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2009年11月24日 (火)

2012を再考

※ネタバレアリ

見終わった直後は「えらく贅沢な映画だったなぁ」という感想が前に出て、満足感も高かったのだけど、時間をおいて振り返ってみると、、、たとえばデイアフタートゥモロー(DAT)や今年見たビッグバジェットのトランスフォーマーリベンジ(以下リベンジ)、ターミネーター4などと比べてどうだったのかと考えてみると、

 意外と印象がよくない。

確かに要所要所の派手なシーンのボルテージはかなりのもので、思い出すだけでもピリリと電気が走る気がするのだが、いかんせん他の場面の、具体的にはヒューマンドラマの印象が良くない。

細かなところで、たとえば大統領の行動や言動、仕草や演技には不満がないし、博士の偽善的というかその場しのぎの善人ヅラもかんには障るが、大局的に見れば必要悪。デブチン二人(補佐官?と金持ち)の判断も映画の中ではさも悪役扱いだけど、彼らは彼らなりの正義に基づいてその場で最良の判断をしてるわけだから問題ない。DJのキチガイじみた言動は映画の中でちょっと浮き気味ではあるけど、まぁこれも語り部としていてもいい。

 何が気に入らないかって、そりゃもう主人公としか言いようがない。

DATのジェイク・ギレンホール&デニス・クエイドの親子はどちらもかっこよく、「主人公然とした」行動と見た目を全うしてくれていた。サム・ワーシントンしかりシャイア・ラブーフしかりだ。人類の存亡を賭けた大きな風呂敷の上で、彼の「ぼやけた表情」「意志力を感じさせない眼力」「半開きの口」「説得力のない言葉」どれもが場違いで、空気がよどむ。なんで監督は彼を起用したのか全く理解できない。

クリスチャン・ベイルは確かにサム・ワーシントンに食われたが、それは脚本上仕方のない面もある。サムの演じるマーカスは、ともすれば中身のないデクにもなりえる役だったが、彼のバイタリティが生気と迫力を与え、見る者を惹きつけるオーラを放ったとも思うし。

シャイアは当然ながら今どきの若者の役で、2012の主役とは責任も理由も違うが、笑顔が魅力的で、わかりやすい若者らしい情熱に裏付けされた行動を取ってくれる。ジェイクも同様だ。

96時間のリーアム・ニーソンやセガールのような無敵超人でもダメな役ではあるが、「売れない小説家」というのはあまりに情けない。見終わったあとも冷静に考えれば「今後もずっと冴えない父親なのではないか」という不安すらよぎる。一旦回復した長男からの尊敬も「危機的状況の中での刹那的なインフレ」になりはしないか。有言実行とはほど遠い彼のこれまでと、劇中でのイマイチしゃんとしない活躍。たとえばセスナでも彼本人が操縦していればまた変わってきたのかも知れないけど、アレではどうにも冴えないままじゃないか。

宇宙戦争でのトム・クルーズも同じようなヘボ親父役だったが、そこはやはり持って生まれた輝きが違う。「情けない役ですら光る」のが主役としての役割というものではないのか。

奥さんはそこそこキレイで、役所からすれば必要十分なハマり役。これより目立っても主人公を食っちゃうし、これよりヘボくても愛せない。サポーター役のゴードンも、ちとハゲてはいるがわかりやすく実直で好感が持てる。彼の死に様はもう少し派手にしてやってもよかったんじゃないかと思う。娘や息子にも不満はなく、

 とにかく主役だけが気に入らない、、、というか彼が出ている場面の魅力が極端に低い気がする。

これはトレーラーを見たときからうすうす感じてはいたのだが。

スタントマンイグニッションばりのカーアクションシーン、ダイナミックすぎるセスナのシーン、地表の隆起や火山弾、豪華客船が飲み込まれる大波や、ヒマラヤを覆うほどの津波、巨大な箱船・・・「おかず」の出来はDATと比べても決して負けてないどころか勝ってるところも多い。だが、それをつなぐ場面の主たるキャラがどうにもパッとしないせいで、結果「中だるみ感」が出てしまった気がする。

次から次への見せ場を繋いだリベンジや、異世界感を全面に押し出しているT4と比べて、人間ドラマはどうしても演じる役者の魅力、力量に依存せざるを得ない。もし今ひとつな役者を使うのなら、もっと全体的にテンポよく派手なシーンを見せるべきだったと思うし(<ひとつひとつは短くても)、メッセージ性を抑える演出にすべきだったんじゃないかと思ったりしたね。でもまぁ評価はイッコ下げて★★★☆はある。プラスがマイナスをカバーしてる大作かな。っていうかやっぱニッキーにやらせてたらもっとずっと良くなったと思うんだよな~。どう考えても彼のハマり役でしょ?情けない父親、でも見せ場があるって。

ささやかな補足。

前回不明瞭だった大統領役ダニー・グローバーは「ザ・シューター極大射程」で、大統領の娘タンディ・ニュートンは「ミッションインポッシブル2」で見ていた模様。ゴードンだけはどうも勘違いだったみたい・・・。

あとそのウィキペ見て知ったことだけど、

 公開3日で制作費2億$を回収

って凄くない?アメリカ公開が11/13で日本公開が11/21だから日本で公開される前に既に元を取っているという。どの程度まで伸びるのかは全然わからないけど、一旦紀元前1万年で落ちたエメリッヒ監督の信頼はこれで完全に回復したって言えるだろうね。

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