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2008年9月 8日 (月)

初恋限定4巻(完結)

080908hatsukoi_4 娘に急かされて買ってきた。つかどう考えても中二病向けの妄想マンガとしか思えなかったのだけど、まぁいちご100%よりはエロくないし、花より男子からこのかたラブコメジャストミートな彼女にしてみれば、「そういうマンガに飢えてた」というところだろう。っていうかともすればこの作品を桂正和や奥浩弥、キックオフやBOYSBEと一緒くたにして考えいたきらいもなきにしもあらずなのだが、冷静に読み返してみると、むしろあだち充に近いというか、そもそも「娘に読ませる漫画か!?」という大いなる自問自答が去来するもとりあえずスルー。つか、

 今回非常にキャパの狭い話に入っていきそうな予感がします。要するに独りよがりな展開になっていきそうな・・・。

ぶっちゃけ河下先生(今回急遽「先生」に格上げ。やっぱ女の子を描くのが上手いマンガ家ってスゲェ)は女の子を描くのがとっても上手い(っていうかホントはイケメンを描くのも上手いのだが、ところどころ気が抜けてたりして女の子ほどのオーラがない)。だからやろうと思えばエロ一点突破でも十分食ってくだけのファンを獲得できるとも思う。思うのだが、、、これはたぶん僕と河下先生の価値観が近いということなんだろうけど、

 生きてるかどうかが凄く重要

な感じがするんだよね。なんつかエロマンガだとさ、設定とお約束さえあればあとは別に性格とかセリフとかどうでもいいところがあるじゃん。桂正和先生なんかも女の子はベラボーに上手いんだけど、こっちはむしろ「男の子のキャラや言葉」を重視する傾向があるというか、「かわいい女の子」はあくまで僕の印象だけど、「見た目」って感じで、その内側をあまり描いてない感じがする。でも「かっこいい男の子」は見た目だけじゃなくハートも(たぶん先生自身の中に明確な尺度があって)伝えようとしてくる。

あだち充先生はもっと高いところまで到達していて、「キャラ(性格)を露骨に描かなくても」キャラが立ってるような、見た目だけじゃなく中身まで似たようなキャラが、シチュエーションに合わせて勝手に物語を紡いでいるような印象を受ける。あだち先生のマンガはヘタするとセリフがあんまし必要ないというか、いかに「しゃべらせるシチュエーションを作るか」に心血注がれているというか、、、ってそれじゃあ河下先生とはやっぱ違うってことになっちゃうなぁ。

初恋限定は、とにかく女の子の言葉に命がけな感じが凄くする。「このセリフをしゃべらせてしまっていいのか」という自問自答と苦悩と正解にたどり着いたときのカタルシスがある。こんなラブコメ相手に何を力んでいるのかと言われそうだが、重度の中二病患者は「自分が納得できないセリフ一つでそのマンガをボロカスに言う」という症状があるのだ。それだけマンガの中のキャラクターに傾注するし、声も届く。この痛いほど濃い(女の子側からの)濃度は少女漫画はともかく、僕の読んできた少年漫画にはあまりなかった気がする。

4巻の巻末には作者による各キャラクターの設定や裏話が載っていて、自分的に一番だと思っていた(作者的にも一番のお気に入りだと思っていた)江ノ本慧が実は「髪を描くのが大変」という理由と共にさほど気に入られてなかったことがわかって軽くショック。つかこれまではもちろん4巻を読んでなお「愛の深さ」みたいなのを感じたんだけどな。
※理由の一つに相手になる男の子が「チビでブサイク」というのもあったりして。河下先生がチビでブサイクだと言うつもりはないけど、なんつかロマンだし。

のだめでもそうだし、アニメでもそうだけど、僕は気に入った場面は本当にしつこくリピートする。つかまぁ誰でもそうか。で、どんな場面を気に入るかと言えばそれはもう

「告白シーン」。
※ホントはキスシーンも好き。っていうかキスシーンはともすれば「やる」シーンより好きだったりするというか、こういうとこ自分ちょっと女性的というか、「中二女子的」という感じがしないでもないのだけど、まぁいいやこういうのは「わかる」人にしかわからないと思うし。

それまで意地を張っていたのが張り裂けてしまって、とめどなく気持ちが出てしまう、もしくは爆発してしまうような感じがとっても好き。リアルでも泣いてる女の子とかにいろんな意味で惹かれるのと同じようなモンで、感情が昴まる感じはホントに良い。スポ根のカタルシスが「勝つ」ことにあるとするなら、ラブコメのカタルシスは「気持ちが結ばれる」ところにあると言っても過言ではない。
※キスシーンは「気持ちが結ばれる」のを動作で示すケースね。

と、そんなことを書いても何もどうにもならないというか、まぁ明日からの自分は何も変わらないのだけど、
※中学生じゃないからね。ジッサイ。
とりあえず「人類ネコ科」「さよなら三角」「おがみ松五郎」やあだち充作品、当然いちご100%が好きな人などにはオススメできるかと思います。まぁ4冊でおしまいだし、ラスト気持ちよく結ばれるところは結ばれて、結ばれないところもそれなりにケジメを付けてくれるので安心して読めると思いますし。

自分的には★★★★クラスの満足感を(4巻から)得ることが出来ました。こういうマンガが他にもあるならぜひ読みたいですよ(^^。
※持ってる人向けの話をひとつだけすると、「僕が一番好きな場面は」16ページ左下の慧ちゃんです。基本ツンデレな彼女ですが、場面的には「失恋」。強がりが言えないほどショックだったのがこのセリフに凄く出てて、かつ「・・・」とか言って無言で涙をにじませるような「逃げ方」をしてなくて大好き。つかこの場面は4冊中一番好きですね。つか今このブログを読んでる人の何人がこの場面を知っているのかってことになりますけど(^^;。

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