燃えよドラゴン
久しぶりに見る機会を得たので、美味しいところだけ飛ばし飛ばし見た。つかやっぱブルース・リーは違う。かみさんに言わせれば「彼の魅力は男性にしか訴求しないもの」のようだが、いやいやどうして、
やはり彼は美しい。
モーションの一つ一つ、筋肉の一つ一つに芸術がある。例えば僕らの世代で言えばむしろジャッキー・チェンの方が作品としても接する機会が多かったし、事実子供の頃は明らかに「ジャッキー派」だった。でも今この歳になって改めて見ると、ブルース・リーにはこけおどしがない。もちろん武術の達人かどうか、リアルかどうかと言えばジェット・リーには遠く及ばないのだろうけど、人を惹きつける魅力というのは、別にそれが格闘家であるとか映画俳優であるとかいう次元とは別にあるような気がする。八百屋の店先で大きな声を張り上げていた店員が見初められて名人と呼ばれることだってあるのだ。
ブルース・リーの武術は「ジークンドー」というらしい。詳しくは知らないが、燃えよドラゴンを見ていると、そのインパクトの大きさがどれほどだったのかを改めて知ることが出来る。要するに国内の映画、ゲームにそれをオマージュとする演出のなんと多いことか。
スパIIのフェイロンはもはや「似せすぎ」と言ってもいいレベルで彼をリスペクトしている。技、声、筋肉と表情やディティールに至るまで「ドラゴン=龍=ロン」という名に偽りがない。やや小柄なところもこだわりの一端だろう。
※個人的には烈火神拳の最後の手の震えが白眉というところかな。
ジークンドーということで初代バーチャのジャッキー&サラが使っていたこともウンチクとして蘇ってきたが、燃えよドラゴンで彼の放つサマーソルトの美しさは、まさしくバーチャ1のブライアント兄妹のそれと酷似する。まるでブルース・リーをモーションキャプチャーしたんじゃないかという既視感すら覚えるほどに。
他にも鉄拳やイーアルカンフー、PCエンジン初期の「ザ・功夫」など枚挙にいとまがないが、久々にオリジナルを見て思ったのは、
やっぱこれが一番ブルース・リーしてる。
という何ともおかしな納得でしたとさ。つか彼が出てるシーン以外は全てどうでもよく、飛ばしても全然構わないし、セリフに関しては全くヘタクソというか、ほとんどしゃべらないので、それも気にしなくていい。っていうか国内のテレビ放送時は吹き替えだったはずなんだけど、こんだけしゃべらない映画だとそれもあんまし関係ない=子供でも楽しめる映画だったんだなぁと感じることしきりだったな。★★★★。
余談だけど、これを見ててふとトニー・ジャーのことを思い出した。トニーの体術は確かに見るモノを圧倒するけど、引き込まれはしない。一挙手一投足をマネしたくなるようなカリスマじゃない。ブルース・リーを越えるアクション俳優は未だにいない気がした。
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