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2009年7月 1日 (水)

ヱヴァンゲリヲン新劇場版-破-その2

※ネタバレ全開で行きます。まだ見てない人は「すぐ(映画館で)見るつもりがなくても」読まないで下さい。もし何かの拍子に見ることになったとき、「僕が」非常に悔しい思いをするので。っていうかそう大したことは書いてないんですけどね(^^;。

↓以下白文字。要反転。

一作目発表時、2作目である本作は「2008年春」公開予定だったとのこと。だが実際は2009年6月27日公開。「おいおい一年以上遅れたのかよ」と考えるのは早計というものだろう。今作は、序の「商業的に得た大きな成功」とそれに伴う大きな社会的信用をバックに得た多数のタイアップにより、

 当初の予定を遙かに上回る予算が許されることとなった。

だからこそ前回添付した樋口真嗣氏のコラムのように、脚本→コンテの劇的改良が為され、およそ1年にも及ぶスタッフの給料確保と、徹底的なクオリティアップが図れたのだと思う。TVシリーズからのミサトの決めゼリフである「サービスサービスゥ!」はまさに庵野監督の僕らに対する意思表示であり、「ただ遅れた」のではないのだ。

果たしてその結果はまさに凄絶と呼ぶしかない作画と、よりわかりやすく新鮮みを持たせつつも、プリミティブな分だけダイレクトに衝撃が伝わる展開として姿を現すこととなった。僕みたいにろくにエヴァに接してない人間ですらそう感じたのだから、シリーズ通してファンであると自認しているようなマニアの方のショックは計り知れないものがあると思う。

特に序ではまだTV版の焼き直し的なキャラ立てで描かれていた登場人物たちが、「新たなる世界=文字通り新世紀」に向けて始動したと言っても過言ではないほど変化を見せている。アスカの名前が変わったのも、たぶんそうした「過去との決別」を意図したものだったのではないかと思う。でもなんで式波なんだろう。

正直アスカが参号機に乗った時点ではまだその先の展開を想像もしなかった。
※この辺り今思い返すとフラグだらけではあったのだけど。
もしかしたら心の深層でシンジに想いをを寄せはじめる二人のヒロインに甘い展開を期待したかったのかも知れない。
※アスカ→加持の設定は丸ごとカットされていたし。

凄く衝撃的なシーンだったのだけど、その直後に上手く綾波と絡めてこちらのストレスを軽減してくれたのはさすがだと思った。TV版と比べてアスカの描写は全体的に薄く、ファンは多くても、その(ファンの)想いに応えるより、より整合性のあるわかりやすいラストへ運ぶためにギリギリのラインで上手く紡いだ感じ。

逆に、新キャラや新メカに関しては、オネアミス→トップへと「ファンサービスの重要性」を踏まえたものとなっていた。ただでさえ暗くなりがちな物語に多少でもガス抜きが必要だという視点は僕的にも正しいと思うし、いろんなものを壊していく、初号機もアスカも、ある意味シンジや綾波さえも壊してしまうような今後の展開が全く予測できなくなる中への新キャラ投入は、むしろこちらに安心感を与えてくれた。カオルがイマイチ好きになれない僕としては、次作での六号機と合わせて素直に歓迎したい。メガネ?ええ好きですけど?

それと、CGを今回前作以上に多用しているが、それをあまり感じさせなかったのも良い。コンピュータグラフィックス然とした映像は、確かに絵的な新鮮さはあるがどうしても世界観からの乖離は否めない。トゥーンシェードが上手く活かされたエヴァ各機と、大スクリーンで見てこそ真価を味わう事が出来る強力無比な使徒たち。作画のクオリティはもちろんだが、やはり評価されるべきはその構図やコンテ、原画の部分だと思う。

爆発、建物、アングル、動き、、、。背景はどこまでも細かく、リアリティと存在感を磨き上げられていて、キャラクターやメカ、使徒などの動的なオブジェクトはその「アニメ」である利点を思いっきり活かすかのごとく静と動のコントラストをこれでもかと見せつけてくれる。トランスフォーマーリベンジが実写の迫力を磨いたのとは対照的に、「アニメだから出来ること」「最高の、それも2位以下を大きく引き離すレベルの場面を描ききること」。

僕は見ていて「ここなら瞬きしても大丈夫だな」と確認しながら瞬きしていた。何枚重ねているかわからないほどのセルが織りなす莫大な情報の濁流の一筋すらも見逃してはならないと、まさに眼を皿のようにしてスクリーンを凝視した。

個人的にテレビシリーズのシンジの人格が壊れていくような(詳しくは知らない。あんまし見てなかったし)方向性はどうしても好きになれない。ぶっちゃけ宮崎駿が嫌うのもわからないでもないと思う。でも今作では綾波がシンジを想い、シンジに救われる展開となり、「未来ががらりと変わる」ことを予感させ、「明るい未来」の可能性が見え隠れしてきた。

 だから次回作も見に行こうという気になった。

ゲンドウの人間的な面が描かれたり、もはやTVとは各キャラの性格は全く別物になりつつある。興収は公開初日二日だけで5億を超えたという。前作越えはまず間違いないだろう。僕自身パンフも買ったし
※内容は大したことなかったので買う必要はないが、映画があまりに素晴らしかったことに対する感謝として買ってもいいとは思った。
ブルーレイも楽しみ。

当初の予定では序、破、急、完結編の4部作を3回に分けて(急と完結編は同時上映)作られるはずだったようだが、庵野監督は割といきあたりばったりで話をコロコロ変えてしまうらしい。90分の予定だった破は108分となり、次作は「Q」となった。
※これは「急」という3部構成の結末を示唆するタイトルではなく、完結編に向けての布石、文字通り問いかけといったニュアンスを僕は感じたのだけど、、、勘違いかも。
当然のように制作期間は予定を遙かにオーバーしてしまうに違いないし、たぶん3作目と4作目は同時上映にはならないだろうと思う。なぜなら、

 それが許されるだけのものを作って見せた

樋口真嗣のコラムで、かなりギリギリまで完成が見えなかったことが想像に難くない。普通考えたらこんな無茶な変更はトップが許さない。でも株式会社COLORの社長は庵野であり、いざとなったら自腹を切ってまで作り直すことも辞さないスタッフが脇を固めている。「サービスサービスぅ!」の言葉に偽りはなく、この流れはその庵野の価値観と技術力、行動力を良い意味で後押ししてくれるはずだ。

正直パトレイバー2以降の押井守に代表されるような、いわゆる「ジャパニメーション」の流れにはついて行けなかった。エヴァも正直テレビ終盤から旧新世紀の劇場版に関して、そういった「ニオイ」を払拭しきれなかった。

でも、僕が見たいのはやっぱりかっこよくて強いメカであり主人公であり、迫力のある戦闘シーンであり、心がくすぐったくなるようなラブシーンだったりするのだ。ミーハーで結構。単純明快大歓迎だ。

余談だけど、ふと思い返してアスカがシンジに「エッチ!」って言うシーンあったよね?あれその時ちょっと違和感が残ってたんだよな。なんで「スケベ!」じゃないのかって。でもあれは今思えばアスカが既にシンジに惹かれ始めてるっていうフラグだったんだな。
※あだち充「みゆき」より「エッチとスケベ」の回参照。っって誰がすぐ参照出来るのか!

あと、綾波の「ポカポカするの」というセリフも、凄く難しかったんだろうなって思った。「あったかくなるの」じゃなく「ポカポカする」。擬音。僕の曖昧な記憶では、綾波は擬音を使ったセリフをこれまで一度も言ってないような気がするんだけどどうか。擬音を使うことでこれまでの綾波のキャラが少しズレる。これも一つの「破」だったんだろうな。

作中には数々のタイアップ商品が出てくる。UCCとレッツノート、ローソン以外にもたぶんあったと思うけど、今思うとちょっと時代背景とズレがあるんだよね。もう少し未来なはず、という視聴者の視点が違和感を喚起するというか。でも実際はそんなにデザインが大きく変わることってないのかな、とも思うし、電柱や信号機、乗用車なんかのデザインと共に、リアリティを演出する一助になってたんだろうな、とも思う。

余談だけど自分が使ってるレッツノートはR8で劇中に出てきたのはW8。たぶん光学ドライブとネットアクセス内蔵のヤツなんだけど、後者(ネット)はともかく、前者(ドライブ内蔵)はやっぱりちょっと違和感があるかな~。メーカー主力機だから仕方ないのかも知れないけど、やっぱり仕事で使うならR8だと僕は思うわけですよ。ましてや近未来都市。今さらDVDやCDでデータのやりとりをするとは思えないんですけど。
※ちなみにこないだ大阪からの新幹線。ホントにR8を使ってる人が3人並んでて(横にじゃなくて縦(別の列)に)、ちょっとビックリした。

まぁこれによってより潤沢な制作予算と気合いの入った作画を手に入れることが出来たと思えば、安い買い物だったのかなぁって感じですけどね。そうそう、あとユーザーからすると、ミサトがノートを使うときの指の動きはちょっとつっこみたくなった。レッツノートの円形タッチパッドは確かに外周を回すように触れることでスクロールするんだけど、あの指の角度からは「ツメしか触れてない」ことが感じられる。ぶっちゃけツメだと反応が極端に悪いんだよね。ただこれはもちろん確信犯としてやっている可能性が高い。なぜなら、指先をなでるように扱う動きは、「絵的に絵にならない」。やっぱりミサトのスラリとした細い指をスマートに回すことにこそ意味があるんだろうな、と。

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なんだかしっちゃかめっちゃかに書き散らかした感があるけど、もう一回見たくなってるのは本当。っていうか近所の映画館でやってくれてれば普通に見に行くんだけど、、、やっぱ片道30分は遠いよなぁと思う次第です。でも、

 見に行ってホントに良かった!

とは思いましたね(^^。みんなと価値観が同じだと言うつもりはないけど、満足度でもかなり高い数値をたたき出したようですし、このまま3作目、4作目も今以上のクオリティで仕上げられるように、お金が入ってくれることを祈って止まないです。いやマジで。

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コメント

言ってきました 始まってから終わりまで本当にゾクゾクさせる映画でした

クライマックスには最初にエヴァを初めて見た時のピリピリ感を味わって泣きそうになりました

しかも テレビ版当初の 綾波との純愛 が好きだった私は大満足の内容でしたね
 
これ一本でもすばらしいと思うほどのしっかりした映画でした
  

投稿: ロンド | 2009年7月 1日 (水) 06時56分

背中を押した甲斐があったようですね(^^。
僕も正直樋口真嗣さんのコラムを読むまでは、

TV版でも好きだった頃のパートだから・・・

という理由程度で見に行くつもりでしたが、
ふたを開けてビックリ。予想とは全く違う内容なのに、
大きく期待を(いい意味で)裏切る展開とビジュアルに
仕上がっていました。

この調子なら次作も期待大ですよね(^^!

投稿: クリス | 2009年7月 1日 (水) 08時50分

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