小説のこと
常連のBlue Tasuさんの熱烈なるオススメにより、手に取った「サーラの冒険」っていうかこれは別に誰かに僕がお勧めするわけじゃない。っていうか僕がいくらその内容が面白かったからと言って、それを今自ら探して読むのは正直たやすいことではないと思うからだ。事実僕自身最新刊である6巻こそ店頭で見つけて購入したが、5巻以前は未だ見たことがない。だから今日ここで話す内容は、主に具体的なそのストーリー等の魅力ではなく、人にオススメすることの内側みたいな話だ。
小説はマンガと違って「絵」による魅力が薄い。中には魅力的なカットがそのイメージを大きく膨らませるケースもあるが、そのほとんどはあくまでもストーリー。話の善し悪しだけが読者に価値を見いださせる。だからその「話」にそりが合わなければ、例えば「絵はいいけど話は、、」とか「声優はいいけど、」「BGMはいいけど、、」という逃げが出来ない分、よりその嗜好はシビアに出てきてしまう。
それはどんな小説でも同じことだと思う。サスペンス、ラブロマンス、ジュブナイル、ファンタジー・・・どんな小説でも読み手に下地がなければマンガや映画以上に受け入れるのが難しくなってしまうものだと思う。それはいくら当人が著しい感銘を受けたから変わるという物ではない。
少し具体的な話に入ると、この「サーラの冒険」はソードワールドというテーブルトークRPGのサイドストーリー的な内容だ。ソードワールドはぶっちゃけてしまえば「和製剣と魔法の世界」。ドラクエやFFというライトでミーハーなファンタジーというより、むしろ遙か昔のパソコン版のファンタジーやロードオブザリングのようなちょっぴりハードな臭いがするものだ。
この「ハードな臭い」を誤解なく説明するとするなら、シビアとかシリアスとかではなく、むしろ「本格的な」とか「好きな人のための」というニュアンスを汲み取ってもらいたい。要するに「そちらを向いている」かどうかが非常にウェイトを占めるものなのだ。その点ある意味ミリオンセラーになるようなハリーポッターなどとは一線を画するかもしれない。
例えばそれはちょっとしたディティールにも見て取れる。ファンタジーは世界観が重要だからその風景描写、風や土のにおい、鳥や獣の声という「雰囲気」に非常に行が割かれる。正直僕からすれば、そんなことより当人たちの心理描写や、言動、挙動の方がずっとキャラクターに入り込みやすいのではないかと思うのだが、そこはそれ「ファンタジーはそういうもの」から立脚している以上いたしかたない。
先日集中的に読んでいたつよきすノベルは、そういった意味で言えば全く逆だ。情景どころかヘタしたら誰が言っているかわからないようなセリフの羅列があったりする。それはともすれば読者を易々と置いてけぼりにするが、一方でテンポと加速感を生み出す。ファンタジーが情景描写で読み手の脳裏に世界を構築するのとは非常に対照的だ。
だからそういったイメージを楽しめる人になら、このサーラに限らずファンタジーのRPGはかなり受け入れやすいものとなると思う。もちろんこれは僕の推論でしかないが、例えば旅行に行く前にいろんな風景や食べ物、娯楽施設等にイメージをつよく馳せることが出来る人の方が、小説は楽しみやすい、と思うわけだ。
で、
話をより具体的にしていくと、僕は結局この本を1冊なんとか読み終えることが出来た。「なんとか」というのは、その世界に対して自分の中で構築するまで、本で言えばわずか四分の一程度の分量だとは思うが、自分の中にない架空の町や洞窟、登場人物のキャラを立てるのにそれだけ時間がかかってしまったのだ。
※だから既存のゲームやアニメなどで既にその世界が構築されているようなノベライズの場合は、かなりこれが変わってくると思う。要するに楽だと思う。
しかしそれがしっかり出来てしまえば話は別だ。このノベルを評価する人の多くがきっとそうであるように、彼らの冒険、彼らのセリフ、彼らの楽しさや苦しさ、いろんなことを共有したいと思うだろう。いや、思い続けるに違いない。それだけキャラを受け入れるということは深く濃いことなのだ。
ここで話を少し大きくする。
娯楽に限らず経験に依存する事象というのは(以前も書いたかも知れないが)すべからくスタートが存在する。親や兄弟が大好きで子供の頃から頻繁に触れていたり、学校で流行っていたり、好きな人の趣味だったり、友人の薦めだったり・・・。先天的に感銘を受けてその道に入る人が絶対いないとは言い切れないが、その人であってもきっかけは必ず存在するはずだ。
僕のブログは主にゲーム、マンガ、映画、アニメ、プラモというような比較的若年層を主体に訴求する娯楽が中心だが、それはとどのつまり僕の中の「子供っぽい部分」のウェイトに起因する。何が楽しくて何がつまらないのかがよりわかりやすくストレートなものに僕は心を惹かれやすい。映画でもハリウッド系のもの、マンガでもミリオンセラーになるようなもの、音楽はミーハーなJ-POP中心とそこにあるハードルはどれも低い物ばかりだ。単純に僕がそういうものが好きということもあるが、同時にそれは「伝えやすい」ということでもある。
きっかけはとても重要で、より強いアピールによってより高いハードルを超えることはあるだろうと思う。信頼や義理で超えるケースも否めない。だが、重要なのはそれを超えた先にある「楽しさ」だ。高額な周辺機器とアクセスの為の知識、毎月の金銭的負担を超えてなおFFを始める、続けるのは、その先にある楽しさがとても輝いていたからだ。いつもの友人の嗜好とは距離があるとわかっていてもせつせつと「つよきす」の楽しさを伝え続けたのは、僕にとってそれが偽らざる面白さを抱いていたからだ。
そして、
たった一編のノベルを「送りつけてでも読ませたい!」と思うのは、その輝きに絶対の自信があったからに他なるまい。
ここで僕がサーラに関してどう感じたのかを詳細に語ることはしない。が、強い熱情に抱かれた作品が、取るに足らないものであるはずはないのだ。それはきっかけとして必要十分であるし、事実僕の中で結実した。
コミュニケーションとは、そんな「ちょっとずつ自分を広げていく楽しさ」が根底にあるのかも知れないね。
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コメント
熱烈にすいません、BlueTasuです、こんばんわ。
すでに3時。明日仕事やばいなぁ、と思いつつもこれにコメントはせずには眠れないです。
クリスさんには送ってくれた以上、「読まなければならない」 的な義務感があったとは思います。
また、この記事はそれに対する義務感から生じたのではないか、とも思いますし。
事実、そのケースは否めない、とも書いてありますしね。
その辺は申し訳ないことをしたなぁ、と反省している次第であります。
あ、ちなみにこのレスは義務感じゃないですよ(^^;
私はソードワールドをTRPGゲームとして遊んでいた、という実績があります。
ですから世界観や使用している魔法等も名称から効果など、データ化されたものを知っています。
つまり、文中で仰るとおり、私はこのライトノベルを読むにあたり、非常に楽なスタンスで読み進めることが出来たわけです。
でもクリスさんにはそれがない。
そこが、私にとっての一番の心配の種でした。
事実、世界観を脳内に構築するまでにかなりの苦労をしていらっしゃるようでしたし。
そういう私の思惑を汲み取ったうえで読んでいただけたことは、素直に嬉しいです。
言葉にすると簡素なイメージですが、本当にマジですっげぇ嬉しいんですよねー。
……言えば言うほど薄っぺらくなっちゃうような気がしてきましたが(^^;
つか、ソードワールドの入り口をサーラとするのがまずダメなんですよね。
ソードワールドにはプレイ内容を録音し、編集した口語式で書かれた素晴らしい媒体、リプレイがありますからね。
ソードワールドを楽しむ多くの人にはリプレイが入り口となってます。
ですが、あえてサーラを薦めた理由はただひとつ、3,4巻を読んで欲しい……。
1,2巻の内容でしたら私は薦めませんでしたね。
3,4巻があるからこそ薦めました。
たぶん、2巻はクリスさんにとって突っ込みどころ満載の巻だろうなぁ、と思ってましたし。
コメントをみても止まってますし、ツッコみ入ってますしね。
一応フォローすると、ああいう展開になった理由などはいくつか思い浮かぶのですが、(デインたちは1巻のあと、すぐ村を発たなくてはならなかったため、詳しくサーラと打ち合わせる時間がなかったとか、サーラが字を読めない事実を知らなかった、など) そこらへんは推測の域をでないですしね……。
ともあれ、3巻が私の一番好きな巻なので、それまでは頑張ってほしいなぁ、とか思ってます。
あと、サーラが店頭で見つからない件ですが、確かにもう10年以上前のものですので新刊では見つからないと思います。ですが古本屋だと結構な確率で見つかると思いますよ。
実際、私の周りの古本屋では置いていない店がないです。
以下、ちょっと関係ないレス。
>宇多田ヒカル
私の一番好きな曲はトラベリングなわけですが、その次に好きな2ndシングル曲、Movin' on without you はランキングにないんですね……。
まだNewアルバムは借りてませんが、今度探そうと思います。
>漫画
椎名高志 = GS美神 極楽大作戦!!、絶対可憐チルドレンなど
皆川亮二 = スプリガン、ARMS、D-LIVE!!! など
あとゲーム、ライブ・ア・ライブの現代編のキャラデザもこの人
北条司 = キャッツ・アイ、シティハンターなど
浅野りん = CHOKOビースト!!、PON!とキマイラなど
冬目景 = 羊のうた、イエスタデイをうたってなど
羅川真里茂 = 赤ちゃんと僕、しゃにむにGOなど
尾田栄一郎 = ワン・ピース (ONE PIECE)など
青山剛昌 = ヤイバ、4番サードなど
荒川弘 = 鋼の錬金術師など
ってところですかね。
最近ではサンデーは買わなくなりましたが、椎名高志の絶対可憐チルドレンだけは立ち読みで絶対読んでますね。面白いです。
投稿: BlueTasu | 2006年9月 6日 (水) 03時42分
ばんわですBlueTasuさん、PSUこりゃなかなか繋がりそうもありませんね(^^;。とりあえず何度かアクセスを試みるもよほど参加者をきつく制限しているのか、キャラメイクもままならない状態。とりあえずここはひと眠りでもして3時間後にタイムスリップするしかないかなぁという感じです(^^;。
さて、サーラについていろいろ気を使わせてしまって申し訳ないと思います。っていうかスゲェつまんないのであればそれはそれで開き直って読まないわけですが(^^;、そうじゃないから始末が悪いというか、、、まぁ読みすすめれば普通に楽しいんですよね。今だってちょうどミスリルが颯爽と現れたところで、
「オマエってそんなかっこいいキャラだっけ?」
と思いつつ口元がにやける自分がいるわけです。溜めて溜めて、、、はあまり好きではないのですが、そこまでたどり着けさえすればあとは気持ちのいいカタルシスが待っているわけで。
とりあえずマイペースではありますがのんびり読んでいきたいなぁと思っておりますので、もしよろしければ、つよきすを返送する際にでも5巻をお貸し頂ければと思います(^^;。つか5巻まで到達するのにまだかなり掛かるでしょうから、全くせっついてるわけではないことをご理解頂きつつ、、、ですけれど(^^)。
>ヒッキー
「Movin' on without you」・・・すっかり忘れて多ので改めて聴いてみました(^^;。嫌いじゃないけどシーンが浮かばないなぁ。なんつかその頃自分はどういう距離で、、、ってサビを聴いたら浮かんできたよ!ああこれかぁ。つかPVも見てみたけど「若い!」つか別人みたいですな(^^;。この頃のヒッキーは。なんつかこの頃の曲をいくつか聴いてると最近はちとパワー不足かなぁと思ったりしますね。
>マンガ
読んできた経緯の差を感じるなぁというところでしょうか(^^;。つか特報王国が終わってからこういうののランキングに凄く疎くなってしまったのですが、そもそもコミック自体が売れてるのかどうかもよく分からなかったりします。まぁコンビニにも入荷するようなレベルのもの(例えば頭文字Dとかバガボンドとか一歩とか)は売れてるのでしょうけど、意外と(冊数的には)ランキングで1位をとってもさほどでもなくなったのかなぁとか。今でもジャンプ→マガジン→サンデーの人気順なのでしょうか?
投稿: クリス | 2006年9月 6日 (水) 22時57分
日付変更線越えましたが未だにログインできない負け組、BlueTasuです、こんばんわ。
キャラメイクが楽しみなんですけどねぇ、繋がりません。
No.051以外にも、No.60やNo.21、No.30ちょいのもでたりします。これって私だけでしょうか……?
早くやりたし、PSU!
>サーラ
2巻はミスリルが主人公ですね(^^;
基本的に読後感は良いと思いますので、頑張ってください。
>つよきす
送っていただきありがとうございます。
もうすぐ届くのかな? PSUがこんな状態ですので、来たら即素奈緒ルートで遊んでみたいと思います。
美味しいモンは先に食う主義。
>まんが
ジャンプが一番であることは確かでしょうね。
たぶんその順番じゃないでしょうか?
最近サンデーは読むものが減っちゃって……10年くらい買っていましたが、今年、ついに買うのをやめました。
買い続けていたものをやめる、というのはなかなか切ないんですけどね。
投稿: BlueTasu | 2006年9月 7日 (木) 00時22分
同じエラーでも60や52が出るだけで嬉しくなったクリスです。BlueTasuさんまいどです。つか日本中で自分だけが接続出来ないんじゃないかって気になってくるよね。悲しいというか切ないというか、どんどん遅れをとっていってしまうんじゃないかというか・・・。でもまぁ仕方ありません。とりあえず今セガにアクセスする方法は一方通行のメールしかないのです。せめて51の中身くらい知りたいなぁ。
>つよきす
素奈緒ルートからやるのはウチのブログ読者であればある意味自然流れと言えるでしょうね(^^)。キャラが一人だからセーブもフルに使えるし、「過度な期待」をしない範囲で楽しんで欲しいです。あんまし言うと面白さを削ぐことになっちゃうから、感想はBlueTasuさんのブログにでもアップして下さいませ(^^)。
>まんが
今夜のブログネタもマンガネタだったり。でも最近の10年サンデーを買っていたというのは僕にしてみるとズレが否めなかったりしますね(^^;。つまらないというわけじゃないけど、きっかけがないと読み始めづらいというのはありますね>週刊で。
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しかしPSU繋がらないねぇ。とりあえず今夜も早寝して明け方3時4時にトライするつもりではありますが、ホントなんとかならねぇのかって思います。つかさ、順番待ちにしてくれよ、と。待つからさ、と。じゃなきゃなんか不公平な気がしてくるんだよな、関東の人だけ繋がってるんじゃないか、とか。そんなこと思いません?
投稿: クリス | 2006年9月 7日 (木) 20時34分