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2007年11月24日 (土)

クロスゲーム

「おおきく振りかぶって」で野球漫画テンションが高まったので、本来大好きであったはずのあだち充作だけど何となく気分が盛り上がらなかったクロスゲームを買ってきて一気に読み倒した。つかわかりきっていたことを改めて書いてしまうが、

 あだち充の漫画は、野球漫画じゃなくてラブコメ

ということをシミジミ痛感した次第。その点「おお振り」は明らかに野球漫画、っていうかスポ根なんだよね。ベースが。スポ根の「根性」の部分を今風にリアリティを高めて料理しました、みたいな、いやむしろ「キャプテン」や「うっちゃれ五所瓦」や「がんばれ元気」やらがスポ根で、「おお振り」や「一歩」や「帯ギュ」は各ジャンル別の”野球漫画”であり”ボクシング漫画”であり”柔道漫画”という「スポーツ漫画」な気がする。どれもラブコメじゃないし、根性モノでもない気がする。

もちろんだからつまらないということは全くない。ラブコメはスポ根と並んで漫画の王道であり、むしろ「おお振り」以上にニーズは高かったはず。正直話がマンネリ化してきていて、読んでいて先が読めてしまうのは否めないが、それがどうしたこのマンネリズムこそがあだち充漫画の醍醐味じゃないか!と声を大にして叫びたい。1巻からかなりハイテンションで飛ばして6巻あたりから失速しだしてもそりゃまぁ仕方ない。氏は割と飽きっぽい方だし。

ちなみにあだち充と言えば「最高の恋人は血の繋がらない妹」という永遠に語り継がれる真理を説かれた方でもある。つか実際に妹がいる僕としてはこの言葉を目にした当初は、「ふーん。そんなもんかなぁ」と思っていたが、

 脳内構築する分にはまさに理想

であることについ数年前気付いた。別にかわいいとかかわいくないとか血が繋がっているか否かはあまり関係がない。要は、

 「恋人になるとしたら」

ということなのだ。好きになりつつ好かれる関係が構築されるとしたら、妹という位置関係はまさに無敵だよな、ということなのだ。主題歌に押されて「タッチ」がまるで氏の代表作と思われているけど、やはり「みゆき」の方がはるかにあだち充漫画の神髄を描ききっていると思うのだ。

余談だけど、あだち充はその昔劇画タッチの漫画を描いていたことでも有名。今みたいにシンプルでまるで誰でも描けるんじゃないかと思われるようなペンタッチも、実は彼なりに紆余曲折を経てたどり着いた答え。実際あまり取りざたされることが少ないけど、建物や小物の描写は、大友克洋に優るとも劣らないくらい丁寧でリアリティ=存在感があったりする。何が言いたいかというと、

 あだち充は絵が上手い。だから安心してマンネリズムに身を委ねることが出来る。

と思うという話。「キックオフ」とは違うのだよ。
※「クロスゲーム」は★★☆。普通に面白いです。最新刊の帯に「ショートプログラム3」が載っていて思わず品切れを注文してしまいました。氏の短編もまた「上手さ」が光るものが多いんですよね(^^)。

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