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2010年3月31日 (水)

対初心者

これは決して初心者をバカにしている話ではない。あらかじめお断りしておく。誰しもが門外漢であり誰しもがエキスパートなのだ。要はそれがどの部門に対してか、というだけの話なのである。

先日取引先の友人J郎がパソコンについて教わりに遠路はるばるハワイから来たので(やや誇張。ホントは県内)、自分なりに咀嚼しながら話をしたりしたのだけど、

 ハイレベルな初心者と話をするのは結構面白い。

もう一度言うがこれは決してバカにしている話ではない。J郎もこのブログをたまに読んでくれているから念を押すわけではないが、実際そう思うのだ。

 いかにして理解させるのか

というある種のパズル的アプローチ。自分がどれだけのことを「かみくだけるのか」。家庭教師だって有名大学に余裕で合格した人が三流高校にギリギリ入れるかどうかという生徒に教えるのはそれはそれで難しかろう。小学校の算数から教える、自分が「全く疑問もなく理解したこと」を壁として難儀している「ということ」理解する、「問題ではない問題」の答えを探すというのは、たぶんかなり難しいに違いない。

 でも僕は結構そういうのが好きなのだ。

自分の子供に対してもそうだが、そのバックボーンはむしろ自店のお客様に対してというニュアンスが強い。主客層が60歳前後となる衣料品店にお越し下さるお客様に、一流ビジネスマンが使うような用語や口調はむしろ「愚か者」だと言える。いかにして相手の気持ちを汲むのか。ホスピタリティのスキルこそが接客の極意であり、その為に求められる技術がすなわち、「初心者への対応」と近しいと思うのだ。

 相手がいかにわからないか、もしくはわかるのかを短時間で汲み上げ、こちらの伝えたい内容を咀嚼解凍する。

ただ問題は相手のPCのOSがWindows7で、こちらがXPだった点だ。「雲を掴むような不透明な土俵」で初心者相手に相手のわかる言葉と流れで教えるというのは、なかなかに難度が高い。ぶっちゃけここの常連さんであるなら当然のように理解出来ているであることは、ほぼ全くと言っていいほど通じないと思って貰って構わない。例えば、

「コンピュータ(XPではマイコンピュータ)」の下に「Cドライブ」があってその中に「音楽」フォルダがある

という階層構造、樹形図の概念なども、本人から「生物の中に両生類がいてその中にカエルがいるようなもんか」と言われてなるほどと思ったのだが、要はそういうことなのだ。いかにして相手にわかる表現を、それもより短時間でより的確に提示出来るのかは、本当に「そういうスキル」が求められ、それがすなわち、

 人間の半径を広めることにも繋がる

と僕は思うのだ。「なんでこの人はこんなに怒りっぽいんだろう」「この暗さの裏にある心の機微を汲み取るにはどうしたらいいか、もしくは汲み取らずにこちらのペースに引き込むにはどうしたらいいか」「どこでゆっくり、どこで早口で話したら一番こちらが言いたいことが伝わるのか」

 会話というキャッチボールのスキルはすなわち半径の広さがモノを言う。

自分で自分の知ってることを自分の知ってる言葉で言うのは誰にでも簡単に出来ることだと思う。だが、相手の知ってる言葉を高速で検索しながら話すというのは、

 最近物忘れが激しくなってる自分にしてみれば結構大変。

それでも「ESCは左上のキーで『エスケープ』と読む」とか「Enterキーは僕の説明では常に『リターン』と言う表現を使うから覚えてくれ」という話をメモってもらったり、「.exe」ファイルや「エクスプローラー」なんかの重要性を切々と話したりしたのち、ある程度「わかってもらえたかな」という手応えが得られるのは嬉しいものだ。

「パソコンはこんなこともあんなことも出来る」だから僕はパソコンが大好きなんだ

というあまりにも単純で純粋なことが、実は初心者にはとても伝わりにくいのだけど、それでもJ郎が最後に「ちょっとわかってきた」と言ってくれたときは嬉しかった。リップサービスかも知れないが、「使いこなせること」の悦びではなく、「使うことで得られる楽しさ」にこそパソコンの価値、意義がある。タッチタイプだってGoogleの変則的な検索テクだって、重要なのはその結果得られる「楽しさ」にあるわけで、「楽しみのためにがんばって覚えたり調べたりしてきた」と言っても過言ではない。だから、

 この辺りの話はかなりエネルギーを使ってがんばらないと無理

という話も当然出てくる。何でもかんでもが簡単に乗り越えられるハードルばかりではないのだ。1+1で2を出すのは簡単だが、21×32を「1+1」に分解して理解するのはとても気が遠くなる。第一僕だって一桁増えたら怪しいもんだ。

 でもちょっとがんばって欲しいという気持ちもある。

 がんばろうというなら全力で応援したくなる気持ちもある。

結局その日は2時か3時くらいに「もう限界」と言われて帰宅したが、本人さえその気があれば、僕的には5時前くらいまでは付き合うつもりでいた。言い換えれば、「僕にそのスキルがなかった」から3時程度でギブさせてしまったのかも知れない。面白くて楽しくて時間を忘れるゲームなら、鳥のさえずりを耳にするのも珍しい事じゃないのに。

ただまぁその辺は僕が相手に対しての理解度、価値観の相似性がどの程度あるかにも関わってくるところではあるかな、とも思う。常に相手の興味をそそる対象を連続的かつ段階的に複数用意し続けてこそ「そのゲーム」は名作たり得る。

余談だけど、DSの「脳トレ」はその辺りがとても上手く出来てたよなぁと思う。もの凄くたくさんの「個」を相手にするのに、どの個からもハードルを感じさせない、素晴らしい咀嚼がなされた導入、継続、達成の流れ。逆に言えば「そういうスキル」は今後高齢化や少子化、趣味の多種多様化が進むに連れ、よりニーズが高まる気がする。っていうか、

 そういうスキルレベルの高い人間が作ったコンテンツを僕も摂取したい

と思う。それは別にゲームでなくてもいい。映画やアニメでもいいし、ジュースやゼリーやラー油だっていい。「初心者」というのは表現の一種であって、その本質は、

 誰にでもわかる

ということなのだ。とりあえず10級から始まって1級、初段、二段・・・10段、師範代、名人みたいなランキングがあったとしたら、たぶん僕は1級から初段くらいの実力だと自分で勝手に思っていたりするのだけど、こういうスキルの高い人間ってのは言い換えれば相手から「もっとこの人の話を聞いていたい、話していたい」と思われる人間とも言えるわけで、そう考えると案外もう少し低いかもなぁと思ったりです。

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コメント

初めまして、Microgafx Windows Drawについてお持ちのようですのでコメントさせて頂きました。
私のお客様で、Microgafx Windows Drawを使っているのですが新しいPCを入れたのですがMicrogafx Windows Drawの原本をお持ちでなくオークションなどにないか探している所です。
そこで、質問ですがお持ちの物で使っていないMicrogafx Windows Drawとか無いでしょうか?
転売可能であれば、購入をしたいと思っています。

返事をお待ちしております。

投稿: おさる | 2010年4月 1日 (木) 00時48分

初めましておさるさん、クリスです。申し訳ないですが、ご期待に添えることは出来ません。Drawは今でも愛用しておりますし、今後も新しいPCを買ってもずっと使い続けていきそうな気配濃厚なんです。
※ただ7で動くかどうかは非常に怪しいのですが。
※ちなみにXPでもSP3だと動かなかったり動いたりですし、SP1でもやや不安定だったりです(ちなみにバージョンは6)。

僕も環境が新しくなったときにDrawに代わるツールを物色したりもしましたが、あれほどシンプルで(少なくとも自分にとって)優先順位の高い機能に特化してるソフトはないんですよね。

グレーな物言いですが、とりあえずサポートメーカーがすでに投げちゃってるタイトルですし、シリアルによる縛りがあるわけでもないから、こっそり移しちゃうっていうのはやっぱりダメなんですかね。新品を販売してない以上、オクで買っても移してもメーカーに利害がないんだから同じな気もするんですが・・・。
※そう言う自分も7が手に入るなら欲しかったりはするんですけどね。

投稿: クリス | 2010年4月 2日 (金) 02時37分

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