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2008年12月11日 (木)

エースをねらえ!

数ヶ月前に何かアニメ関係のコラムで読んだ「アニメを学ぶなら『エースをねらえ!』をすり切れるまで見ろ」という言葉がずっとフックし続けていた。

遙か遠い昔まだ出崎統どころか富野由悠季の名すら知らぬ頃、「アニメならなんでも」とテレビで放映されるものは誇張なく全て見ていた
※裏番組で重なる時は本気で人生の選択がごとく悩んだものだ
小さな男の子の好きなアニメと言えば、まずマジンガーZ(正確に僕らの世代に直撃したのはたぶんグレートだったとは思う)やゲッターロボなどのロボットアニメ。そしてバカボンなどのコミカルなギャグアニメ。スポーツアニメはタイガーマスクや侍ジャイアンツのようなちょっとケレン味のある作品の方が好きで、巨人の星や紅三四郎と言ったちょっぴりハードコアな作品になるほど比較的優先順位は下がっていった。あしたのジョーもそのうちの一つ。
※ちなみにフランダースの犬やアルプスの少女ハイジなんかはもっと下の方で、むしろ女の子向けのキャンディキャンディや魔女ッ子メグちゃんとかの方が見てた気がする。まぁ妹の支持を思いっきり集めてたからだろうけど。

しかし、ガンバに触れ、ヤマト、999に触れる課程で、そのアニメそのものの持つ魅力に価値を見出していく。小学校高学年になる頃には週間テレビガイドで水曜ロードショーをチェックし、「せめて音だけでも・・・」とカセットテープをテレビのスピーカーにくっつけて待ちかまえる自分がいた。

 だからたぶん本放送(劇場での上映時)には僕は見ていない。

その時の周囲の温度もわからないし、作品の持つ「絶対的な価値」も知らぬまま、あしたのジョーやエースをねらえ!に触れることとなった。当時は割と何度も再放送とかしてくれたんだよね。アニメブームだったから。

ただ、正直言ってその時の記憶はほとんどない。面白かった記憶はあるが、具体的に覚えているのは3つだけ。

 ジョーの手をすり抜ける力石の手

 真っ白に燃え尽きたジョー

 宗方コーチの最後の言葉

これ以外は全てと言っていいほど忘れてた。
※あとはジョーの「これがホントのトンズラだぁ」くらい?

だから逆に「見るべき」と今さら言われても「まぁ良かったには良かったけど」という思いを逸脱できずにいた・・・。だが!

 これは本当に本気で素晴らしい作品だった!

僕が見始めた時刻はAM1:20。つかこの時間から映画を1本見ようというのがそもそもどうかしてるとは思うが、まぁ明日は休みだし、面白くなかったらそのまま寝てしまえばいいや、という思いで再生ボタンを押す。つか実家から持ってきていたビデオテープ(中学生当時の再放送を録画したもの)は3倍録画で画質も悪く、ことによると場面がカットされていた可能性も高い。
※だがCMは律儀に飛ばしてあった。録画する際きっちり一時停止する几帳面さというか、神経質さは相変わらずなのだ。つかCMを綺麗にカットするのはかなり技術がいるんだよね。一旦「ちょっと余分に」録画したあとで巻き戻して一時停止を押し、録画ボタンを押す。CMの終わり際は「次か!」と気合いで停止解除。「次じゃなかったら」また巻き戻し。ここは焦るとこ。つか後から見ることを考えたらこんな苦労は全く平気だったのだよ。そんな中学生クリス・・・。

ただ、当時と違うのは僕がこの作品を見るのに、「トップをねらえ!」が頭にあること、そして出崎作品であることを知っていること、(コラムを読んだことによる)期待が過剰に高くなっていること・・・ぶっちゃけ、

 ハードルが高くなっている点が当時とは違う

いくら昔の作品が素晴らしいとは言っても、マクロスフロンティアやグレンラガンを見た最近の自分からしてみたら「のんびりほんわかとしたヌルい古典」になってやしないかという思いがどうしても拭いきれずあった。だから逆にそういう意味での期待度が下がっていた可能性もあるにはあるのだが、、、

 全然!今でもイケル!

これ以上多彩な演出を使ったアニメ、いやアニメどころか実写を含めてもそうそうないだろうという凝った見せ方。軽妙にして心地よい主人公岡ひろみとその親友愛川マキの掛け合いと、「唯一無二」のハマり役野沢那智のコーチ宗方仁、池田昌子のお蝶夫人。デッサンの取りづらい少女漫画のアップフェイスを一つ一つ丁寧に描いたハイコストなクオリティ管理。
※僕の記憶が確かならテレビ版はコレがかなり甘かった気がする。
得意の「出崎絵」もこれでもかと出るし、何より元の長編作品からわずか1時間半の劇場版に落とすそのカットワークが凄すぎる。劇中で何度もコーチが言う「時間を無駄にするな」という言葉がそのまま劇場版エースをねらえ!全編に行き渡る高密度さ。

ドラマとかOVAとか最近の焼き直しとかもあるようだけど、誰が何を言おうと、

 僕にとってこの劇場版が最高にして唯一のエースをねらえ!

だと言い切れる。つか世代的にギリ許せる演出が多いことも正直ラッキーだったと思う。劇中で登場するゲームセンターのゲームは、

 全てインベーダー前夜のものばかり!

それを冷静に見られる自分でホントによかったと思う。つかむしろ楽しめる自分が嬉しい(^^!。

親友愛川マキ(正しくは愛川牧)のこれ以上ない最高の友情も胸を打ちまくる。「ひろみがここまで成長できたのは、全てマキのおかげだな!」とひとりで納得してしまうほどイイ子。むしろファン。っていうかかけがえなさ過ぎ。マキに★★★★★って感じ。君の見返りを求めない友情に乾杯!

 つか作品的にも★★★★☆は出せる!

既に劇場版が公開されてから30年が経とうとしてるわけだけど、もし今見ることが出来る環境にあるなら、ぜひとも見て欲しい。時代背景に古くささは拭いきれないが、「面白いアニメ」というのが何なのか、どんなものなのかは、

 絶対見えると断言する。

手に汗を握り、ドキドキに胸がふくらみ、前のめりに中腰になり、思わずコーチのかっこよさに惚れる。つかコーチ★★★★★!

アニメでもゲームでも毎年山ほどの新作がリリースされ、そのいくつかには触れているわけだけど、初代ドラクエやこのエースをねらえ!のように「古くても輝きが失われないもの」ってのは絶対に存在する。懐古主義だと言うなかれ、

 名作は永遠に名作なのだ。

つかトップをねらえ!に負けてないですよ!?いやホントマジで!何ならビデオ貸そうか?

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