アナタヲユルサナイ~その2~
常日頃から活字を読むクセの付いていない人間に小説の面白さを説くことは難しい。想像力だとか、自分のペースだとか、まぁ比較的ローコストとする向きもあろうが、まぁ僕のように「せいぜいマンガ」止まりの人間には、なかなか小説の良さは理解しづらい。
でも当たり前のように新刊が出版され、何度も重版を重ねるタイトルがあるわけで、それにはそれの、小説には小説にしかない面白さがあるのだと思う。
アナタヲユルサナイは、「挿絵が多く、音が聞こえてくる小説」のようなゲームだった。展開はほぼ一本道で、時折挟まれる選択やミニゲームも、ちょっとした箸休めと言った感じで決してストーリーのジャマをすることはない。プレイヤーはただ淡々と文字を追い、主人公竹内理々子となって事件を追う。弟切草と違ってキャラクターにはしっかり顔があるから、その分読者のイメージは限定されるかも知れないが、僕のような活字素人にはそのくらいでちょうどいい。一枚の絵は時に何ページもの詳細な説明以上に語ることもあるのだ。
物語は章立てになってはいるものの、基本的には一つの大きな事件を追う展開。当然のことながら序盤はあまり真相とはかけ離れテンポも緩やかだが、徐々に感情を揺さぶるシーンが増え、自分で動かしたり紡いだりしたワケじゃないのに、そう、性別すらも違うのに、いつの間にか理々子になって事件を追いかけている自分がいる。これは、
サウンドノベルの使われ方として正しいと思う。
これだけが可能性の全てというつもりはないが、僕が過去にプレイしたアドベンチャー、読んだことのある数少ない推理小説と比較しても、十分過ぎるほど面白く、引き込まれたのは、間違いなく「ゲームという器」に上手く落とし込んだ形態だったからだろう。
正直終盤にややチープかな、と思える展開もないではなかったが、
※ラストは一気にプレイさせる意図の為にやや強引かつ急速な展開が続く。
あまり風呂敷を広げすぎて作り手も読み手も疲れてしまうことはたぶん本意ではなかったためだろうと思う。あくまでライトに、どうだろう全部で5、6時間くらいだろうか。ボタンを押すだけの時間、結構PSPも重さがあるから一気には難しいかも知れないけど、
シンプルなのに濃密な娯楽
が味わえたと思いましたよ(^^。人にもよるだろうけど、3000円前後なら結構おすすめです。面白かった。クロス探偵物語に負けていません。
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