« プラネタリウム | トップページ | エレメンタルモンスター~その2~ »

2007年10月16日 (火)

エレメンタルモンスター

  最初に書いてしまうが、僕のこのタイトルの評価はすこぶる高い。いつものように★で表すとするなら★★★★☆の9点。でもって本音を言えば出来るだけ多くの人にやって欲しいとも思う。日頃こういったたぐいのゲームをプレイしない人でも、出来たらやって欲しいなぁと思う。これは個人的に非常に良くできたゲームだと思う。

エレメンタルモンスター、通称エレモンはハドソンのニンテンドーDSタイトルで、要はトレーディングカードゲームだ。ポケモンカードやマジックザギャザリング、カルドセプトや、最近のニュースで言えばカードヒーローみたいな、デッキを作って相手と対戦するタイプのストラテジーゲームだ。RPGのようにレベルが上がったり、アクションのように指先のテクニックは要求されない。求められるのは地道な戦いの繰り返しに対する耐久力と、様々なカードの性能をブレンドしてコンボを作り出す想像力だ。だから別段年齢や性別に関するハードルはそれほど高くないと思うが、ビジュアル的に寺田克也のようなタッチの絵は女性に訴求しづらいと思うので、概ね男性向けではあるかも知れない。

先ほど「地味な戦いの繰り返し」と称したが、実際の戦闘はそれほど作業的にはならない。さすがに同じ敵相手にずっと戦い続けたり、非常にカードがたくさん集まってデッキが強化された後に序盤の相手と再戦すれば、その戦いは作業色が強くなるが、それはまぁどんなカードゲームでも言えること。その点でさほどナーバスに警戒することはないだろう。

さて、ここからは具体的なゲームシステムに触れていくが、僕のカードゲーム(今回はコンピュータカードゲームに限定)絡みの経験と併せて書いていきたい。文面から趣味嗜好を推し、エレモンに対するイメージを膨らますのもいいかも知れない。

まず僕が好きなカードゲームの条件として、

●ある程度短時間で勝負を着けられる。もしくは着けられる可能性がある。

デッキが強くなったことを実感するのに、速度は切っても切れない。全体のテンポが悪くてはその辺り興ざめだし、一戦するにも気合いが必要になる。

この点で過去最高のタイトルはなんと言ってもネオジオポケットの「激闘カードファイターズ」だ。とにかく対戦よりもデッキの強化に特化されたシステムはカードが強ければ強いほどデッキが強い。強いカードを使う為の足かせもなく、逆にそれがこのゲーム最大の特徴であり魅力でもあった。対戦にウェイトを置く人からは敬遠されがちなこのシステムもことグルーブ感のあるカードゲーム、より高みを目指すスタイルを由とするプレイヤーからは絶大に支持されたとも思う。僕自身「本体ごと買う価値がある」と言われて購入したタイトルだが、まさしくネオポケはこのタイトルの為に存在したと言ってもなんら過言ではない★★★★★傑作。

その点エレモンは合格。短ければ2分ほど。長くても10分程度で1戦が終わる。コンピュータ戦で連戦を強いられる場面もあるが、それとて2本先取制なので、それほど気負う必要もない。そもそもエレモンは、

 デッキのカード枚数が最大でもわずか6枚。

というカードゲームなのだ。それも過半数は最初に始める段階で相手にも見せた状態。こんな状況でどう戦術を楽しむのかと思われるかも知れない。僕も最初はそうだった。しかし要はそのカードの情報量と、それぞれのカードの組み合わせによるシナジーがモノを言うのだ。

山札からカードを引きつつプレイするカードゲーと違い、全てのカードがプレイヤーの把握下に置かれた状況での戦いは、乱数要素が少ない。ポケモンカードで言うなら、お互いが最も理想とするコンボのところだけを切り取って戦いを楽しむことが出来るようなものなのだ。だからほとんどプレイしていてダレることがないし、「早くあのカードが来ないかなぁ~」なんてストレスとも無縁。相手の手を読みこちらのコンボを決める純度の高い対戦が楽しめる数枚のデッキ。これは寂しいわけでも物足りないわけでもなく、「無駄がない」と考えてもらいたい。

●ご褒美の出し方が上手い

僕が遊戯王をやらなかったのは、とにかくカードがなかなか増えなかったからだ。昨今のタイトルはどうかわからないが、初期の頃は勝つまでに非常に時間が掛かる上にカードもほんの少ししか増えない。忍耐に忍耐を要求するゲームだった。特に対戦では負けた方が失うものもあるというシビアすぎるルール。作ったヤツに莫大な殺意を抱きまくったものである。

その点ポケモンカードGBの場合は一度に数パックもらえたりしてどんどんカードが増えていく感じが良かった。実際シリーズも既に充実した段階でのリリースであったこともあり、ある程度の加速感は不可欠であったとも言えるが、エレモンもその辺りのチューンはさすがハドソンというところ。
※ポケモンカードGBもハドソン製。
勝っても1枚しかカードはもらえないが、
※ボス戦のみ特別に2枚貰える。

 なんと負けても1枚貰える!

これがデカい。プレイ時間が無駄にならないというのがカードゲームにおいてどれほど重要なことなのかは、知ってる人なら絶対うなる点だと思う。それに、「たった1枚」ではない。先ほどデッキは最大で6枚と言ったが、普通に遊ぶ分には4枚が平均的なデッキになる。仮にポケモンカードで考えれば60枚のデッキに対して10枚のカードが貰えるよりも4枚のデッキに対して1枚のカードが貰えることの方が効率がいいことが理解出来るだろう。ましてやそれが負けても貰えるのである。

 なんと豪気な!

そしてその貰えるカードもストーリーモードを進めていく過程で増える対戦相手ごとにある程度傾向があるから、完全にランダムじゃない点も評価出来る。もし完全にランダムだったら序盤だけでゲームが終始してしまう。

 っていうか本音としてはそれでもいいのだけど(^^;、

このゲームの場合は結構いろんなルールが徐々に増えていくシステムを取っている為、しっかりと把握しつつ徐々に使えるカードが増えていく方が実はかなり遊びやすい。その辺りのチューニングが非常に上手いのだ。さすが買わなきゃハドソンである。

ちなみにご褒美はカードだけではなく、ちょっとしたプレイヤービジュアルの変更要素や、デッキを根底から強くする「装備アイテム(ジュエル)」、「フォーメーション」という要素もある。カード以外でもモチベーターがあるのはある種邪道視されるかも知れないが、DSというハードの特性上、ご褒美はあるに越したことはないと僕は思う。

●カードの種類が多い

エレモンのカードは全169種である。正直既存のシリーズと比べればそれほど多いとは言えないかも知れないが、やっていてそれはほとんど感じない。なぜなら先ほども書いたように

 1枚ずつしか手に入らないから。

そうそう一気に増えてくれないのである。っていうか僕は既に12時間近くプレイしているが、まだカードは75種類。半分にも満たない。

レアリティは「C:コモン」「U:アンコモン」「R:レア」「L:レジェンド」の4種。概ねレア度の高い方が強いが、デッキには個々のカードに設定された「マナ」という数値の合計がいくつまで、という上限があるためその中を強いカードばかりには出来ない。具体的に言えばマナの上限20の中にサイズ8のカードを2枚入れれば残りの枠はわずか4。そこに2と2、1と3、4を1枚入れるのかはそのデッキ構成に大きく依存する。結果弱いカードにも日の目を見せられる場があり、このゲームの奥深さにも繋がっている。

最初の方で「カードの情報が多い」ということに触れたが、この点でも弱いカードに対するウェイトがある。遊戯王にも見られる「犠牲にして・・・」という技や、ベンチにいる状態で使える技、使うと死んでしまう技なども多く、強敵を倒すために一丸となってコンボを構築する楽しさは山札という乱数要素がないエレモンならではと言ってもいい質の高いものだ。

●絵がいい

Vampireキャラクターなどのビジュアルには抵抗感が否めないが、モンスターの絵に関してはかなりいいと思う。っていうかDSの解像度が非常に恨めしいが、それでも変にタッチがおかしな人がいるわけでもなく、ある程度統率感がありつつかっこいい。←このカットはとあるサイトでアップされていたヴァンパイア。つかまだ僕は手に入れてないんだけどかなりイカス。つかこのレベルの画質でゲームがしたい。マジでしたい。つか360で出してくれって感じ。あ、でもロードは短めでお願いします。

Kingwhoelちなみに←これがゲーム中のカード。この画面には出てないけど当然、技やチョロっと書いてある「SPスキル」「リバース」などの効果も画面で確認出来る。

-----------

ど真ん中のファンタジーなので、かなりカルドセプトと絵のテイストがかぶると言えばかぶる。でもって当然ながらグラフィックはこちらの方が劣る。でも絵だけがゲームの面白さじゃないことは今更言うまでもない。

とりあえず、戦ってる感じはポケモンカードに近いかなぁというところ(自分遊戯王を嗜まないので)。既にサイトによっては強いカードやデッキの方向性が出てきているようだしバグもある様子で、カードが拡張されないDSという土俵では不利な側面も確かにある。それでも自分で考えに考えて仕上げたデッキが気持ちよくコンボを決める爽快感はやはり格別なものがあると思う。今日のブログを読んで興味が湧いた方にはぜひプレイしてもらいたいと思う。auのサービスでもやってるようだしね。

公式
http://elemon.jp/index.html

|

« プラネタリウム | トップページ | エレメンタルモンスター~その2~ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: エレメンタルモンスター:

« プラネタリウム | トップページ | エレメンタルモンスター~その2~ »