未来のゲーム機
10年先か20年先か、僕らを取り巻くゲーム環境はどう変わっているのか。つか10年先で46歳。20年先で56歳である。冗談ヌキに片足棺桶な年齢に突入するまでそう間もないと思うと正直そら恐ろしくなってくるが、今回はそんな中年真っただ中の僕の話じゃない。
一言で未来と言ってもいろんな道があると思う。今週のファミ通で鈴木みそのマンガが久々に載っていたが、PS3が勝つ未来もあればXBOXが勝つ未来、Wiiが勝つ未来があるだろう。だが今僕が考えるのはそう言った短期的なモノではなく、将来的に、例えばファックスもビデオもなかった時代からひとり一台の携帯電話を持つ時代を考えるような視点である。40メガのハードディスクすらなかった時代から1テラのデータを扱うようになる変化&進化の話である。携帯ゲーム機が据え置きを駆逐するのか、携帯電話が携帯ゲーム機を駆逐するのか、ネットで買うのか、店頭で買うのか、いろんな見えない未来がある。そんな数ある道の一つを考えてみたいというワケである。
●求められるもの
ゲームに求められるものは時と共に変化してきた。不良のたまり場と称されたゲームセンターから、子供たちの共通項となり、今では結婚に至る出会いの場や中高年のボケ防止に使われるとは誰が予想したか。
完全にひとり遊びとしてのゲームのニーズ、アイデンティティも紛れもなく存在するが、それは遙か昔、黎明期の事情とは大きくウェイトが異なる。というか昔も今も変わっていないのかも知れないが、やはり同好の者達が楽しさを共有するツールとしての価値がより際だってきたのではないだろうか。それは「脳トレ」
※「脳を鍛える大人のDSトレーニング」はオフィシャル略称「脳トレ」だそうで。
であっても同じ事。奥さんが旦那さんに、おばあちゃんが孫に自分の結果とともにコミュニケーションを取るからこそ「ゲームは楽しい」と言われるのだ。ただひとり黙々とやり続けられるほど強い人は、正直それほど多くはあるまい。
だから携帯ゲームであっても据え置き機であっても「コミュニケーション」が最も重要なキーワードになるのは間違いのないところだろう。よりお手軽に、より多くの人と、より頻繁に、より深く、より楽しく、、、。年齢が上に大きく広がったことでこれまで関係を持つことが難しかった世代同士のやりとりも生まれるだろうし、そこから新たな市場が生まれるだろう。
WiFiがいったいどういうモノなのか、正直まだよくわからない。がインターネットという情報送受信メディアと、コンピュータゲーム、およびゲーム機がより近く濃い関係になっていくのは間違いあるまい。日本中どこにいても携帯電話が繋がるように、世界中どこにいてもネットに繋がる。十数メートルという短距離ではなく、数キロ数十キロという長距離でも簡単に(アクセスにほとんど待ち時間なく)気軽に(完全定額制でかつ安く)ボイスチャットをしながら対戦ゲームやMMORPGが出来るようになるだろう。
通信速度も光の数百倍という未来もあるに違いない。DVD程度の容量なら数秒でダウンロード出来るようになるだろうし、通信速度の速さは、自宅PCのコンテンツを世界中どこにいても何の気負いなく携帯機で閲覧、プレイ出来るようにもなるに違いない。別に携帯機自体にグラフィックや計算をさせる必要などないのだ。PCを端末として高スペックのゲームを低スペックのPCでプレイさせる試みは既に実現しているのだから、携帯機には通信速度と操作性、見やすさ、軽さ、が最優先で求められるだろう。
据え置き機の進化はそんな携帯機のホストとしての役割を持ちつつ様々なベクトルに進化していくだろう。家庭の中の家電の中心となるのか、情報端末のホストとなるのか。「ジゴバイト」に届くHDDや次世代の記録メディアを内包したスーパーコンピュータが、数週間、数ヶ月分のテレビやインターネットのストリーミング放送を全て保存し、複数の携帯機との同時アクセスを可能にする未来。
「じゃ俺は自分の部屋からやるから」
友達同士の通信プレイも全ての家電に無線LANが標準搭載され、あくまでインターフェイスとしてのみの機能で必要十分となれば、プレイ環境は劇的に広がりを見せるだろう。ヘッドセットのような煩わしい装備ではなく、「しゃべっていること」と「聞きたいこと」を判別するマイク&スピーカーが開発されれば、当たり前のように話をしながらゲームに興じることも出来るようになるに違いない。出張中のホテルに持ち込んだ携帯機と自分の部屋のテレビから居間にある据え置き機にアクセスして3人で一緒にゲームをする。
好きな芸人、好きなアーティスト、好きなスポーツを好きなところで好きなだけ見られる。液晶が進化していけばきっと非常に薄く軽いものが出来ていくだろう。電源さえあればトイレの扉に引っかけて使えるようなお手軽なモニターが登場するかも知れない。防水でバスタイムをより楽しく演出出来るかも知れないし、車のフロントガラスいっぱいに映画やゲームを映し出す未来も(車を空に飛ばすよりはずっと)現実的だろう。
※ホログラフが実現するならもっと本体が小さく、描画エリアが大きくなる可能性もあるだろうけど、正直こちらはあんまし現実感がない気がする。あくまで個人的にだけど。
パッケージ商品のアイデンティティがどんどん失われ、全てのゲームがオンラインになる未来も十分考えられる。ユーザーはIDを購入してゲームをダウンロードする。セキュリティの進化がなければゲームの未来はない。通常のPCですら購入の際に身分証明や親の許可が必要になり、自作は全て駆逐されるかも知れない。それだけデジタルコンテンツの存在が全ての消費者にとって絶大なバリューを持つようになると思う。
映画やテレビも、最初は画質が非常に悪い状態で無料配信されて、高画質、例えばハイビジョンクオリティのものには別途ID登録が必要になるのでは?とも思う。家庭用の大型スクリーン大型液晶がどんどん進化していけば、今以上に映画館に足を運ぶ人は減ってしまうのではないか。レンタルショップに行くまでもなく、時間や服装を気にするでもなく、超高画質な映像を気軽に楽しめるようになる。
音楽だって現状すでに「配信オンリー」の楽曲が存在する。昔は文字だけで精一杯だった通信速度が、静止画を運べるようになり、次は音楽、動画、そしてそのクオリティアップへ・・・。
●相乗効果と利益確保
そうして様々なコンテンツがネット配信され、個々のタイトルもその環境メリットを享受するようになると、これまでいろいろな障害があって及び腰になっていた関連商品などの購買意欲が飛躍的に向上すると予想する。
現状でも多くのサイト上でアマゾンへのリンクが貼られているが、これがもっとずっと加速する。
例えばドラマを見ていて主題歌が気に入ったら、リモコンひとつでPCなりPS4なりのHDDの指定フォルダにサクッとダウンロードされ、携帯電話、携帯ゲーム、カーステレオは常時アクセスでPCに入っている曲を簡単に聴けるようになる。そうなれば一曲辺りの価格は高くても100円。安ければ50円以下に抑えられるのではないか。着メロを着メロより安く速く、多用途で利用できる環境。
そのドラマに出演する俳優の写真集も「大きく軽く丈夫で持ち運び出来るデジタルコンテンツビューワー」が実現すれば、何も紙に印刷される必要などない。「紙はなくならない」と言われるのは単にデジタルメディアの使い勝手が紙に追いついていないだけで、将来的には十分駆逐される可能性をはらんでいると僕は思う。Wiiのコントローラで画面を「ピッ」とポインティングしてその俳優の写真集やエッセイ本、過去の出演作品などにシームレスでリンクする。ヒット数の多さがその俳優の「時価」であり、あらゆる商品が作品やその人物のヒット数を元に開発・販売されるようになっていくだろう。
ネットで配信出来ないものは、鮮度の問われる食料品やペットなどの生き物、実際に見たり触ったりしたい物などだろう。だから将来的にもワールドカップや人気アーティストのコンサートチケットなんかは、価値が下がるものではないだろうし、コンビニもスーパーもなくならない。未来の路面店で存在意義が失われるのは、本屋、ゲーム屋(含むゲームセンター)、映画館と新聞店とかかも知れない。
●未来のゲーム像
「どうぶつの森」「ボイスチャット」「常時接続」がキーワードになる気がする。一本道のひとり用RPGだろうがシューティングだろうが対戦格闘だろうがFPSだろうがおよそ考えられる全てのジャンルのタイトルが「ぶつ森」のようなコミュニティを内包し、自分以外でそのタイトルをやっている人の進捗や記録、コメントなどを見ながらプレイ出来るようになる。同時間帯にプレイ、「受信OK」にしている人にアプローチをしてもいいし、一緒に冒険したり対戦したりしてもいい。ランキングやプロフェッショナルな領域が確立されていくだろうし、実際この時代までゲームを作り続けていられるメーカーはそれほど多くはないだろうとも思う。
ヤフオクのフィードバックのような個々の人間を評価するシステムが、ゲーム界にも広まり、荒らしやネカマ、ゲームの世界での「英雄」が今以上にリアリティを持つ。「プラス」のフィードバックが数十万、数百万というプレイヤーがいるとしたら、みんなその人と一緒に遊びたいって思うよね?話が面白くて気配りが出来てゲームが上手い人。当然そういうプロも生まれてくるに違いない。
今現在でもコミュニケーションはお金になる。そしてコミュニケーションにこそお金を払う価値があるとみんなが思うようになると思う。共有し、繋がることが最大の娯楽であり、一番の幸せになっていく。
「今日○○さんいないね」「風邪でもひいたんじゃないかな」「心配・・・」
コミュニティの結束力の強さは、ご近所のそれとなんら変わることはない。昨日のドラマの話や、子供の学校の先生の評判、行きつけの居酒屋の旨い肴の話や、こないだ行ったディズニーランドの話。いい思い出はそれを伝えることで何度でも繰り返し楽しめる。日々の暮らしと密接に絡んだ「楽しい時間」を加速するような娯楽=ゲームになるんじゃないか。そしてその楽しさを演出出来る人間が「楽しさのクリエイター」としてゲーム業界を引っ張っていくのではないか。
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略歴
・自分の操作が画面に反映される
・敵を倒す気持ちよさ、やられる悔しさが生まれる
・色がついて派手になった
・テクニックや裏技で記録に挑む
・自宅でも遊べるようになる
・操作する楽しさとクリアする喜び
・育てる楽しさと物語
・肉声と生演奏と飛躍的なボリューム増加
・最高記録の保存
・交換と対戦
・ポリゴンによる仮想空間の構築
・ネットでの同時プレイ
・高スペック広域対象の携帯機
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果たして!
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