友人が死んだ
まぁたまにはこういう暗い話題が差し込まれる日もある。
友人と言っても中学や高校の同級生というわけではなく、取引先の問屋のバイヤー。年齢は僕よりもちょい上くらいだけど、このブログでも1、2度登場したこともあるし、家にも2度ほどプライベートで遊びに来てくれたこともあるので、「友人」として間違いないと思う。
彼はとても気さくで、背は僕よりも低く、顔も決してモテ顔ではないが、何にでも興味を持ち、ポジティブで、一緒にいると空気がなごむ。いつ電話しても受信メロディが違う曲で、エロも好きだし、ゲームもそこそこやるしで、ホントに親しかったと思う。
事故は早朝6時過ぎ、自転車に乗って通勤途中に後ろから飲酒運転の軽トラにはねられ、ほぼ即死だったという。
普通に前を向いて自転車に乗っていて、いきなり後ろから車に追突される感じってどんなだろうって思う。
頭を打って死んでしまう。その頭には体がついていて、体は自転車に乗っているから、車が自転車に当たった瞬間その衝撃が体を伝うと同時にはね飛ばされて地面なり壁なりにぶつかって死ぬ。
わずかな刹那だが、意識はあると思う。
その昔シティハンターで、「自分を撃ち殺して欲しい」という依頼を受けた主人公は、非常に高速に飛ぶ弾丸を手に、「撃ち出された音を聞く前に死ねる」という話をした。弾速が音よりも速く頭を貫く。
わずかな刹那に自分が死んでしまうことを想定できたのか。死んだ後のことまで考えたりしたんだろうか。それとも純粋に痛みで何も考えられないまま召されてしまったのか。
僕は酒を飲まないし、飲んでる人の車に乗る機会もない。が、飲酒だけじゃなく交通事故というのはいつどういう風の吹き回しで降りかかってくるかわからない。ほんの些細な天秤の傾きで、自らが加害者にも被害者にもなり得る。車の影から子供がいきなり飛び出してくることなど誰も予測は出来ないし、一旦停止を無視して狭い路地を、さして速度が出ていなくても運転席側にダイレクトにぶつかれば、たぶん僕は死んでしまう。
彼は先月僕に、
「子供が『クリスさんにもらったヒンバスがついにレベル100になった』って言ってましたよ」
と言った。ゲームでわからないことがあると、「クリスさんに訊いてよ」とせがまれたりもしたという。
どこで誰がどうなるかなんて、全く予想出来ないし、安心も安定もない。一昨日は支店の若いパートさんの親父さんが亡くなられ、お通夜に行ってきたばかりだった。周りが見えなくなるくらい泣いていた。
生前彼(僕の友人の方)は僕に、
「僕は子供さえ幸せならいつ死んでもいいんですよ」
って言ってたことを思い出した。彼の子供はまだ小学生。今死んでしまっては、幸せとは言えない。せめて自分の力で働き始めるくらいまでは、、、結婚するまでは、、、孫が、、、。何もかも知らぬままに逝ってしまった。
ひいた方はきっと何が起こったかすぐにはわからなかったに違いない。酔っているということはきっとそういうことだと思うから。お酒を飲んでハンドルを握った時点ではこんな未来が待っているなんて1ミリも思わなかったに違いない。きっと初めてのことじゃなかっただろうから。
今の法律は飲酒運転、そしてそれによる死亡事故に対する罰則が凄まじくキツい。先日の更新時に聞いた額は、
※自分は酒飲まないので話半分ですでに忘れかけているが
数千万の単位だったと思う。払えなければ当然刑務所に入ることになる。長い年月後悔と自責に駆られるに違いない。だが、その時間は終わりを告げる。再び社会に出て、もう一度免許を取り、車を運転する日がきっと来る。お酒もまた飲み始めるかも知れない。時とともにいろんな記憶と重みは薄れていく。
だが死んだ人は帰ってこない。
その責任を負い続けることは出来ない。善か悪かとか、そういう話じゃない。単純に「運が悪かった」んだろうと思う。クリスは何を言ってるんだと思うかも知れないが、とりあえず神様に嫌われないようにしたいと思う。幸せと不幸せ、わずかな傾きがこれからの人生全てを左右することだってある。もしかしたら「あと1cm」の誤差が生死をを分かつことだってあるかも知れない。
来年のおみくじも大吉が出ますように。
鈴木さんのご家族がこれから神様に優しくして貰えますように。
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コメント
クリスさん、こんにちは。
>普通に前を向いて自転車に乗っていて、いきなり後ろから車に追突される感じってどんなだろうって思う。
普通に前を向いて自転車に乗っていて、いきなり横から車に追突されたことはありますので、どんな感じかと言うと、
『いきなりガンときて空飛んだと思ったら、次の瞬間には集中治療室の丸い照明を見上げていた』
というのが僕の経験です。
ちなみに5車線同士の交差点で、歩道要信号が青信号で歩道兼自転車用の部分を普通に((5㎞/hぐらい)渡っているときでした。
相手は右折要信号まで待ちきれず、対向側から車の隙間を狙って右折してきたようです。そんでぶつかってビックリしてブレーキと間違えてアクセルべた踏みだったらしいです。
幸い体が頑丈だったおかげで、3週間の入院で済みましたが、半年ほどは顔面麻痺が残っていました。
ご友人の、ご冥福をお祈りします。
投稿: じあんとー | 2010年6月12日 (土) 12時12分
どもですじあんとーさん、クリスです。
なんと言っていいか、、、じあんとーさん、リアルで見たら結構凄い人なのかも?
でも「空飛んだ」あと「丸い照明」ということは、ヘタしたらそのまま天に召されてた可能性もあるわけですよね?痛いとか死ぬ!とか全くわからずに。それもなんだか怖いですね。
でもやっぱり「アクセルとブレーキを間違える」というのはあるようで、実を言うと先日ウチの父もそれをやって、
※幸いにも人身事故にはならなかったのですが
結構な物を壊してしまいました。隣のお店に車がつっこんだり、いざその局面になると、どうしても避けられぬ衝動にとらわれてしまうのかも。
※もちろん養護する訳じゃないです。ただ自分がそういう状況下で加害者に絶対ならないとは言えないな、と思うわけで。
ともすれば一生残る障害に見舞われてもおかしくない事故だったと思います。やっぱりじあんとーさんは丈夫で、丈夫な人の方が延命率は高いのかなぁと思ったりです。なんにしても、今こうしてお話できることに感謝です(^^。やっぱ世界とか変わりそうですね。「一度拾った命!何も怖くねぇわーーーっ!」みたいになんのかな?
投稿: クリス | 2010年6月16日 (水) 23時10分