つよきす(PC版)
最近は、やってるゲームのせいもありなんだかメンタルな話が多い気もするが、もちろん気にしない。ここを読んで下さっている方というのはもちろん多ければ多いほど嬉しいし、コメント等戴ければそれはとてもありがたいことなのだが、カウンターがないためぶっちゃけどれだけの人に毎日読んでもらっているか全く見当が付かない。
だから逆に自分勝手に好きな話を書いていけるというのもある。FFをやっていればFF、スーマリをやっていればスーマリ、映画を見ればその感想を書くし、漫画やプラモでも割と事細かに私生活のディティールを露(あら)わにしているつもりだ。
だから特に昔を懐かしんで激情を吐露するケースを除いては、日々の日記、出来事をつづることになる。それがつまりウェブログ本来のスタイルだろう。
じゃあ今自分が私生活を何に費やしているかと問えば、それはつまり「つよきす」というエロゲーということになる。ぶっちゃけエロ絡みのトピックには過去一度もコメントを頂戴したことがないが(他のトピに書いて頂いたことはあるけど(^^;)、これは僕のブログである。「FF専門」でもなければ「RPG天国」でもない。時に共感し、時に異論を唱えたくなるのは別の人間なのだから当たり前なのだ。
※とは言っても最近何度かこのタイトルの話には触れているから、まぁ正直それほど新鮮みはないかも知れないけどさ。
今日は改めてこのタイトルについて掘り下げていきたいと思う。だがネタバレは極力避ける(もしする場合は明言して改行する)。なぜならとにかくプレイして欲しいからだ。36歳の中年既婚者が「スゲェ面白い」と感じ、PC版に続いてPS2版まで買う気で探して品切れで意気消沈しているようなソフトを、他の誰かにやってもらいたいからだ。そしてそこで「オレには合わない」でも「個人的には○○のシナリオはどうかと思う」でもいい。コミュニケーションを取りたい。
わがままに聞こえるかもしれないが、自分がこれほど琴線をかき鳴らされたタイトルをオフの友人ひとりとしか話題共有出来ないのがとても悔しい。前から書いてるけどゲームはゲームの話をすることも含めて娯楽だと思っている。ましてやそのゲームが愚痴で固めた期待はずれゲーではなく、一日7時間平均でプレイして自己評価満点のゲームであれば、いわずもがななのだ。
問題はエロであるかどうかじゃないのだ。
だが、一つ問題もある。僕はこのタイトルを非常に評価はしているが、それはどうも「ゲームとして」ではないかもしれない。ボタンを押し、選択をする場面はあるが、それは全体からしてみればさして大きなインタラクティビティではなく、むしろ起動時間の9割以上はテキストを読んだり、セリフに耳を傾けたりといった時間に割かれる。
ここで軽く念押ししたいのは、「じゃあ一回遊んでおしまいなのか、コストパフォーマンスが悪いのか」という懸念に関してだ。6000円も7000円もするゲームがただ文章を読む、おしゃべりを聞くだけで終わってしまうというのは、デジタルコミック黎明期のPCエンジンソフトならいざ知らず、とんでもないコストを掛けたフルCGの映画すら実在する昨今においては、あまりにチープすぎるのではないか・・・。
確かにアニメーションと呼べるシーンは皆無だし、オープニングやエンディングを歌っている歌手も聞いたことがない人だった。コスト的には正直声優のウェイトが非常に高いんじゃないかと勘ぐりたくなるような作りだ。
しかしそれはあくまで「イメージと経験則からのコストパフォーマンス」でしかない。いざプレイしてみると、そのテキストとセリフの質と量に違和感を感じるほど、次元が違う。
あ、ここでも念を押しちゃいますが「2Dの女の子の絵」に極端な嫌悪感を抱く方にはオススメしません。さすがに。「萌え」とか「(エロシーンに)ソソられる」とかいう素養ははっきり言って必要はありませんが(あればより楽しめるとは思うけど)、重要なのはソコじゃないんで。
確約は出来ないが、ボイスをかぶせているセリフを全て聞いて全キャラクターをクリアすると、たぶん40時間くらいは掛かると思う。仮に6000円で買ったとしたら1時間150円だ。まぁ格安のビデオレンタルよりはコストパフォーマンスが落ちるかもしれないが、まず「全て見る」ことから立脚すれば決して高い娯楽じゃあない。
次にその情報密度に関してだが、ボタンレスポンス、テキストの表示速度の自由度は高い。既読を凄まじい速度で早送りすることはもちろんのこと、ボイスを全再生しつつテキスト部分
※主人公にはボイスがないので主にその部分
を自分に合った速度で併せて自動送りするなど物語に集中させるための用意も完璧だ。
ある意味40時間の映画
のようなものという見方も出来る。
出てくる女の子ごとにシナリオがあるわけだが、短い人で2、3時間。長い人で10時間以上だろうか。その間プレイヤーがシナリオに介在する選択肢はひとりにつき5回程度。プレイ中は主にテキストやボイスのページめくりをするだけだから、ある意味「小説?」というイメージを抱いた人もいるかも知れない。
そこで「セリフ」の意味が出てくる。小説は読み手のイメージで想像を膨らませる娯楽だが、所詮は素人のイマジネーション。もちろん素人くさいアイドルを話題作りのためだけに起用した某アニメ作品などと比べれば、個人の希望とイメージはよりよく響くこともあるだろうが、つよきすのそれは明らかに本職の声優のものであり、少なくとも僕が感じた範囲で「ここはこう読んで欲しいのに、」というある種の疎外感のような感情はほとんど沸かなかった(というか一つもなかったと言いたいのが本音)。
名ゼリフというのは優れた脚本とスキルの高い声優、そしてその気持ちのノリ、聞き手の価値観、好みなど様々な要因が重なって初めて生まれるものだが、ことその世界観にフィーリングが合えば、そこでその作品の価値は大きく上がるだろう。それはゲームはもとより、映画監督やゲームのディレクターに対しても同様だ。
ビジュアル面ではちょっとした表情の変化がこのつよきすの、小説や漫画に対するアドバンテージということになる(まぁあとはカラーであることとか)が、コレに関しては正直さほど新鮮味はない。※他のメディアに対してはアドバンテージでも他のゲームに対してはありきたりの効果だからね。
さて、
ここで改めてそのスタイルを振り返ってみると、
・画面に表示されるグラフィックは表情変化程度で派手なアニメーションはない
・膨大なテキストを任意に読み進める
・高品質のボイスが雰囲気を盛り上げる
と言った要素が挙げられる。しかしもう一つ重要なのは、
・希薄なゲーム性が物語りへの没入度を高める
という点だろう。ほとんど介在する余地のないシナリオはプレイヤーに対する負担が非常に少ない。むしろ自分のペースで進めることが出来る分映画やアニメ以上に「気楽」に楽しめるのだ。加えてそのハイレベルなボイスと数十時間に渡るボリュームである。
もしかしたら僕が知らなかっただけなのかもしれないが、このスタイルはもはや「ジャンル」と呼んで差し支えない完成度を感じさせた。先日デジタルコミックについて言及したが、以前僕が描いていたデジコミのボリュームとボイスの質を大きく上回っている上に、もはやゲームと呼ぶに抵抗があるほどのインタラクティビティの低下がこれほどプレイアビリティの向上に寄与するとは。
それとこれも重要なので言及しておかなければならないが、舞台設定と脚本がとても軽い。キャラクターの中にはかなりダークな印象を受ける者もいるが、最初に選択できる4人は誰もがさっぱりとした強気な性格だ。タイトルイメージとして「全員がツンデレ」というには正直語弊があるが、友人が進めてくれたギャルゲーの開始1行目で
「合わねぇ!」
と投げ出すことすらある自分にとっては、この点は非常に評価が高い。以前から書いているが別にエロはおまけなのである。心地よい世界観の中で展開する軽妙なやりとり。キレのあるジョーク。雰囲気にマッチしつつ自己主張しすぎないBGM。
この世界に惹かれた者であれば、「新キャラがひとり増えた」というだけでPS2版の十分な購入動機になってしまうだろうとさえ思う。
※その新キャラクター「素奈緒」の評判もすこぶる良いとなればなおのこと。
ここで少々ブレイクタイム。
先ほどから再三書いているようにこのゲームはボイスが命だ。だから音の出せない環境でしかギャルゲーが出来ない人には、
はっきり言ってオススメできない。
エロのウェイト自体は低いから、プレイ中に恥ずかしい画面が表示されているケースはそれほど多くないが、それでも
この歳でアニメを見ている。
というだけで家族やら連れ合いから非難の視線を浴びせられるのは想像に難くない。特にPS2が居間にしかないとか、使っているPCがオヤジのだという場合は、正直背中が気になってゲームに集中出来ないだろう。
だから僕としては過去最高に強くお勧めしているタイトルでありながら、環境が伴わない方にはホント残念ながらオススメできないというわけなのだ。せめて自室にPCなりPS2がある人にしか・・・。
思えばPCエンジンの「ときメモ」がそうであった。丁度その頃今のかみさんと一緒に暮らすようになったばかりで、さすがにギャルゲーは抵抗があった。買うには買ったが、プライベートあってなきがごとし。今思えばとってももったいないことしたという無念お思いが募る。
ゲームは時節が重要なのだ。いくら名作であってもタイミングを逸したら楽しめる物も楽しめなくなる場合が非常に多いのだ。折しも今はツンデレブーム。PS2版が発売されてまだ日が浅い。環境が伴わないなら、いっそのこと作ってしまうのはどうか(我ながらムチャ言うな(^^;)。
コンティニュー誌上での「未来へ残すゲームな言葉」。任天堂山内社長の「娯楽とは新鮮な楽しさが重要」という言葉(うろ覚え)。少なくとも僕には、このつよきすの放った光の矢が鮮烈に突き刺さりましたヨ(^^)。
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自分がこれほど傾注しているタイトル。明日は月イチの出張なので更新が月曜夜まで途絶えることもふまえて、ここからはより具体的な話に入っていく。僅かながらネタバレを含む可能性があることをご承知おき頂きたい。まずは登場人物紹介。
※僕の価値観でかつ「やってない人向け」に書いているつもりです。
・容姿端麗明朗快活質実剛健大金持ちのお嬢様にして生徒会長なのにオッパイ星人な完璧主義者「霧夜エリカ」通称「姫」。ツン6デレ2。
→メインシナリオは比較的オーソドックスながら、途中である選択をすることで全シナリオ中最もブルーになる展開が。正直デレに転じてもあんまし変わりません。
・あずまんが榊さんのようなビジュアルで人を寄せ付けないオーラ爆発の口が死ぬほど悪いヤンキーのような振る舞いをするくせに料理が好きな1年年下「椰子なごみ」。ツン10デレ10。
→プレイヤー人気№1。僕もかなり好き。前半のツンツンがかなりキツイ分後半の癒し度が絶大。最初にプレイして心を奪われました。カニとのやりとりもとてもイイ感じ。全ての話の流れを考えるなら、これがラストかなぁ。
・主人公の幼なじみにして強烈なマシンガントーク&ハイテンションバカ一代。ビジュアルはロリ100%のお笑い担当「蟹沢きぬ」通称カニ。ツン3デレ8
→見た目の人気は低くともシナリオの完成度はかなり高い。個人的にはエロに行くまでで止めてもいいかも。キャラクターも物語もかなりピュアなラブストーリーなので、ある意味ベタな感は拭えないけどね。
・主人公のいとこにして幼少時より実の姉として接してきた義理人情と武道を重んじる最強の年上(一応ヒロイン)「鉄乙女(くろがねおとめ)」。※まだ攻略してないのでツンデレ指数はわかりません。
→一応まだやってないのでノーコメントで。
・表では面倒見のいい委員長にして姫のマブダチかつ巨乳かつ清楚なイメージだが、裏では本音と真実を押し殺すつよきすきってのダークサイド「佐藤良美」。ツン0デレ6
→いろんな意味で痛いシナリオだけど、声優の感情移入度、BGMともにクライマックスが最高に好きな話。PS2版にはなかったかも・・・。エンディングテーマは彼女の為にある。※一番最初の添付イメージはこの子です。地味ですが一番好きなシーンなので。
・つかみ所のないほわっとした空気と大人フェロモン出しまくりにして実はつらい過去もあるというありがちな「大江山祈」先生。ツン2デレ2くらいだけどまぁ言ってみればおまけ。
→不人気なのはディティールが甘いからか。ボリュームも少なく、アプローチ次第ではもっとずっと思い入れを育てることが出来たろうに・・・。途中のインターミッション的にクリアするのがオススメ。
以上が攻略可能な女性陣6名。しかしつよきすの本当の魅力はその脇役陣にある。特に幼なじみにして親友の「フカヒレ(本名新一)」と「スバル」のキャラ立ての素晴らしさは、正直一般コンシューマタイトルでも一度も見かけたことがないレベルの完成度。キャラの魅力こそが生命線とも言えるギャルゲーだからかも知れないが、こうした脇役に心血を注いでこそトータルの完成度が高まるのであって、作り手の愛と情熱を感じずにはいられない。
特に主人公やスバルの横にいて全くモテないフカヒレの一挙手一投足は、正直言って泣けるほど「自分」を投影する。いや、正確には彼ほどオープンに女性に接するような勇気も根性もないのだが、彼のセリフ一つ一つがプレイヤーの心の声を代弁するのだ。
彼の名ゼリフはあまりに数多いが、一番最近の彼の一言。 ←「HUKAHIREV.mp3」をダウンロード
幸せになった主人公に向けての一言。マジ泣かせる。あ、ちなみにこれ一つ聞いてボイスの質うんぬんはご判断なさらないで下さいね。「1を聞いて10を知る」という言葉はありますが、「1を聞いて万を知る」というのはさすがに無理だと思うんで。
つらつらと書き倒して来ましたが、もし「やってみたけどつまらなかった」って言われたら、謝るしかないです。キャラやら脚本やらはどうしても趣味が出るし、既に「ひいき目」で冷静には判断できないところまで来ちゃってる感もありますし。まぁアレだ、常日頃ギャルゲーをしてなくて、かつ絵柄に抵抗がなく、学園物のワイワイガヤガヤという雰囲気が好きな人なら★★★★★。それぞれが欠けるごとに★一つ下がるってところで。
つか今回は微妙な内容だったかも知れない。最後まで読んでくれた人がいたら、素直に感謝です。THANX!。
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