けいおん!
毎週かなり楽しみにしていたりする。正直全部で12、3話でおしまいになるのが非常に惜しいというか、原作がそんなに進んでないし、短期間で学年が上がったりイベント中心の構成だったりで正直「ぜいたくな展開」だからこそのこの面白さ、密度なのかなぁと思ったりもするが、いやホントに面白い。
登場人物はほぼ全て女子高生で、エロ・ラブ要素は皆無。軽音部とは言っても演奏したり練習したりという場面はごく僅かで、物語のエッセンスのひとつでしかない。魅力は登場人物の明確なキャラ付けと、狂いの少ない丁寧な仕事。正直今どきの女子高生に色恋沙汰が一切ないというのはあり得ないし、それぞれの性格もかなり現実離れしているが、居心地のいいゆるやかな空気感と、かわいい見た目、低いハードルが、今のニーズに凄くマッチしてると思う。
※ぶっちゃけこの方向性は男子でも十分成立すると思うのだが、アニメDVDの主客層、女子は男女とも訴求するが男子は女子にしか訴求しないなどの理由で、実現は難しいのかも。
→でも出てきたら絶対売れると思う。
これだけキャラが立ってると、舞台さえ用意すればどうとでも動いてくれる気がしたのだが、、、考えてみると意外と浮かばない。ホントはただファミレスでくっちゃべってるだけでも楽しいんじゃないかと思うのだけど、やっぱり男の子がいた方がいろんなシチュエーションが作りやすくなる=女子だけでは違和感が生まれてしまうのかもな~と思ったり。だから結果的に展開は月刊誌の季節感に沿ったもの=かなり早い展開になり、話数的にもあまり長くは組めないのかな、と。
ただ、自分がプロデューサーだったら絶対このまま終わらせない。今の人気、特に楽器にまで余波が伝わるレベルともなれば、コンテンツとしては超優良レベルなハズ。DVDやブルーレイ、ゲーム、CD、ノベライズ、ドラマCDなど考えつく限りのものは出てくるだろうし、ヘタしたら掲載紙の月刊→隔週や月2回刊化もあるかも。若手にどんどん描かせればどんどん売れるだろうとか考えるのは短絡的すぎるのかしら。
マクロスの時もそうだったけど、劇中のヒロインに歌を歌わせるってのはそれだけでかなり優良コンテンツだよね。CMやドラマとタイアップしないとCDが売れないなんて言われて久しいけど、そのままキャラクターが歌ってるってのはかなりの破壊力だもの。ガンダムみたいなサンライズロボットがスポンサーの意向に添ってデザインや変形、合体が決まるのを思えば、ずっと健康的だし、生産的な気がする。
声優や歌手の市場規模もシナジーで大きくなるだろうし、市場が大きくなればクオリティも上がる。今のJPOPはホントに僕が魅力を感じる曲が無くなったけど、アニメの主題歌は結構イイ歌が多いんだよね。何て言うか昔みたいに「アニソン」というくくりの上で「いい」わけじゃなくて、純粋に曲として触れる。楽曲自体はおニャン子クラブに毛が生えた程度かもしれないけど、少なくともラップとジャニーズとCMバラードより親しみが持てるんだよな。
※けいおん以外では、初恋限定のED、クイーンズブレイドのEDも好き。っていうか見てるアニメがその3つしかないからだけど、思い返してみればゴルゴの後期OP、EDも好きだったな。
思えば昔からそういう「劇中歌手」の出るアニメは結構あったんだよな。一番最初に浮かんだのが「愛してナイト」だったのはどうかと思うけど、「クリーミーマミ」「初代マクロス」、きらりんレボリューションの先祖とも言うべき「ピンクレディー物語」「アイドル伝説エリコ」、最近だと「NANA」もそうだね。
でも実際当時はまだ「しょせんアニメ」って殻があった気がする。少なくともベストテンに普通に顔を出すレベルじゃなかった。でも今は違うと思うんだよね。つかゲームとかアニメって昔と比べて「接触頻度」が高くなってる気がする。ゲームはメディアの容量が上がってフルボイスや生ライブの再現がたやすくなったし、プレイ時間も当然思い入れに応じていくらでも長くなる。アニメもビデオを巻き戻すという手間が今はクリック一発、なんならエリアリピートでバックグラウンドビデオのように摂取することも出来る。けいおんみたいに「再視聴性≒再読性」の高い作品ならなおのことだ。
ネットや携帯に押されて、コンテンツの再利用に血眼になってるホルダーたちにとって、こうした長期的かつ安定的な人気が囲える素材ってのは願ってもない金の卵。でも逆に言えばそれは「作ろうとすれば作れる」んだよね。ゲームでもアイマスの二番煎じみたいなのがボチボチ見え隠れしているし、本家もこれまで以上に展開の幅が広がっている。そもそもそれを望む声が供給を上回ってる印象すら受けるもん。
※こうして僕がけいおんの継続を望んでるのもそのひとつだし。
レベッカやBOOWY、ブルーハーツ、あとTUBEとかGLAYみたいな当時の「売れ線」を感じさせる楽曲を折り込んだバンドアニメとかあったら、スゲェハマりそうな気がする。劇中歌ってだけで既に何割か上乗せされてるのに、その曲が馴染みのあるものであればその高揚感たるや筆舌に尽くしがたかろうよ。
年取って音楽をあまり聴かなくなったんだけど、やっぱり好きな曲は十分入り込んでくるし、何度でも聴けるんだよね。
ネットで簡単に聴けてしまう現状、クリエイターたちにお金が入りづらくなってるとは思う。でも分母が大きくなって、その中に熱烈なファン層を形成できれば話は変わってくるはず。
その昔「プレイヤーを持ってないのにCDを買った」友達の話をしたことがあったけど、結局そういうことなんだと思う。僕だって尾崎豊のCDはほとんど持ってるけど、どれも聴きまくったかと言えば全然そんなことはないんだよね。でも持っていたい。任天堂だって「売りたくなるようなソフトを作らなければいい」と言ってた頃があった。本当に欲しいソフトはやっぱり買うし、欲しいと思わせるトリガーがあればファンはどこまでもついて行く。
※澪のレフティモデルのベースが売れてるなんてその最たるもんだと思うし。
けいおん!には今後のコンテンツ産業の未来を占うパーツがいっぱい入ってる気がするぞ。
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