどプラモを作っている友人も少なくなってきた頃でしたが、グロスのブラックとホワイトで仕上げた我がイングラムの放つ存在感は、まさにリアルパトカーのそれに非常に近くて、「足だけはフラットブラックね、タイヤと同じ素材だから」などと個々のツヤにも強い理由付けを求めるようになりました。さすがにこの辺りになると墨入れがマッキーを卒業してます。

その墨入れにも結構こだわりがあります。結局は何が自分にとってかっこいいか、ですから、よく誌面に紹介されるような「ベースカラーと同系色」というのは正直美学に反します。だって「グレー」の汚れなんてそうそう付くモンじゃないですよ、実際。車とかでも泥汚れや油汚れ、砂埃はありますが、合わせ目にグレーってのは・・・。なんか違う気がします。

あと僕のハンドルのルーツでもある、遙かな昔モデルグラフィックスに載せられた永野護さん(モデラーネームクリス)のシュツルムディアスも非常に大きな影響がありました。とにかく「黒い」。グロスブラックの墨入れを多用して赤黒く光るディアスの存在感、デコチェーンを初めて使ったと動力パイプの再現、あまりにもデカいランドセル。

決して今のニーズにおいて大多数の支持は得られないんでしょうけど、自分にとっては凄く「リアリティ」があってかつジャストミートした作例でした。

実際本物の戦車や戦闘機、機銃の写真とか見ても、それほど「銀色」のハゲチョロなんてないんですよね。銃痕だってない。だって大抵は「撃っても無駄」な攻撃はされないと思いますし、「無駄じゃない攻撃」をされたら壊れてしまいます。

だからってワケじゃないですが、本当にリアルを感じるのは意外と「キズ」じゃなくて「汚れ」の方なんじゃないかなぁとも思ったりします。「オラザク」で数年前にあった量産型ズゴックなんかは、「塩が引いたあとのタンカーの側面」はこんなだろうなぁなんて凄く感じさせる汚しがされていて、「リアル」ってのはこういうもんだよなぁなんて思いましたよ。

でも全部が全部「キズ」や破損がおかしいってことも当然なくて、ウォーカーマシンなんかは、フレームが歪んでいたり装甲が剥がれかけていたりしていても全然それっぽいんですよね。当然ハゲてても不自然じゃない。結局はそこにどんな物語を織り込むことが出来るのか、ってことなんでしょう。自分がどれだけ鮮明にイメージをし、リアリティを持たせていけるのか、みたいな。

今日(こんにち)でもヤフオク、模型誌を問わずたくさんの作例が作られ、たくさんの塗装技法が生まれてますよね。まぁ実際筆塗りやってる人なんて凄い少数派でしょうけど、上手くもなくて、それほど作りもしなくても、「自分の中のかっこいい」ってのは割と明確に存在し続けていたりします。二つの写真を並べられて、どちらが上手いか、という質問に躊躇することはあっても、どちらが好きか、という質問なら気楽に答えられるはず。かっこいいっていうのはそういうことですよね。

※根性も環境もないのでなかなか作れないんだけど、お金があったら作って欲しいイメージっていうのはありますね。「ここはこの色でこの部分はこう塗り分けて、、、」みたいな。そう言えば昔も「何色で塗るか」という配色を決めるのに二日も三日も掛けて、いざ塗り始めたら1日で組み上げる、というサイクルだったように思います。やっぱプラモは塗らないと!
 →だからいつまで経っても作れないんですけどね(^^;)。
  →とりあえず仮組みだけでもやりゃあいいのに。
   →積みプラが泣いてるよ(^^;;)。

 つか後半の支離滅裂さったらなかったな。ひさびさに詫びる。スマンかった。

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コメント

クリスさんとは同じ年なので記憶を共感させられる部分が多いなあ。
ガンプラ売り場ダッシュ、1㎜接着剤、プラモ狂四郎、ロボダッチ……全てが懐かしい思い出です。

塗る楽しみを求めて私も未だ筆塗りにずっと拘っています。エアブラシは掃除するのが面倒臭くて。

投稿: バブシカ | 2006年4月17日 (月) 04時39分

毎度です。バブシカさんがザクがんばって作ってるので、テンション自体は上がるのですが、なかなか実働しない自分・・・。とりあえずリアルタイムでプレイ中のタイトルがあるとなかなか腰が上がりませんね(^^;)。

ガンプラの熱ってのは全国区だったんだろうなぁと思いますが、さすがに小学生に他県のことなど知るよしもなく、友人が遠出して買ってきたりすると、

 「修羅場はこの辺りだけなのかっ!」

なんて妄想を抱いたりもしましたね。あと「ゾック」とか「グラブロ」なんかも地方によっては人気がなかったりと聞きますが、ウチの方ではほぼまんべんなく、という感じで唯一人気がなかった記憶があるのは「ガウ」くらい。でもあれはあれで出来は結構よくて、戦艦ものも案外作ったりしましたね。昔のプラモとか実家にまだあんのかなぁ。ではでは!

投稿: クリス | 2006年4月17日 (月) 22時25分

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