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2008年5月 1日 (木)

想い出に鳥肌が立つ

「エヴァ序」をやっと借りられた。つか「エヴァ序」っていうと「都立エヴァンゲリオン女子高校」みたいだな。まぁいいけど。

つかまだ見てないんだけど、たまたま仕入れ先のバイヤー(同い年)が「エヴァにハマってんねん」と言う。まだ古い映画2本とテレビ版6話くらいしか見てないんだけど、ありゃあイイと。でも映画はワケワカランと。

 ふむふむ。

エヴァほど人によって評価が違う作品も少ない。タブーとかアンチテーゼとか葛藤とか内向的とかいろんなウザいコメントが誌面をにぎわすエヴァだが、正直僕自身TV版中盤まで大好きで、終盤&映画は見る気もしなかった感じ。なんつか「良いという人を否定するつもりはないが僕は好きになれない」みたいな、凄みはあるが面白くは感じないというか。

しかし同僚のエヴァ好きになぜ好きかを聞いてみると、これまた全く違った返答が帰ってきた。

 「シンジ超かっこよくないですか?」

はぁ?ウンコもれそうである。映像表現としての新鮮さや物語の奥行き、確かにヤンデレ&ツンデレの2大ヒロインなどキャラウェイトが低からず人気を支えていたことは疑いの余地がないが、それでも

 シンジはかっこいいか?

と自問自答がメビウスの輪のように脳裏を駆けめぐる。いや、別にだったらゲンドウがいいとか、加持さんの方がいくらなんでも、というつもりはないけど、少なくとも「かっこいいキャラ」としては描かれていなかった気がする。

 つかそれほどまでに広い裾野にアピールしていたのか。

と逆に驚いた。ちなみに彼女の「序」の評価は絶大。最高でした!とのこと。ちなみにちなみにウチのかみさんの「序」の評価は普通に低く、「TVと変わらない」。うーむ。どっちもたぶんウソじゃないとは思う。つか誌面を賑わせた批評もまた賛否両論だった気がするし。

でもふと僕がエヴァのことを思い返した時、脳裏にまず浮かぶのは「アスカ来日」で、イージス艦の上に着地するエヴァ2号機の場面だ。マントをまとい、着地の振動で船が少し沈み込む描写。今思い出すだけでも二の腕を鳥肌が埋め尽くす。深夜何気なく付けたテレビでやっていた名も知らぬアニメのワンシーンに心が鷲づかみにされ、当時親しかった(趣味の近かった)友人にすぐさま連絡(深夜なのに)したのもまるで昨日のことの様だ。

要するに僕にとってのエヴァは、「過去に例を見ないほど衝撃的な映像表現、演出」にあったと言っても過言ではない。例えて言うならそれはスペースハリヤーやバーチャファイターを初めて見たときのような、トロンやマトリックスの予告をテレビで見たときのような、

 一種未来的なもの

だった。だが、勘違いして欲しくないのは、その映像表現が今日派生を産み、より進化洗練されていく課程で古びてしまうタイプのものではないということだ。未来が現在になったことで前述のスペハリやマトリックスの衝撃が霧散してしまったのとは違う。どちらかと言えばそれは「職人技」にも似た凄みであり、だからこそ今思い出してもなお鳥肌が立つのだ。

しかし「序」ではどうなんだろうと思う。当時天才の名を欲しいままにした庵野監督だが、結婚してその才能はなりを潜めてしまったとも聞く。今作ではどうか。

ただそれは「どの方面での才能なのか」を明確化してはいなかった気がする。物語なのか、キャラクターなのか、ビジュアルなのか・・・。

特に「序」で取り上げられているであろう文字通り序盤は、僕がまだエヴァのことが大好きだった頃の話だと思う。だからこそ見る気になったのだし、期待もしている。が、一方で「想い出には勝てない」という言葉もある。近いうちに見るつもりだけど、果たして僕の記憶に刻まれる作品になっているのか、正直不安の方が大きかったりするんだよな(^^;。



で、見てみたわけですが、、、感想ズバリ、

 エヴァがどれだけ好きかが問われる作品

という感じ。初代ガンダムの劇場版がそうであったようにある程度のダイジェスト感は否めず、当然ところどころで物語を見失いそうになる。でもそれ以上に、

 求められている部分を磨き上げている

感の方が強い。キャラや、構図や、エフェクトや、音楽や、演出を構成する全ての要素に多大なコストを掛け、徹底的なブラシュアップをされている。だからこそ自分の中にある「エヴァの好きなところ」がクローズアップされているときは本当に「入り込む」ことが出来るし、好きじゃない部分では「あと何分で終わるんだろう」という疲れが顔を覗かせる。それほど物語は(既にわかっている部分だとは言え)重く、丁寧だ。

だが、同時にその丁寧さは劇場でこそ真価を発揮するものでもある。出来るだけ多くの支持者とともに、一回目の放映の数時間前からその時を待ち、気持ちを高め、共に並び、共に語りながら迎えることが出来たとしたら、、、

 この作品の評価は飛躍的に上がるだろう。

エヴァは既にその物語以外の価値が見出されている数少ない作品となっている。だから場面もそれを意識させる一見あまり重要とは思えないようなカットにも時間が割かれるし、それすら一切の手抜きもなく仕上げられる。

 みんなと一緒に見ているだけでほとんど十分幸せになれるほどディティールが丁寧なのだ。

僕は先に書いたようにそれほどエヴァファンというわけではない。だからこの作品も熱烈なシンパと比べたらとても全てを楽しみ尽くしたとは言い難い。だがそんな僕でもきっと映画館に足を運んでいたとしたら、きっと見終わった後にフラフラになりながらトイレに歩いていくに違いない。体中の神経をスクリーンに正対させ、出来る限り多くの情報を(全ては絶対無理。そう作られている)どん欲にかき集め続ける。同時にそれまで得ていた情報とのすり合わせもするし、見終わった後同士に伝える為の一時的な反芻にも手を抜かない。

 面白くない、楽しめないとしたら、それは既にTVシリーズの頃からエヴァと本気で向き合ってなかったってことなんだろう。そしてそういう人はきっと映画館に足を運んだりはしない。だから、

 この作品を本気で好きで映画館に行った人は、きっとその多くが満足する気がする。

浅はかなエヴァ好きとしてはそうとしか言いようがない。クリス個人の評価は★★★だが、もし僕がエヴァが大好きで映画館に同様にエヴァが大好きな人と行っていたとしたら、十二分に満点を取れるクオリティだったと思う。つかそう出来なかったことがとても残念ですらある。

あ、あとシンジは思った以上にかっこよかった。その子の感想は間違ってなかったな(^^。

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コメント

もうレンタル版が出ていたんですね。
(チェックしておかないと)
私は知人と劇場版を観に行ってきたのですが、正直あまり期待していなかったんですよね。
そういったテンションの低さもあったせいか、見終った時は評価がガラリと変わっていました。
内容的にはTV版の6話までのダイジェスト版なんですが、次回作を期待させるというか、絶対に次も見たくなってしまうような内容だっただけに、エヴァ好きな知人たちにオススメしまくっていましたね。
以前、劇場版を観に行った時には疲労感しか残らなかったわけですが、今作はもう1回観ていくかどうか知人と2人して本気で悩んだぐらいですからね。
(結局、時間的な都合で帰る事になりましたが・・・)
次も絶対に観に行く予定です。

投稿: ぴちょんくん | 2008年5月 8日 (木) 16時48分

借りたのは仕事場の同僚エヴァファン(女性26歳独身)からです(^^;。レンタルはしてるのかしら。でももうすぐ通常版が出ますんで、勢い余って買ってしまおうか、とも。

余談ですが、今回僕が一番ウットリしたのは東京市が変形するところ。はっきり言って最高だなぁと手放しで褒め称えたい感じだったのですが、今日庵野監督のウィキペを見たら
 電線や鉄塔にかなりのこだわりがある

とか書いてあって妙に納得。つかあの仕事は正直かなりのフェチじゃないと出来ないよなぁとか思いましたし、
※ちなみにDVDのタイトルバックも鉄塔だったり。

 僕にとってはこれこそが庵野監督の作品だ!

と思うポイントでもありましたね。ある意味うる星やつらの頃の押井守監督にも通じる「細やかさ」みたいな。

友人も数名「今になってエヴァ」って人がいたりして、今更ながらスゲェエネルギーのある作品だったんだなって思いますよ。

次作は僕も見に行くつもり。でも4作目は・・・まだわかんないですね(^^;。暗いのは本気で嫌なので。

投稿: クリス | 2008年5月 9日 (金) 02時28分

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