オリオン座流星群
頭痛がして仕事を30分ほど早引けしてきた。軽く食事をとりバファリンを飲んで就寝。3時間ほど眠った後ぼんやりと目が覚め、軽くネットしてたら子供の部屋から「ピピピ」と音がする。「目覚ましの掛け違いかな?」そう思いスイッチを止め、かみさんに確認すると、
今日はオリオン座流星群だから
という。11時頃僕が寝ている間に3人で見に行ったらしいのだが、娘だけ見られず、悔しいのでリターンマッチに目覚ましを掛けていたらしい。最初僕が起こしても「うるさい」と一蹴されたが、かみさんがなだめて出掛ける算段になったので僕もご一緒させてもらうことにした。
「流星群」というと子供の頃はもう流れ星が流れまくり、それこそ雨や雪のように「降り注ぐ」イメージがあったが、実際は全然そういうものじゃない。これは実際に流れ星を見たことがある人からしたら常識なのかも知れないが、都会に住んでいて日頃から星のない暮らしをしてる人にしてみたら「そうなの?」と思う話かも知れないのであえて書く。
流れ星はそうそう見えるもんじゃない。
夜空を見上げずっとぼんやりと全体を見ていると、一瞬、時間にして0.3秒程度一筋筆で書いたような光の筋が見える。それが流れ星だ。流れ星は僕のうろ覚えの知識では大気圏に堕ちた小さな隕石やチリが燃える瞬間の輝きで、大きいものならそれが「赤」と認識出来ることもあるが、音もなくささやか過ぎる線が現れて消えるだけのことの方が多い。理屈では真上から真下に向けて堕ちた場合、「点が光って消える」ということもありえる。確率的に非常に低いものではあるが、今日はそういう流れ星も見ることが出来た・・・というかあれは流れ星だったんだよな?みたいな?
近所の山へ車で向かったが、地表からの光が周囲を薄く囲んでいるため、真っ暗というわけにはいかない。それでも自宅の横には常夜灯があるので、そこから見るよりは遥かに空が近く星が多い。流れ星も普通の星と同じように「等級」で明るさを計れると思うが、周囲が暗ければ暗いほど低い等級の星も見える。だから本当に流れ星が見たければ、灯りがとにかく少なく、空気が澄んだ冬に、快晴で雲がなく、目がいい人が、幸運であることが望ましい。
今日はその条件の中で、
・まぁまぁ暗い
・季節は秋なのでセカンドベスト
・快晴で雲がない
・メガネが汚れてる上に矯正視力は0.6
・ボチボチ運がよかった(と思う)
という状況で5つか6つの流れ星を確認出来た(見てた時間は20分ほど)。正直流れ星を見ての感想は、「綺麗」とか「かっこいい」とかではない。
「あ、見えた」
感想はほぼ「見えた」に尽きてしまう。それほど短く儚い。でも僕の中で今日のその輝きは少しだけ別の意味があったりする。それは「懐かしい」だ。
僕はよく高校生の頃今のかみさんの実家に遊びに行っていたが、海岸沿いの家だったからよく海辺でダラダラと他愛ない話をしたりもしてた。
その日もコンクリートの堤防の上で寝転びながら夜空を見上げて話をしていたと思う。ウォークマンから「翼の折れたエンジェル」を流していた気がするが、もしかしたらかみさんの好きなジェネシスのインビジブルタッチだったかも知れない。
「あ、光った」
11時頃から4時か5時か・・・。結構な時間夜空を眺めながら軽口をたたいていたから、実際の頻度としてはそれほど多くはなかったのかも知れないけど、僕は生まれて初めてこの日に流れ星を見た。最初はそれが流れ星だとは気付かなくて、「何かが光ったような気がした」くらいだったと思う。でもあまりにもしょっちゅう見えるもんだから、
これはどうやら流れ星らしい。
ということに気付いた。今思えばかみさんはその日が流星群の日だと知っていて外で僕の話に付き合ってくれていたのかも知れないが、僕はなんだかその「初めての流れ星」が凄く嬉しくて、途中から結構本気で空を見つめてた気がする。
たぶんそれが今くらいの時期だったのかな、と。
体を包むひんやりとした夜風。座っていたのはコンクリの堤防ではなく車のボンネットだったけど、流れ星は同じように光ってた。
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ちなみに娘は車に乗る時にちょっぴり手を痛めたのか、そもそも寝起きで機嫌がすこぶる悪かったのか、車から降りようともせずスネてた。せっかく見に来たのに、と思いながらも、まぁ子供ってのはそういうもんだしな、とも思ったな。これが高校生くらいになるとまた変わってくるんだけどな(笑。
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