子供の自慢
今日は「学校の日」というやつでたまたま自分の仕事休みと重なったので行ってきた。子供が二人いると親二人でちょうど割り当てが出来ていい案配である。
つか書くことはそれほど大したことじゃないが、長男(小五)の道徳の参観で、とても気持ちのいい経験をしたので、ちょっとだけそれを書いてみる。誰かに見せても「ふーん」という話なのだが、まぁたまにはよいではないか。
その授業は、まず一編の短い物語を読み、あなたならどう考えるか、というものだった。まぁありがちと言えばありがちだから別に具体的な中身まで書く必要はないのだが、これを書かないとあまりにもあっさり終わりすぎるので少しだけ触れておく。
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デパートにおばあちゃんと一緒に来た5歳の子供が積んであったダンボールを崩してしまう。しかし子供は悪びれもせず「早く早く」とおもちゃ売り場へ駆けていく。おばあちゃんは子供を見失いそうで不安になりながらも崩れてしまったダンボールを片付けていたのだが、そこに二人の子供が通りかかる。
この子供は、悩んだ末おばあちゃんに「お子さんのところへ行って下さい」と言い、自分たちでダンボールを片付けることにする。しかし片付けている最中に店員が来て「こんなところで遊んではだめでしょ!」と叱咤する。自分がやったのではないのに、怒られて「こんなことなら手伝わなきゃよかった」と二人は嫌な気持ちになる。
片付けが終わる頃になっておばあちゃんが戻ってきて、丁寧にお礼を言う。二人は、とまどいながらも「いいです」と言い、その場を後にした。
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ポイントは二カ所。一つは「自分のせいじゃないのに怒られた時の気持ち」と「最後におばあちゃんにお礼を言われた時の気持ち」。
一つ目の気持ちは、ほとんどの生徒が「嫌な気持ち」「腹が立つ」「手伝わなければよかった」と、文中の子供と同じような気持ちを吐露する。そりゃそうだ。そう書いてあるんだから。
そして二つ目も、「とまどう」「でも嫌な気持ちが残る」「だいぶ嫌な気持ちがなくなった」という答え。これも至極当たり前と言える。別に小学生でなくともこの文章を読んでこの感想が出る人間の方が圧倒的に多いだろうと思う。
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長男は授業の前半一度も発言をせずずっとツメをいじっていて、心ここにあらず、という感じだった。他の生徒が真剣に授業を受けているのに、父親も見ているのに、なにをやっているんだという気持ちがピークになり、思わず(一番後ろの席だったことも手伝い)彼に厳しく(でも小声で)「真剣にやれ!」と叱ってしまった。まぁろくに授業を聞いていなかったように少なくとも僕には見えたからだ。
しかし、彼の答えは自分の子供であることのひいき目を抜いてなお痛快なものであった。
一つめの気持ち。濡れ衣を着せられた時の彼らの気持ちは、
「別に自分は正しいと思ってやっているんだから、何を言われても平気」
そして二つ目の気持ち。
「子供が見つかってよかった。安心した」
なんて意外。そしてなんてキレイな答えだろう。みんなの視点、たぶんそこに居合わせた父兄も生徒も全員がその意見を見つけられなかったはずだ。僕もそうだった。なぜならその瞬間クラスがどよめいたくらいなのだ。
僕はとってもいい気分になったが、一つだけ気になることがあった。要するにこの二人の気持ちとは全く別のところにある感性は果たして正解と言えるのか。むしろ文脈を全く考えていないと先生に取られてしまうのではないか。
授業が終わってすぐさま子供を呼び、先生に直談判した。「これはどうなのか」と。
先生の答えはいたって冷静で、
「国語なら×ですが、道徳なのでVERY GOODですよ!」
僕もそう思う。誰かの答えじゃない。自分の答えを明確に発表する行為は、全員対1人であっても不正解なわけがない。もし先生にNGを食らっても僕は子供を褒めるつもりだったけど、この一言はとても嬉しかった。そしたら横にいた他のお母さんも、
「○○くん(長男)の答えはときどき大人でもドキリとさせられますよ」
と言ってくれた。前半は最低だったが、今日の授業ではオマエがヒーローだったぜ!
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コメント
ここでのコメントは久しぶりなので恐縮気味のBlueTasuです、こんばんわ――といいつつ書いているのは午前中。
道徳の授業――なんと懐かしい。
習う事に意味があったのかと、授業を受けているときはずっと思っていたのですが、こういう視点で見ると、この授業の意味も良くわかります。
それにしても長男くんの解答は良いですね。
そういう 「誰にも考えが及ばなかったところを見ることができる」 という視点は、クリスさんの危惧するとおり、危険でもあり、正しくもあり。 決して集団生活という枠組みの中では得られない感性であり、思想だと思います。
先生みたいな言い方ですが、その良い部分を伸ばして言ってあげて欲しいですね。
クリスさんのこういったブログは久々なので面白かったです。
投稿: BlueTasu | 2007年1月22日 (月) 11時29分