トロピカルKISS~その2~
※ゲームは18禁だけど書いてる内容は全然18禁じゃありません。
まぁ面白いです。いい意味でB級。マスコットキャラがいたり、「エロゲーの主人公」という単語が頻出したり、「男性キャラに顔絵を用意するくらいなら女の子に力を入れろ!」とか「選択肢なんて飾りであります」的な潔さ、多少カクテル(カクテルソフトじゃないよ、お酒のカクテルね<ってこの注釈が要るのは88世代だけか!?)絡みの文章でおいてけぼりにされたけど、総じて「居心地が良く非現実的なラブコメ空間」が広がっていて、既読の部分でも何度も見返したくなったり。
たぶん確信犯だと思うんだけど、脚本や口調、場面や設定がどれもどこかで見たことがあるようなものが多く、展開が割と読みやすい。キャラクターも最近プレイしたタカヒロさん系やTonyさん、車輪の国とかとは違うんだけど、やっぱりどこかで見たことがあるような印象の残る絵描きさんで、ことオリジナリティという側面から見たらかなり低いかも。
でも、だからといってこのゲームが楽しくないということにはならない。っていうか正直な話、(昔は違ったけど)ゲーム(ギャルゲーにかかわらず)に求められるのはオリジナリティじゃない気すらしてきた。そりゃ移植を繰り返せとは言わないけど、続編が好まれる理由には単純に設定や世界やクオリティに対する安心感もあると思うけど、一方で新しいソフトが面倒ってのもあると思うんだよね。操作とかキャラとかを一から覚え直さなきゃいけないってのはワクワクもあるけど一方で「ちと大変だなぁ」みたいな?(ジジイには特にそうだし)。だからトライなんかはもう面倒で面倒でとても続けられなかったりしたわけで。
結局のところこうした特殊なシステムのないアドベンチャーは、もはや選択肢の必要性すら感じなくなってきている。キャラだけ選んだらあとはその文章を読み進めるだけ。途中刹那的な選択は入ってもメインのストーリーは変わらずに、あとはスキップやオート、選択肢への移動がたやすく快適に出来ればそれで十分だと思う。「絵と声と脚本」。ドラクエやFFのような一般向けビッグバジェットのタイトルがシステムややり込み要素やボリュームにも注力を余儀なくされる一方で、こうしたPCのギャルゲーなんかは当然のように出来ることが限られるわけだから、それを踏まえた上で何を取り、何を捨てるかをニーズに合わせてチョイスして行けばいい。結果、
トロピカルKISSのようなゲームが出来上がる。
と思う。
一人目は幼なじみ。元気系で料理が上手く、主人公のことをずっと好きで、主人公も彼女の事が好きだったんだけど、主人公からの告白に対してつい待たされた事に対するいたずら心が働き、「考えさせて」と答えた結果、主人公はそのショックと兼ねてからの家庭に対する不満を爆発させ、家出してしまう。その夜にでも「OK」の返事をしようと思っていた彼女はそれがあまりにもショックで、でも諦めきれずに彼を捜して上京した結果、奇跡的に再開を果たす・・・。
まぁベタですよ。でもその彼女=花火の、
この部分のセリフにはホント凄い魂が込められていて、思わずぐっと来てしまう。つかこうやって書くとさも感動系に思われるかも知れないけどさにあらず。最終的に彼女と主人公は二人で「妹モノ」のエロゲーを一緒に楽しんでプレイする、ある意味「2次オタの夢」シチュまで実現してしまう。朝起こしに来るとか、料理が凄く上手いとか、胸がそこそこ大きいとかいろいろありますがどれもステロタイプのガチ設定。
それで必要十分だと思うわけです。
二人目にクリアしたお嬢様=泉はそんな主人公達が働くテーマパークの社長令嬢。イチモツを初めて見てしまったという理由で結婚を迫るが、その時一目惚れもしていて、その思いはかなりハード。正直根拠としては弱いかなぁと思いつつ読み進めていくと、ちょっとしたネタバレを挟みつついつの間にか「納得してる」自分を見つけてしまう。
格闘技を嗜み、胸は花火以上。通う女子校は当然お嬢様学校なんだけど、夏期講習では主人公も女装して一緒に行ったり、主人公の「イチモツ」があまりにも巨大であるという設定に対する笑いも多い。
キャラの中では唯一親友がいる設定で、親友は「ダークよっぴー」ならぬ「腹黒ほたる」というこれまた見たことがある話。でもそれがそれほど嫌みじゃなく、軽く「もちっとキャラ立てしっかりしろよ、」と言いたくなるレベルなのでむしろ気負わずに済む。あと最初からかなりデレってるので暗くならないのもいい。
他のメンツも、悪く言えば当たり障りのない、良く言えば抑えるところは抑えた布陣なんだけど、そんなことよりも、「気安さ」をクリス的には大きく評価する次第。泉に関しては社長である親父さんとも直接対峙することになるんだけど、もう絵に描いたようなハッピーエンドで、現実を逃避するにはあまりにも最適な展開なんだよね。
前半は各キャラごとにかぶるテキストが多く、後半はほとんど選択肢のない読み進めるだけの展開でボリュームもそれほどではないんだけど、大事に残り3人楽しみたいと思わせる居心地の良い世界があるってのは素直な感想だったりします。評価はやっぱり★★★★から変動なしかな。ちと甘めではあるけど、アレだよ、「甘いものが食べたい時に食べるミスド」みたいなモンだよ(^^。
ちなみに5人からの告白シーンに関しても、前回は「時間が足りなくてアップしなかった」と書きましたが、とりあえず尻切れながらも貼り付けるだけ貼り付けました。ご紹介してなかったと思うのでここでリンク先だけでも貼っておきます↓
トロピカルKISS~その2~
※余談ですがマジ恋のクリスエピソードも一つ貼りました。
マジ恋-クリスその3くらい-
・・・
前も書いた当たり前の話なんだけど、この世界にはまだまだ僕がやったことがないゲームがスゲェ数あるわけじゃない?それこそインドとかタイとかでもゲームとかって作られてるんでしょ?味覚と同じようなもんで世の中にはたまたま好みがあるお国柄というか、趣味嗜好を持った人がいても全然おかしくないと思うんだよな。
エロに関しても全然読めない(アルファベットじゃない)文字で日本の萌えキャラみたいなデザインが為されたソフトもある。いろんなものがワールドワイドになって以前なら飛行機と電車と車と徒歩を使って片道3日くらい掛かったような場所で作られたコンテンツでも、ほとんどタイムラグなくネットの海を越えて見聞きできたりするようになった。プレイヤーの嗜好も年を追うごとに変化していくけど、それ以上に多岐にわたる提案が為され続ける未来があるような気もする。
XBOXとかで自作ゲームを実際に売りに出したりするシステムが出来たり、ロックマン9のようにファミコンライクな見た目でもダウンロードコンテンツとして市場に受け入れられたりする。今週の週間アスキーにもあったけど、もともとフリーウェアで作られた物に手を入れて市販品としてリリースするケースもきっと増えてくるに違いない。
嗜好は変化するけど、「面白いと感じた事実」はとても重要で消せないと思う。その昔ブローダーバンドという会社が作ったロードランナーというゲームは、ファミコンに移植された際にかなり多くのアレンジが入った。キャラはファンシーで大きく、マップはスクロールしなければ見られず、メロディアスなBGMと狭いながらも使いやすいエディター。88で元のロードランナーをプレイしたとき、あまりにも操作がしづらく、「面白さが見えづらい」ことに驚いた。でも、最初にそっちからプレイした人にしてみれば全画面を見渡せないゲーム性に大きなストレスを感じたに違いない。
ほんのちょっとのアレンジがそのゲームの面白さを劇的に変化させることだってある。
そしてその変化は人によってプラスにもマイナスにもなりうる。
「テトリス」も「N」も「グーの惑星」も、もっと言えば「ウルフェンシュタイン3D」を作ったidはその系譜の先にギアーズオブウォーやヘイローみたいな映像を携えるタイトルが出てくるなんて想像もしてなかったに違いない。逆に「タイヤの表現をするのが難しい」という理由で近未来の宙に浮いた乗り物になったF-ZEROが、今ほとんど完全な物理演算の上になりたつフォルツァモータースポーツ3に「面白さ」で負けているとは思えない。
スウィートスポットは個人個人でかなり差があるのだ。
もしかしたら昔「なんだこのクソゲー」と放り投げたタイトルが、今やってみたら楽しくて仕方ないってこともあるかも知れない。逆はいくらでもあるんだから不思議はない。ドラクエ9も初代ゼルダも、そしてこのトロピカルKISSも、僕が面白いと感じた事実になんら違いはない。僕はたぶんシンプルで易しいゲームを求めてるんだろうな~。
なんかエロゲーのトピックなのに綺麗にまとめようとしてないか?
PS.ついに100万アクセス達成しました(^^。ありがとうございました。途中999985アクセスくらいのところで気付いて、思わず自分で踏んじゃおうかと思いましたが、とりあえずスルーしてたらいつの間にか通過してた。これも(理由はどうあれ(^^;)まめに覗いて下さったみなさんのお陰です。この場を借りて感謝するフリをしたいと思います(^^;。ホントありがとうございましたっ!つか記念すべきミリオンのネタがエロゲーってどうなんだ!?って思わなくもないんですが、まぁそれも僕らしいかなって感じですね。とりあえずコンゴトモヨロシク・・・です。
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コメント
中期? 初期? まぁよくわかんないけど、そこら辺から読み始めているBlueTasuです、こんばんわ。
豊富な語彙、ゲームへの造詣、愛、お子様との触れ合い、接し方、食べ物の話やエロ話、雑多諸々、それらを余すことなく伝える文章力をもってして、このブログへその情熱を迸らせている 『クリスの濃い部屋』 さん。
ミリオンアクセス達成、おめでとうございます。
私も、そのアクセス数の幾らかを踏ませていただき、感涙です! ……って別に泣くほどじゃないですな、大げさですな、はい。
思い入れが深い回と申しますと、やっぱりファイナルファンタジー12の発売以降のプレイ記事や(影響されて私もブログ書き始めたほどでしたしね)、アニメやゲーム音楽のクイズが懐かしいですね。
私のほうは動画へ注力するようになり、ブログは更新しないようになりました。
そのぶん動画のほうでは、当初の思惑を超えた以上の人たちからコメントなり励ましを受け、更新の意欲、時にはまぁプレッシャーもありますが、楽しくヤっていけてます。
今のこういった自分があるのも、クリスさんの影響によるところが結構あるなぁ、と思っています。
たとえ注力するところが違ったとしても、毎日更新を続けるクリスさんのブログが、時として力になってますし。
ここまで達するには楽しいことばかりではなかったと思います。
なんか今日の文章はやる気なさげだなーってのもありましたし、なんか病気で苦しみながらも書いていらしたときもありましたし。
でもこれからもこのライフワークを綴られるのを、一読者として楽しませていただきますんで、お体に気をつけて、ゆるりと頑張ってくださいまし。
ではでは、とにかくおめでとうございました。
投稿: BlueTasu | 2009年10月27日 (火) 22時34分
クリスさんは、多分知ってるだろう事だから、
書こうか、それとも余計な事は書くまいかと迷ったのですが……
重箱の隅な話をひとつ。
ロードランナーってダグ・スミス(ダグラス・E・スミス)という人が作って、
ブローダーバンドが「販売」したものです。
もともとUNIX(たしかDECのPDP)で動くように作った「コング」というゲームを
甥っ子だったか誰かに自分のパソコンでも遊べるようにして欲しいとか言われてAppleⅡに移植したのが最初だったと記憶しています。
最初のバージョンはゲームメーカーに売り込んだけど相手にされず、
友人などの意見を聞いて改良したものが
ブローダーバンドに評価され発売に至ったものです。
当時、ロードランナーが大ヒットしさまざまな機種に移植版が出ていて、
かつチャンピオンシップ~はまだ出ていない時期のインタビューの中で
「ロードランナーでどれぐらいもうかりました?」
という質問に
「ポルシェとプール付きの家を手に入れたよ」
というコメントと共に大きな家の写真が載っていて
「すげー!」と思ったのをよく覚えています。
この時代は、ひとりで、
もしくはプログラマーと組んで2~3人ぐらいでゲームを作る
まさに天才ゲームデザイナーという人がたくさんいましたね。
今でも有名ゲームデザイナーはたくさんいるでしょうが、
開発チームのリーダーであって
作家的な意味でのゲームデザイナーという人はあまりいないですよね。
(最近のゲームにはあまり詳しくないので自分が知らないだけかもしれませんが)
こういった天才ゲームデザイナーが残した
10人中9人は面白いと思わないけど
残りのひとりにとってはめちゃくちゃ面白い
というゲームを見つけていきたいな~
と思う今日このごろです。
投稿: nao | 2009年10月29日 (木) 11時42分
コメントどもですBlue_Tasuさん、naoさん、クリスですまいど。レスが遅れて申しわけないです。まぁテンション依存型の人間ですのでなにとぞご了承を・・・。
>Blue_Tasuさん
祝辞サンクスです(^^。正直ピーク時より読んでいて楽しい文章が少ないかもなぁと省みることもあるんですが、それでもやっぱ書いてると楽しいんですよね。ただ、常連さんでもフィットするしないはあると思うし、きょうび我慢して読み続ける価値のあるブログなんてないと思うわけです。楽しいから読むし、期待する。面白くなければ読むペースが少なくなったり、例えばゲーム以外のネタだけ読んだり、特定のタイトルのネタだけ読んだりする。まぁそれでもいいと思うんですけどね。当たり前のことながら僕の摂取するコンテンツを全て同じように見聞き出来るわけはないわけで。
Blue_Tasuさんが競馬の動画へシフトしたのも同じ様なことだと思うんですよ。楽しいと自分が感じる方へ、高いところから低いところへ水が流れるように自然なことだと思うんですよね。自分がストレスを感じるようならそれはもはや続けるべきじゃないというか、そんなの読まされる方も楽しくないと思うんですよ。
ただメインコンテンツとも言えるゲームに関して自分が魂を傾注しまくれるほどのタイトルが少なくなってきてる、、、ゲーム側の問題か僕側の問題かはともかく、テンションが上がりづらくなってるのはあるかも・・。だから逆にエロだろうとアニメだろうと「余地がある」ところに流れ落ちているんですよね。まぁ「お互い」と言うことなのかも知れませんね(^^;。
ただ「楽しいことばかりではなかったと思う」というのは、読んでふと疑問符。読み手と書き手の差かも知れませんが、自分あんまし「楽しくなくて書いている」ことって記憶にないんだよね(笑。まぁ幸せなヤツですよ。
唯一不満があるとすれば、アップ出来るファイルサイズが1メガになってしまってることですかね。あれがなければもう少し「色気」のあるネタをご提供できるかなぁと思うこともないではないんですけどね(^^。
ダラダラとコンゴトモヨロシクです~。
PS.密かにBlue_Tasuさんのブログに貼られてる音楽、楽しみにしてたりします。手を抜かないで下さいね(笑
>naoさん
自分割といい加減というか、「うろ覚えと忘却」を盾にして好き勝手書いてる傾向があるので、僕より知識がある方からすると抵抗を抑えきれないこともあろうかと思います。
ロードランナーに関する知識はその辺りのところにあって、ダグ・スミスという名前に見覚えはあるけど、それ以上の記憶は一切ないというか、まぁ「人と作品」の関連性についてまともにアプローチするようになったのは結構日が経ってからというか、、、枡田省治作品くらいからかなぁ。
>天才が残した残りひとりが面白いと感じるゲーム
なんかかっこいいな(笑。でも自分はたぶん無理。理由はやっぱミーハーだから。確率論的に「自分が最後のひとりになれる可能性」は極端に低いと思うわけですよ。
自分の場合は何というか、、、
みんなプレイしたら面白さに気付きまくるけど、意外なほどマイナーなタイトル
を見つけたいですね。言葉をお借りするなら「10人中9人が面白いと感じるタイトルなのに1人にしか見つけられてない」タイトルを見つけたいというか。
あとは「他の人にしたら0点だけどこの人に関してだけは100点の評価が貰えるようなタイトル」を「この人」に伝えたい、とか。
僕はあまり人からゲームや音楽、映画を勧められないのですが、やっぱりそれは自分から進んでハードルを上げているからだと思うんですよね。面白くないタイトルは面白くないと、例え常連さんからのご提案でもバッサリ行ってしまいますし、逆に言えばそれだけプロファイルが出来ているか否かを重要視してるというか・・・。
共有は凄く楽しくて幸せなことだと思うんだけど、そこに気遣いは要らないと思います。まぁ僕は昔から敵も味方も作るタイプと言われてきましたからねぇ(^^;。
投稿: クリス | 2009年10月29日 (木) 16時16分
レスありがとうございます。
自分はゲームの好みは、人とずれているかもしれないです。
バンゲリングつながりで思い出したのですが、
同じくブローダーバンドから発売された「バンゲリングベイ」。
あれ、自分は面白いと思ったゲームなのですが、
今も昔も、ゲーム雑誌など世間の評価は超クソゲー扱いですから(笑)。
「これ、おもしろいのに。何でそういう評価なんだろう。」と、当時思っていました。
バンゲリングベイに似た感じのゲームでは「スターラスター」も好きでした。
これも、今遊んでもおもしろい名作だと自分は思っています。
投稿: nao | 2009年10月29日 (木) 22時43分
ばんわですnaoさん、クリスですまいど。
バンゲリングベイの何がいけなかったかって、「100面という広さを謳った」ことだったと思います。当時ロードランナーでも50面だったのが、
何とバンゲリングベイでは100面の広さ!
って何もないような画面がずっと続くだけなのに何が100面かよ、と。今冷静に考えれば仰るようにスターラスターとの共通点が多いことにむしろ驚かされるほどなのですが、当時は見た目もしょぼいし、なんか妙に鳴り物入りだった分裏切られたと感じた人が多かったんだと思います。まぁ僕もそのひとりな訳ですけど(笑。
ちなみにハイスコア的には数面進んだ先にピンクのフィールドがありませんでしたっけ?あそこでファイターみたいなヤツの猛攻が防ぎきれずに挫折したような覚えがあったりなかったりです。ホントゲーム性はスターラスターに似てますねぇ。ホント今思うと不思議なくらい評価に(僕的にも)差がありました。宇宙が舞台だったからかな(笑。
投稿: クリス | 2009年10月30日 (金) 23時24分