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2009年1月 7日 (水)

ミステリートポータブル~八十神かおるの挑戦~

買ったのは結構前(アナタヲユルサナイでアドベンチャーずいてた頃だったかな)なのだけど、プレイし始めたのは割と最近。管野ひろゆき氏の推理アドベンチャー。ハードはPSP。

主人公は最優秀ディテクティブ(探偵)と呼ばれる世界中で31人しかいないAクラスの、それも最年少で女性への変装が非常に得意という(性格的には至ってノーマルの英国紳士)探偵で、プレイヤーはその「キレる主人公」として事件を追い、解決する。

元はPCの18禁ゲーであったが、その当時からエロシーンが一つしかないなど(大元がドリームキャスト向けに開発され発売中止になったことによるためかも)、「そっち方面」をウリにした作りではなかったし、PSP版でセーブ箇所が増えたり、おまけの推理ゲームが大量に加味されたりして、作品的なマイナスはほとんどない。
※PSPの前にPS2版があり、PC→PS2でフルボイス化された。
※多少間違ってるかも知れないけど概ねそんな感じ。

システムはオーソドックスなコマンド選択型で、画面内のオブジェクトに対して洞察力を求めたり、難解な3Dダンジョンがあったり、アクション要素が加味されていたりはしない。多少文字入力をする場面があるくらいで、特にイレギュラーな操作が要求されたりはしない。

ただ、事件そのものはかなり変。というか、

 推理小説の読み過ぎだろっ

と言いたくなるような、非日常さが爆発していて、僕みたいに普段から全く(推理小説どころか小説そのものを)嗜まない人間にはかなり「おいてけぼり感」がある。

トリックそのものの構造も、当時は楽しんで読んではいたものの、今冷静に考えてみると「そんなことあるかよ!」と言いたくなるような金田一少年やコナンライクなものが多く、浮気調査や男女関係のもつれなどを中心とした「本当の意味でのリアリティ」のある素材を「少しだけ非日常化した」アナタヲユルサナイと比べると、遙かにゲームっぽく、そしてそれは子供っぽい仕上がり。

キャラクターはアニメ絵の萌えキャラ中心で「知らない僕でもかなり魅力的に感じられる」ほどのたぶん有名な人。
※ウィキペを見ると「CARNELIAN」とある。やっぱり知らない。
ハイセンスだが薄口に取れるアナタヲユルサナイと比べた場合、現在の市場では遙かにこちらの方が訴求対象が広い感じ。

ざっくりとゲームの説明をするとこんなところで、ここまで読んだだけだと、「普通のアドベンチャー」の域を出ていない印象を受けると思うが、

 脚本の質がすこぶる良く、主人公八十神かおるの緒方恵美をはじめとして、声優にまったく隙がない完璧な布陣。

ストーリーテリングは幼稚さすら感じさせる推理小説オタクのマスターベーション的展開ながら、紡がれる言葉のひとつひとつのクオリティがとても高いため、淡々と読み聞きしているときの没入感、満足感はかなり高いのだ。

もっと言うと、

 選択肢がない方がはるかに面白いコンテンツになった

だろうに、と言ってもいい。アニメのように動画にするとコストが飛躍的に上がってしまうが、静止画+ボイスならその限りではない。「ゲームである」ことの足かせを振り切り、システム的に「斬新でなければならない」というYU-NO作者としての強迫観念を捨て、純粋に物語だけを楽しめる作りにしてあれば、もっとずっと良くなった(=プレイして楽しい)だろうにと思った。

ある程度はマップ上にキャラクターのアイコンが置かれ、そこへ移動することで物語は進むのだが、時折全てのマップ上からアイコンが消え、「任意でフラグを探さなければならない」場面が訪れる。その時点で得られる情報を元に推理し、そのポイントを重点的に調べることで先に進めるケースがほとんどではあるが、ほんの些細な「3回調べれば先に進めたのに、2回しか調べなかったから見つからなかった」というミスが、マップ上全てのポイントの洗い流しを余儀なくされる結果になるというのは、やはりどうしても納得できない。「楽しく面白いゲームに必要なもの」であるとは思えないのだ。
※コマンドアドベンチャー黎明期であったならいざ知らず。

僕は2話まで自分でクリアし、3話は全てネットで調べてクリアし、今4話(最終話)の入り口にいるが、最も楽しかったのはマップ上の選択肢がほぼなかった0話だ。軽妙な会話、テンポのいい展開、胸のすくような主人公の明晰な洞察力。どれを取っても非の打ち所がない。物語のつかみとしてこれ以上のものはそうそうないだろうと思う。0話だけならかなり多くの対象に手放しでオススメできるほどだ。
※エロ要素もほとんどないので未成年でも問題ないし。

だが、1話からはかなりそのテンポが失速してしまう。

そしてネットで調べながらプレイした3話でも同様。ひとつフラグを潰すたびにPCの画面を目で追うやりとりにテンポの良さなど望めるはずもない。

ボイスやグラフィックの物理的な量を考慮した上での水増し的エリア選択など、蛇足以外の何物でもない(断言)。

これだけの文章力があるなら、基本クリアまでのマップアイコンは全て表示させ、それ以外のポイントに出来る限り多くのストーリーとは無関係のミニストーリー、ミニイベントを配置していけば、それが一番楽しめる作品に仕上がる気がする。推理させるのと、フラグを見つけさせるのは別問題。厚みは枝葉末節のディティールでいくらでも出すことが出来るだろう。

うだうだ書いたけど脚本とボイスが魅力的なのは間違いのないところ。マイナス点を入れても評価は★★★と結構なレベルに面白い。管野作品が好きな人や、金田一少年系の推理モノが好きで、CARNELIANさんの絵にジャストミートしつつ、ハイクオリティなボイスにウットリしたい人なんかは、問答無用で楽しめるはず。つか、僕的にはもちっとエロい方が
※露骨に(SONY)チェック回避してるので。
素直に楽しめたかなぁとは思ったけどね。

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