電話の思い出
前も少し書いたかも知れないけど、僕はメーカーに電話をするのが結構好きだった。会社や担当さんにもよるけど、小さいところだと稀に実際のクリエイターの方まで電話が繋がったりして、ゲーム誌に載っていないことまで情熱に任せて聞き出したりするのがたまらなく面白かったのだ。
ふと思い返すと小学5年の頃、歴史の勉強で昔旅籠(はたご)をやっていた宿場町のおじいさん相手に延々3時間以上話を聞きに行ったこともあった。僕はとにかく知識欲旺盛な子供だったので、教科書や参考書、先生の知らないような「事実」を知るのがたまらなく好きだったし、先方のおじいさんも年端もいかない子供が目を輝かせて矢継ぎ早の質問をしてくることを嬉しく思ってくれたのかも知れない。
人から話を聞くのが上手いと言われたことはない。むしろ僕はしゃべりたくてしゃべりたくて仕方ない方の、いわゆる「口から生まれた」タイプの人間だと良く言われる。でも気持ちよくしゃべりつづけるためには気持ちよく聞いてくれる人が不可欠なのだ。そして気持ちよく聞いてくれる人になってもらうためには、相手の共感出来る部分への情熱がこれまた重要になる。
ゲームに限らずクリエイティブな仕事というのは、どこかに「指標のない」ところが必ず存在する。自分が完全だと思い込んでいられる人ならいざしらず、大抵の人、例えばバーチャの鈴木裕氏であってもハングオンのロケテストを遠目に見て一喜一憂するものなのだ。それだけ自らの創造物というのは第三者から見てどうなのかの確信が得づらい。
だからこそその曖昧さを消し去るほどの情熱には、とても強い意味があると思う。僕は自分の興味本位で電話をしていたのだけれど、一方でどれほどあなたの作品が優れているのか、どれほど僕はあなたに「楽しさ」をもらったのかを伝えたいとも思った。
先方の名前は聞いてないけど、ヴァルケン、ドラキュラ月下の夜想曲、伝説のオウガバトルに関してはたぶん実際に作った人に話を聞けたような気がする。だってそうじゃなかったらあんなに心のこもった「ありがとうございます」は聞けなかったと思うもの。
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