« みなさんのおかげでした | トップページ | テレビのちょっと未来 »

2007年5月26日 (土)

便利なテレビ

インターネットとテレビが繋がって双方向のやりとりが可能な強力なデジタルメディアが生まれるかも知れないって話をしばらく前に書いたんだけど、その後の週間アスキーで自分が書いてたこととほとんど同じような内容が取り上げられててちょっぴりニヤリ。でも一方で、

 ホントにそれって便利か?

と思う自分が生まれたりもした。CM→即購入出来るということや、ドラマで使ってる→即調べられるというのは確かに便利だし、広告のあり方としては至極真っ当なフィードバックが確実に見込める「正解」に近い流れだとは思う。確かにそれによって創造されるニーズもあるだろうし、結果もそれなりに出るとも思うんだけど、

 意外と思ったほどではない

んじゃないかなぁとも思えてきた。

僕は自慢でも何でもないただの事実として、僕以上にパソコンを使っている人を(オフでの知り合いでは)知らない。詳しいかどうかと言う着眼も、壬生さんやGTSさんと比べたら当然のように大したことはないんだけど、一方で普通の知り合いは驚くほどパソコン、ネットというものに馴染みがなかったりする。携帯のメールはちょっ早だったり、ネットゲーやギャルゲーに詳しかったり、外為で私腹を肥やしてる人もいるけど、トータルで自分ほど暮らしに密着してる人はいない。たぶん「壊れた→即購入」という人は1人か2人しかいないんじゃないかとも思う。もちろん持ってない人も多い。

そういうライトな人は、実はビデオすらあまり使ってなかったりする。別に映画を見に行くでもない、DVDを借りるでもない、テレビはただ飯の時間や食後の団らんに点いているという存在。テレビ欄は見るけどテレビガイドを買うわけでもなく、子供達とチャンネル争いをしたりもしない。たまに見たい番組がかぶって録画することはあっても、それはまぁ非日常であってその為にHDDレコーダーを買うほどでもない。

多少裕福になっていけばそこで当然のように大型液晶テレビやDVDHDDレコーダーとかを持っていたりする人にシフトしていきそうな気もするんだけど、果たしてどれだけの人が

 「保存」「再視聴」

することに能動的か甚だ怪しいものだと思う。実家ではケーブルテレビを引いていて僕もゲームセンターCXを見たりもするんだけど、別にオヤジがスポーツチャンネルや競艇チャンネルを見るのは何度も繰り返し同じシーンが見たいわけでは決して無く、その場その瞬間をより快適に過ごす為の手だてに過ぎないのだ。

僕なんかはCMがじゃまだなぁと思ってキャプチャした素材からは一つ一つCMをカットしたりするんだけど、それだって昔ビデオが初めて登場したときから、

 テレビの前に陣取ってCMの度に一時停止を繰り返す

ような人だったからそういう作業が苦にならないし、むしろ一種の娯楽とすら捉えられるけれど、普通ビデオを使う人はタイマー録画でCMのところは早送りするのがせいぜいだろうと思う。いや、世代によっては早送りすらしないだろう。要するに何が言いたいかというと、

 テレビは必要十分に番組を流してくれさえすれば、今のままで何も不満はないのでは?

ということなのだ。別にハイビジョンになる必要もなければ、デジタル化とかして双方向になることもなく、もっと言えば録画だって出来なくなってもいいんじゃないか。チャンネルが少ない地方とかはさすがに不満が多いとは思うけど、それだってその環境に慣れてしまえばさしてどうということはないんじゃないか。むしろヘタなことをして今の環境が崩れてしまうことの方が遙かに不満を引き起こす、地上波デジタルが、全否定される可能性をもっと真剣に考えてもいいんじゃないか。

そんなことを思うわけです。

「全否定」というのは、要するに全くメリットがないという意味で、全員から否定されるという意味ではありません。なんつか、

 テレビ離れ

してしまうんじゃないかという。みんなテレビ見なくなる=テレビを基幹にした広告媒体が根底から否定され、それによって収益が激減し、芸能人、業界人という職業そのものの価値が下落してしまう未来。見たくても見られなくなる層ってのが実は結構年齢的にもお財布的にも一番重要で、むしろ業界側が

 タダで地上波デジタルのテレビを設置させて頂きますよ!

くらいのアクションを起こさなければ、

 「そんな面倒ならもうテレビはなくてもいい」

と言い出しかねないんじゃないかと思ったりするわけですよ。アレコレ出来るからとか別にいいから、とりあえず普通のテレビを見せてくれ、という層がもし行政や業界が思った以上に多かったりすると。

今自分が楽しみに見ている番組は「未来創造堂」だけ。録画してところどころ見ている番組が「みなさんのおかげでした」「ジャンクスポーツ」「鉄腕DASH」。子供が録画してって頼んで来るのが「ケロロ」「ブルードラゴン」。要はこれだけしかないわけです。強いて言えば晩飯の間に流しておく番組が欲しいと言えば欲しいですが、これとて録画してほど見たいわけでも高画質で見たいわけでもない。

 テレビはテレビ以上になるとむしろ逆に不便になる。

そんな気がしてきた今日この頃です。

|

« みなさんのおかげでした | トップページ | テレビのちょっと未来 »

コメント

こんばんは。私はそういう職業なのである程度知らないと食ってけないんです爆。
一般的な方は言われるような方が多いんでしょうね。先日も知り合いに5万くらいでPCをと言われてしまい少し困りました。おそらくwebとメールくらいができればいいんでしょうけど、ついついそのスペックではアレが困りそう、コレが困りそうと思うんだけど、実は当人はきっと困らないんだろうな。テレビというと私はハイビジョンを見始めたのはわりと早い方だと思いますが、停波するまでアナログ見るよという同僚もいます。同じエンジニアでもそういうものにまったく興味がない人もいるし、PCすら仕事以外ではさわらない人もいますね。テレビを見ながらそこから注文などは今の地上波デジタルでは一部やってたりします。あと放送屋はwebを敵視しているようでアドレスを表示するのも非常にいやがるそうです。テレビという放送媒体もwebにかなり時間を取られているのでしょうね。

投稿: 壬生 | 2007年5月26日 (土) 00時52分

ばんわッス。最近なんだか晩飯食ってから夜寝るまでが異常に早いというか、何して数時間過ごしてるのか謎。つか今日もいつの間にか1時間経ってるし・・・。人生無駄にしてる気がしてちと焦り気味です(^^;。

「5万PC」はありますよね(^^;。僕も何度もそれで手を打とうと思いつつ、「結局すぐHDDが手狭になるじゃんか」とか「そうは言ってもメモリだけはいるだろ」とか「グラボなしってのはあんまりだよなぁ」とかで霧散する感じ。それはそれで価格分以上の価値は見いだせるんでしょうけどねぇ。

放送屋がweb嫌いってのはよく目にしますね。ただ正直なところ、ちょっと前までは「そんなこと言っても結局飲み込まれちゃうんだからあきらめて迎合する手段を講じればいいのに」と思っていたのですが、今はむしろ「もしかしたらアンタラのわがままが押し通せるかもしれないなぁ」と思ったり。要するにネット需要よりテレビ需要の方が圧倒的に強い=発言力があると思えてきたんです。

正直今はまだ答えが出ていない気もします。あと2年くらいしたらきっとかなり違う状況になってるんでしょうね(^^。

投稿: クリス | 2007年5月26日 (土) 21時55分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 便利なテレビ:

« みなさんのおかげでした | トップページ | テレビのちょっと未来 »