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2006年5月 6日 (土)

ジノーグ

「ジェネレーションギャップ」というのは正直いかんともしがたいギャップだ。見てきた風景も耳にする音楽も、好きなヒーローも欲しいオモチャも、何もかもが「重なりようのないズレ」として存在する。

もちろん中には興味の矛先を磨き上げ、遙か生前の彼方まで鋭く突き刺すケースもあろう。だがそれはあくまで稀なこと。普通はお袋が好きだった特撮ヒーローの主題歌を有線でリクエストしたり、コンピュータゲームの歴史について真剣に調べ上げたりはしないのだ。

こうした不特定多数の方の目に触れる場においては、方向性として二つのやり方があると思う。一つは「読み手」中心に「ウケ」のいい内容でつづるモノ。そしてもう一つはあくまで自分中心に思いのままに書き殴るもの。

僕はどちらかというと前者を意識してきたきらいがある。マニアックではありつつもある程度自分のキャパを広げる努力はしてきたし、読み手にとって敷居の高い単語には(自分なりにではあるが)注釈を付けるなりの対応はしてきたつもりだ。

 しかしどうしてもそれを吸収しきれないケースが存在してしまう。

それはとどのつまり「コア」な領域に踏み込んでいくことを指す。ブログのタイトル通り「濃い」話に分け入っていくことは、同時にライトな読者を隔世、遮断することに繋がりかねない。

もちろんそんな場合でも「興味」というエネルギー源があれば、どんどんと訴求対象を広げていくことも不可能ではない。

さて、イントロクイズはどうだったのであろうか。

日本人の平均よりはゲームをやっていると思うし、読者の中でも比較的古くから嗜んできた部類に属するだろうことは想像に難くない。しかし、同時にそれは「少数派に刺さるエッジ」を不鮮明にし、より新しい層との間に埋められざる溝を作ってしまうことにも繋がる。

 そこで「ジノーグ」である。

ジノーグはメガドライブ全盛時に発売されたメサイヤ(NCSというべき?)の横スクロールシューティングゲームだ。ハード自体が「ゲーマー寄り」と称されたメガドライブの中にあってなお「高難度」とされたウェット系のオリジナルタイトル。
※余談だが、比較的アーケードからの移植が多かったPCE陣営と比べて、メガドライブは「孤高の単発タイトル」が数多く見られた。人気作の続編でもなければ人気があっても続編が作られない。でもナムコやタイトーのアーケード移植作と比べてもむしろ良作と呼べるモノも多く、セガ一社だけではないれっきとしたメガドライブ史の証人だと言えるだろう(「生き証人」と呼べないところが悲しいが)。

現実問題今シューティングをやっている若者(古くさっ)はどのくらいいるのか。嘆くわけでも憤るわけでもないが、今でもリリースが続くグラディウスやケイブ系弾幕シューティングを除くと、ほとんどの方は「シューティング=FPS」とさえ思うのではないだろうか。遙かな昔にはナムコやカプコンはもとより、任天堂もセガもSTGを作っていた時代があるんだよ、若者よ。

今回イントロクイズを作るにあたって、そんな僕の心の支えとも言えるシューティングゲームをどう扱うかに関しては逡巡を巡らせることとなった。それはとどのつまり「ターゲットを著しく限定する」ことに他ならないとも言えるからだ。

しかしだからと言って昨今ニーズを掴んでいるメタルギアソリッドや鬼武者などのアクショナドベンチャー、ゼノサーガやヴァルキリープロファイルなどのRPGからの出題をするには、あまりにも嗜好に隔たりがありすぎる。

 「やはり大切なのは『愛』だろう?」

結局僕はジノーグを設問に加えた。

せっかくなのでそのジノーグ、しいてはSTG全般について少々筆を加えることにする。ただ決してハードなシューターではないので、そっち方面での「ゆるさ」は何卒ご勘弁願いたい。
※要するに「ヘタの横好き」である>縦より横の方が才能依存度が低いから横シューの方が好きだ、という例え。

最初にいきなり余談だが、今「ほぼ日」で僕の尊敬する「永田ソフト」さんが、「素人向けマザー3」のレクチャーを連載している(タイトルはうろ覚え)。「東北大学未来科学研究所川嶋隆太教授監修脳を鍛える大人のDSトレーニング」(タイトルはうろ覚え)からゲームの楽しさを知ったユーザーに向けて、これ以上ないほどかみ砕いた解説をしているのだが、

 こういうのが凄く僕は好き

なのだ。昨今「お約束」の一言でやや強引とも取れるルールをお仕着せするタイトルのなんと多いことか。説明書を読まなければ分からないことだらけならばまだしも、説明書にすら書いていないことが非常に多い。いったいどうやって調べたらいいの?

 「ネットで」

それはそれで対象次第で十分アリなのかも知れない。でも昨今シューティング初心者に向けたレクチャーというのはそうそう見かけまい。それだけユーザーが固まっているのだ。

イントロクイズを作るにあたって、古いゲーム機を掘り出していじっていると、子供達も興味津々である。自慢じゃないが母方の実家にはファミコンしかない。
※ソフトは香港旅行で買った「110in1」のみ
グラフィックに対する耐性はむしろ現行ユーザーよりも高いと思われる。

そんな子供達がPCEやメガドライブに興味を示すというのはむしろ当然とも言える。だって新しいハードのようなもんだもの。
※余談だが、小学一年の娘などはモノクロワンダースワンのクロノアでも楽しんで遊んでいる。つかクロノアはいいゲームなんだけど。

そんな中特に二人が楽しんだのは、「出たなツインビー」。兄がメインで敵を倒し、妹は赤ベルを食いつないで延命する。時折「ガッチンコ」攻撃やワイド攻撃での連携もあり、端から見ていても非常に楽しそうだ。

 そう。シューティングはゲームのプリミティブな楽しさがつまっているのだ。

「大人のDS」がそうであったように、ゲームが本来持つ「面白さ」というのは、見た目や経験によって左右されたり、経年劣化したりするものではないと僕は思う。でなければインベーダーやテトリス、アルカノイドのようなヒット作は生まれようもないんじゃないか。大山のぶ代御大もきっと頷いているに違いない。
※念のため注釈:彼女はその筋では微妙に有名なアルカノイドプレイヤーなのです。

 自分の分身を動かして弾を避け、弾を撃ち、敵を倒す。

言ってしまえばこれだけのことだが、正直これで素人に面白さを伝えられるとは思っていない。他の多くの娯楽、いや、勉強だろうとスポーツだろうと同じことか。楽しむためにはそれなりの「蓄積」が不可欠なのだ。今日はその「蓄積」の部分を少しでも緩和できたらと思う。

ここまで書いてきてなんだと思われるかも知れないが、ジノーグはその入り口のタイトルとしては正直やや不的確だったりする。決して絶対的ではないが、素人がやるには少々クセがあるのだ。また、こういう話題になると安易に取りざたされがちな「ゼビウス」もそれには該当しない。あんなのが初心者向けだというなら、「STG=爽快感のないゲーム」という烙印を押されてしまうだろう。

そこで僕がまず素人の方にオススメしたいのは、

 「グラディウスジェネレーション:GBA」

である。勝手にパワーアップして、普通の弾も下に向かって飛ぶミサイルもボタン一つで撃てるモードにする。何なら自分の機体の残数をオプションモードで最大にして難易度を一番易しくしてもいい。そして注意するのは以下のことである。

・動かない方が倒しやすい時もあるから、焦って追っかけ回さない。

・動かない方が避けやすい時もあるから、焦って動き回らない。

・画面の隅の方にいるといきなり敵が出てきたときに焦る。でも基本は右に弾が出るので(右の敵は倒せるけど左の敵は倒せない)、「画面の隅じゃないけどある程度左の方」にいるべし

・敵を倒したときに出るカプセルは触っても死なないのでドンドン取るべし。取れば取るほど強くなるぜ!

・死んで弱くなっても、よく見てちょっとずつ避ければ、大抵なんとかなるからあきらめないように。

・一回ゲームオーバーになっても、とりあえずもう一回やってみる。さっきのゲームオーバーより進めたら「上手くなってる」証拠!

・どうしても進めなくなったら「上手いプレー」が収録されているのでそれをこっそり見て勉強してみる。

 これでしばしプレイしてみてどうだろうか。RPGで地道に経験値を稼ぐよりも早く、そして派手に強くなる自分。そしてそれが刹那的なものであることを痛感させられるゲームオーバーによる消失感。しかし回を重ねるごとに実感する上達。少しずつ開ける未知なる世界と新しい敵との出会い・・・。

STGはアクションアドベンチャーのように「慣れること=上手くなること」ではない。「上手くなること=学ぶこと」という趣の方が強いのだ。「こうすればいいんだな」という正解を探して上手くなる。挑戦的だと称される裏には、達成者に対して純粋な賞賛がある。

 「クリア出来て嬉しい」

という感覚は、RPGなどの

 「楽しくて居心地がいい」

という感覚に劣っているだろうか。「好きこそものの上手なれ」という言葉は「好きだからこそ努力するし、結果上手くなる」という意味だが、上手くなることが実感出来ることを嫌いになるだろうか。

上手くなることを実感出来る方法、一つずつ上る階段の一番最初が大切なのであって、多くのゲームプレイヤーは、きっとその「一段目」を知らずに来ているだけだと思う。

最後に初心者向け(と僕が思う)シューティングをいくつか挙げておしまいにする。グラディウルジェネレーションの次に上るステップだ。

・R-TYPE(PCエンジン)
 最初信じられないほど難しく感じるかもしれないけど、学ぶことのウェイトが非常に高いのが逆に初心者向け。波動砲やらパワーアップ装備やらの自分の機体が強いのも気持ちよさを後押しする。見た目シンプルだけど古くさくないと思うのは僕のひいき目だろうか。

・怒首領蜂(アーケード)
 意外なほど敵の弾には当たらない。これは「弾に当たったと判断する範囲」が「見た目の大きさ」よりもかなり小さいことに起因する。凄い敵の弾数だが、困ったらボンバーを撃てばいい。3機×3発のボンバーで「死にそうなところ」を抜けられれば、3面到達も夢じゃない。

・超連射68K(PCフリーソフト)
 敵が大きい割に固くないので、ザクザク倒していける。とりあえずバリアアイテムをなるべくなくさないようにがんばれば結構先にも進めるし、グラディウスで基本が出来ていれば縦画面STGの入門用としてこれ以上の選択肢はない。でもプレイするならパッドは必須。

・セクシーパロディウス(アーケード)
 正直「なんもセクシーちゃうやんけ!」と言われそうだが、シリーズ随一の低難度を評価したい。そもそも画面がゴチャゴチャしすぎている点は初心者に辛いところだが、それを「楽しそう」「面白い」と感じることが出来れば、十分オススメに値する。

そしてコレ。

・ジノーグ(メガドライブ)
 他の作品と比べると古さは否めない。が、判定が小さいこと、とりあえず避けて撃つだけでもどんどん敵が倒せる爽快感、グロテスクで個性的な敵、撃っていて気持ちがいい効果音など「普通に遊んで普通に楽しい」ソツのない作り。

慣れてきたら通常弾とは別のスペシャルな攻撃方法を使ってみればいい。同じアルファベットを最大3つまでとり続けることで強くなる武器は、時には全方向に、時にはバリアに、と戦略性もある。でも面倒なら使わなくていい。ジノーグにはそんな奥深さもあるのだ。

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逆にこれは初心者向けじゃない、というのは、、、

・ダライアス
 とにかく敵の動きがトリッキーで、すぐに死ぬ。バリアアイテムはあるけど、すぐに削れちゃう。判定も大きい。でも音楽はイカス!

・雷電
 自分が遅いのである程度予測しながら避ける技術が必要になる。敵の弾も速い。でも戦い方に慣れてくればかなり楽しい作品になる。

・サイヴァリア
 アーケードでは結構シリーズも出ているが、基本的に弾が多すぎてそればっかり見てる展開になりやすい。爽快感より緊張感が強すぎて初心者には向かない。

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まあね、誰も同意しないかも知れませんよ。実際「ゼロから始めるSTG」ってのはハードル、低くないですしね。でもスーパーマリオが世の中に登場した年も、そしてその翌年もゲームセンターで一番人気があったのはシューティングゲームだったのです。面白さがないゲームに人気は集まりませんよね?何となくイントロをきっかけに持ち上げてみたくなった次第です。

後書き

よもやジノーグでこんなに書くことになるとは思いもよらなかった。つかそもそも「ジノーグ」がどんなゲームなのかも知らない人の方が大多数(99%超えてるかも)なんだろうな(^^;)。

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