車窓から
大阪出張の帰り道、何となく新幹線から外の景色を眺めていたら、殊の外楽しんでる自分を見つけた。
センチメンタルでもロマンチシズムでもなく、
「ああ、高精細だなぁ・・・」
バカ?まぁバカですけど、自分の目に映る映像のなんたる高解像度なことか。フルフレームなことか。フルカラーでシャギーの一切ない映像。フォーカス(ズーム)すればそこにもしっかりと徹底的なディティールが施され、それらはテクスチャではなく全て立体造形。鉄塔の柱はそこに打ち込まれたビスの一つ一つまでが完全な3Dで処理され、それら全てが近景から遠景に向けて一切の「欠け」もなくスムーズに流れていく。こんなに凄い情報量なのに!ビバ現実!
人間の目の解像度って3000×2000くらいだっけ?うろ覚え。でも一カ所に集中したときのそれもそのままデジタルズームして低下した解像度ではなく、きっちりハイレゾリューション。
遠くにご飯ツブより小さな乗用車が走る。ミニカーならぬマイクロカー。スケール的にはチョロQの1/10くらいの大きさにしか見えないのに、その車の動力はゼンマイでもフリクションでもない。大きな電飾の看板も、遠目に見れば平面だけど、実際はきっちりと凹凸があり、回路があり、中には1文字欠けてたりするものもある。その欠けてる理由も当然プログラムされたものではない。
細かいなぁと思う。シミジミ思う。
空に目を移すと傾き掛けた陽の光を幾重にも重なった雲が映してなかなかに美しい。ただまぁこのくらいの美しさならマット画で十分再現可能だろうな~とか思う。エアブラシが使えたらちょっと描いてみたいくらい。ああでも見ながらじゃないと上手くは描けないだろうな、とか思う。
傾いてきた陽の影もまた凄い。どんな細かな立体物でも、そのディティールの全てを拾って、落とされる面の凹凸に合わせて投射される。
全くごまかしがない。
一番遠くの景色はスクロールせずに固定で描かれる、、、なんてこともなく、長時間見ていれば完全に別の景色に変わっているし、最も近くの電柱は1秒間に何本も通り過ぎるほど速い。たぶんこんなに速く通り過ぎるからと言って生ポリゴンとか手抜きテクスチャとかじゃなく、きっちり造形されているに違いない。ほとんど見えないけどそうに違いない。
ふと自分が巨人になって、この世界が一つの大きな模型だったら、、、なんてことを考えてみても、この世界の素晴らしさ、凄さは何ら色あせず、むしろ驚嘆の連続だ。昔藤子不二雄Fの短編に「撮った物を模型にするカメラ」の話があって、
※そのカメラは人間や動物は造形化しない。エピソードはたまたま撮した家の机の上に虫眼鏡じゃないと見えないような小さなメモと薬のビンを見つけ、自殺しそうになってる女性に気付いた主人公(おじいさん)があわてて止めに行くという話。
定年退職した主人公が次から次へと町を作っていく場面があったのだけど、今こうして自分を置き換え、遠くに流れては消えていく景色を見ていると、リアリティってのはとんでもなく魅力的だなぁとか思う。
以前書いたけど、グーグルマップのフライトシミュレーター機能やストリートビュー機能がより進化し、衛生軌道上からの撮影がより(合法非合法はともかく)身近になる未来が来るとしたら、こうした「現実並のモデリング」が(PC上とはいえ)可能になるのかも知れない。
※全然関係ないけどさっきテレビで水川あさみが「まずはシミュレーションから」って言ってた。シミュレーション・・・。コンピュータやゲーム雑誌ならいざしらず、テレビに出てる俳優が「シュミレーション」って言わないのを初めて見た気がする。大人げないと思いつついつも「コミニュケーション」と「コミュニケーション」と合わせてついチェックしてしまう僕。たった一言だけど水川あさみという女優の性格がかいま見えた気がした。きっと僕のように許せないんだろうな。そういうの。正直一方では「そういうのこそむしろかっこわるい」とわかっていつつ、許せないんだろうな。
閑話休題
ほぼ日が暮れて目に映るのはうっすら明るい空と街の境目の稜線、黒い建物の影、文明の光。黒はホントに黒いから、まるで一枚の影のようにも見える。でも実際は立体で細かなディティールは全て闇に埋もれてしまってるだけだ。ぼんやりと眺める。
遠くに光るのは飛行機かそれとも遙か彼方の恒星?何百年かすると、「そんな宇宙の果て」まで再現する箱庭ゲームとかが出てくるんだろうか。
ちなみにその車中、一番印象に残ったのはサンヨーのソーラーアーク。毎月の出張なので見るのは決して初めてではないのだけど、光と湿度、温度の加減かとても綺麗で神々しく見えた。それって要は太陽がスゲェってことなんだけど(ビジュアル的にも機能的にも)、あんだけデカいオブジェだと「日陰になるところ」も随分広いんだろうなぁなんて無粋なことを考えたりもしてしまいましたよ。なんだか幻想と現実の狭間な感じ。
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