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2010年9月18日 (土)

初音ミクソロコンサート

 自分は内側なのか、外側なのか

以前はずっと外側の人間だと思っていたが、どうやらそうでもないことに気づいた。会場につめかけたファンの中の今いちノリが悪い人にちょっとしたいら立ちを覚えたり、システム上最前列の両翼からは「非常に厳しい見た目になるであろうことは間違いないであろうに」声援を送る人たちになんか胸が熱くなったり、

 この空気を共にに過ごしたかったなぁ

って気になった。

冷静に考えて初音ミクってのは凄い歌手だ。昨今の日本のJ-POPのほとんどが胸に届かなくなってる中で、知ってる、聞いたことがある、嫌いじゃない曲がこのわずか3年の間に数十曲もある。子供達がニコ動で見ていたり、ゲームからの摂取だったりと経緯は様々ではあるものの、いわゆるこれまでのような歌番組、ラジオ、有線からの享受とは全く異なる「能動的アプローチによる接触」。好きだから、興味があるから聞く。

思えばCGで作られたバーチャルアイドル(伊達杏子とかリッジレーサーの子とかラブプラスの3人とか)、いや、CGだけではなく、実在しない仮想アイドルというカテゴリだけで言えば藤崎詩織や伊集院が昔作ったという芳賀ゆいなど、いろんなアプローチでいろんな女の子が「作られて」きたけど、

 これほど成功した人はいない。

大手メーカーが宣伝費や開発費をばらまいて文字通り作り上げた偶像ではなく、消費者=ユーザーが自分達の望むものをどんどん継ぎ足して形にしたものが、広く強く受け入れられる。

 ステージ上で歌うミクは、本当にアイドルそのもの。

みんなが彼女が歌う姿を待ち望んでいた。人前で歌って踊ってくれることを、自分の目の前に「存在してくれること」を。

 なんかちょっとZARDの坂井泉水みたい

ずっと歌だけが聞こえていた存在が実像とリンクする感覚。そこにCGであるとか機械的な音であると言ったネガティブな要素は微塵も感じられない。

最近のJ-POP、コブクロとかエグザイルとかはホントに僕の耳には届いてこない。なんて言うか、価値観の違いだけじゃなくて、純粋な作曲作詞の才能、音を連ね言葉を並べる才能という点で、たとえば松田聖子や山口百恵の頃の歌謡曲とはやっぱり質的な違いがあるような気がする。耐久力が特に低い。曲の中の一部しかメロディとして認識出来るパートがない。

でも、ミクの曲、特にこのコンサートで使用されたような曲の多くはそうじゃない。AパートBパートサビにどれもが主張と愛と嗜好があって、「オレは好きだけど?」っていう曲の中から「圧倒的な同意」を得られた曲だけが、ここでミクに歌って貰えている。凄まじい数の「支え」が、その曲の魅力を裏付けている。

僕はミーハーで、ミーハーな僕はみんなが好きになるような曲が好きだ。売れ線の曲が、あざとくこびている曲が好きだった。小室哲哉の曲も結構好きな曲がいっぱいあるし、別に女性アイドルじゃなくたって、80年代の歌謡曲は好きな曲がいっぱいある。チェッカーズだってマッチだって好きな曲がいっぱいある。

でも最近はさほどでもない。ダウンロードは「曲が好きかどうか」より、「より耳にしたか」「流行りかどうか」「スタイルとして」という気がしてならない。車にもあまり乗らなくなった若い子は、カーステで音楽を聴く時間もない。家にいてメールやスカイプで話してる後ろで流れる曲などむしろ邪魔なだけだ。

 本当に歌として訴求力を持っているのは、支える人がいる

だからジャニーズとかは結構安定感があると思う。今でも普通に年何曲かは好きになれる曲がある。AKBだってそう。支える人がいるから才能がある人がしっかり作る。しっかり作られた曲じゃなきゃ本気で支えてもらえない。

 ミクだってそう。

好きじゃなきゃ携帯プレイヤーで聞かない。ニコ動を何度も再生しない。弾幕を書き込んだりしないし、バックバンドだって笑顔で演奏したり、モデリングがスゲェ丁寧だったり、ネギのようなサイリウムを自作したりしない。

今のところ最初で最後、前例のないコンサートなのに、観客は申し合わせたかのように合いの手を入れ、一緒に歌い、腕を振る。約束事などないはずなのに、、、と思ったら、

 みんなニコ動の書き込みでシンクロしてた。

だから同じタイミングで同じ言葉を口に出来る。初めてのコンサートなのに、歌う方も見る方も初めてのことなはずなのに、十分過ぎるほど練習されてた。

ミクは疲れないし、観客の声は(少なくともリアルタイムでは)届かない。だから声も枯れないし、「ありがとー」は「感謝」ではなくプログラム。「一緒に!」って言わない。生バンドは疲れていくけど、着替えは一瞬で休む間もない。

 リアルとバーチャルの垣根は確実に存在している。

だが、それはアイドルがトイレに行くことの是非を問うのと同じこと。好きな子が好きな歌を目の前で歌っているその事実以外に、その瞬間の現実以外に、外野からの声など何の意味もない。それがうらやましいと思う。うらやましいと感じた時点で、僕もちょっと内側に入ってるなって思った。

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余談だけど見ていてほとんどの曲に長男が反応してたのはちょっと愉快だった。僕と妹は半分くらい?特に良かったのは「ロミオとシンデレラ」「ディアココアガールズ」「あなたの歌姫」「初音ミクの消失」「メルト」など。
※他にもいっぱいあったけどぱっと思い出せたのがこんなところ。
近所でやってくれたらホントに行きたいなぁ。★★★★。

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