ギャラクシークエスト(洋画)
まず最初にトムニャットさんに謝らなければならない。この作品はその昔いたく強力にお薦めいただき、僕もビデオを借りて見たのだけれど、ぶっちゃけ面白くないという感想しか残さなかった。とにかく序盤の仲の悪いメンバーや、空回りする酔っぱらいの船長に辟易とし、物語を全て見るまでもなく寝てしまったのだ。
しかし先日もトムニャットさんからこの名がコメントに出てきた。「銀河ヒッチハイクガイドはギャラクシークエストの合わなかったクリスさんには・・・」的な。体感では10年くらい前の作品だと思われるギャラクシークエスト。なのに今なおその名を口にするというのはどういうことか。
奇しくも古いラジオを聞き直していたら、伊集院もまた「ギャラクシークエストは2300円くらい払う価値がある」と言っていた。今ならもしかして眠らずに最後まで見られるかも知れない。
360にDVDをセットし、おもむろに再生する。
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つか以前自分が途中で見なくなったのも無理ないなぁという感想が思いっきり去来する序盤。以前から再三書いているけど、僕は頭の悪いヤツが大嫌いなのだ。情けないヤツを見るとチャンネルを替えたくなるのだ。
※ライオン丸とかスパイダーマン2とかバックトゥザフューチャーのオヤジとか。
→最後のは主人公が情けなくないから結構平気だったけど。
ストーリーテリングというのは常套手段として一旦かっこわるい主人公を見せてから、徐々に見せ場を作って磨き上げていくケースがある。その場合とにかくその対比が大きければ大きいほどカタルシスがでかくなるから、最初さえ我慢すればどんどん映画は楽しくなっていくはずなのだ。はずなのだが、、、以前はそれが我慢出来なかった。
しかし昨日は違う。DVDということもあって収録されている予告から見てテンションを上げておき、何とか序盤を乗り切ることが出来た。というか「乗り切る」という表現がまことにしっくりくる。とにかく「つかみがBAD!」な作品というのは映画に限らずマンガでもゲームでもドラマでも全然のめり込めないのだ。
さて、そんなこんなで序盤を越えてくると話は別だ。情けないクルーたちのユニフォームやともすればコスプレとも取れる敵役の特殊メイク。様々な小物・宇宙船のデザインから派手なVFX、シガニーのオッパイにいたるまで全てに整合性がある。荒唐無稽でコミカルな「あり得ない話」をいかに面白く見せるかのポイントがきっちり抑えられているのだ。
念のために書くが、この場合の「整合性」というのはつっこみどころがないというのとは違う。重要なのは世界観であり統一感、疾走感なのだ。わかりやすい伏線と気持ちのいい答え。よどみない展開に思わず中腰になってしまう自分。「そうこなくっちゃ!」などと今時安っぽいアニメにも出てこないセリフが口をついて出る。中盤以降の展開はそれほどまでに良くできているし、純粋に面白い。
そこまでの作品でありながらやはり人に勧めるのは少々ためらう。とにかく序盤の情けなさは「あそこまで落とさなくてもよかったんじゃないの?」という気すらするレベルだし、シガニー・ウィーバーを除いてコレと言ってメジャーな俳優は出ていない。味方宇宙人の表情や動きに嫌悪感を抱く向きもあろう。でもこれだけは確信する。
最後まで見たら絶対見て良かったと思う
ギャラクシークエストはそんな作品だ。以前の評価は★1つくらいだったけど、7年越しでその評価を訂正する。これは★★★★の作品だ!
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コメント
クリスさん、こんばんわ。トムニャットです。
オススメした手前、喜んでいただけたとは嬉しい限りです(^^)。実際、スタートダッシュが弱い映画なのは確かですね。主人公の艦長も酷いヤツで、適当に敵艦へ攻撃したせいで、純真な味方宇宙人を大変な不幸に追いやっているし。
ただ、プロテクター号の全貌が見える辺りで盛り上がってきますね。SF映画らしくなってきますので、SFオタクとしては非常に燃えるシーンでした。それに宇宙人といえば、タコ・トカゲ・灰色の小人という古典SFのお約束を踏まえているのも、ポイント高し。造型にも妥協していませんし。
うーん、以前見てから結構経つので久しぶりに見返したくなりました。
余談ですが、日本語吹き替え版では、ガンダムのブライトさん役で有名な鈴置洋孝氏が、艦長の声を担当されています。日本版スタッフがガンダムを意識したのかは、分かりませんが知っているとニヤリとしてしまうポイント。悲しいことに、鈴置氏は先日亡くなられました。世界は惜しい人を無くしたものです。
ちなみに「銀河ヒッチハイクガイド」はやっぱり主人公がヘタレでそれも最後までヘタレ切っているので、クリスさんにはお勧めできない、と思いつつも、観て損はないかと。一応ハッピーエンドです。過度な期待はせず、ゲームとか他のことをやりながら観ればよいかもしれません。SFはやっぱ「絵」なのかなぁと思わせてくれる一本ですよ。
しっかし、最近は公開が楽しみな劇場作品がなくて困っています(SFに限らず)。こないだ、ちょっと触れました「エラゴン」はCMを見てもあまりピンとこない状態。なんとなくターゲットはハリー・ポッターファン層なのかな~。
投稿: トムニャット | 2006年12月11日 (月) 22時51分
どもですトムニャットさん、きっとレスを下さるものと思っておりました(^^)。まず最初にブライトさんが亡くなられたとは知りませんでした。かなりショックです。つか声優さんだって人間だもの年取れば死んじゃうことだってありますよね。でもなぜか心の中では「いつまでも聞こえる声」として認識してたりする。
キャンディキャンディを歌っていた堀江美都子さんが、ほんの数年前にテレビで歌ってたんですよ。僕の記憶が確かならこの曲を歌っていた頃既に彼女は20代後半だと思うからヘタしたら50(60?)超えてるくらいの年齢なハズじゃないですか。でも彼女は「違和感をギリギリ抑えて、冷笑ではなく安堵を与えてくれる衣装と表情」で歌ってくれたんですよ。なんつか凄く嬉しかった。アイドルとまではいかないですが、アニメソングが好きな自分が描く彼女のイメージが崩れずに済んだことを凄く感謝しました。
それが声優さんにも言えるような気がするんですよね。ガンダムとかもう数え切れないくらい何度も同じようなセリフを言わされてると思うんだけど、それでもそれが使い回しじゃないことを嬉しく思うんですよね。古谷徹さんだってもうおじいちゃんと言える年齢かもしれないのに、「オヤジにだってぶたれたことないのに・・・」ですからね(^^;。
むしろ最近ある程度アニメから距離を取ってる分ショックが少なくて済んでるのかも知れません。山田康雄さんが亡くなられたときほどのショックはやっぱりないですからね。
話がそれまくりましたが、とにかく序盤、全員が宇宙船に連れてこられるまでですね。ツライのは。そこまで行けばあとは最後までしっかり楽しめると思います。個人的に好きなのは「知ってるヤツに聞けばいい」というくだりと、ラスト。「上手いなぁ(^^)」なんてテレビの前でニヤニヤしてしまいましたよ(^^;。
銀河ヒッチハイクガイドの「最後までヘタレ」はちと怖いかも。でもハッピーエンドはよさげかも。「絵」の大切さはゼルダをやっていても(逆の意味で)痛感しているところですし、ギャラクエのきっちりした絵作りにも居心地の良さを感じたばかり。テンションが上がったら見てみることにしますね(^^)。
投稿: クリス | 2006年12月11日 (月) 23時09分