カリオストロの城とハムナプトラ3
昨日(今日は何日?)のカリオストロに続いて今日もテレビ放映の映画を見てしまった。カリオストロはもう数え切れないほど見た作品だけど、今見てもなおいろんな発見があってとても面白かった。
僕の記憶が確かならカリオストロは東京ムービー新社で、ジブリではない。宮崎駿監督の最初の監督作品らしいが、その作風には多分に作画監督の大塚康生氏のカラーが出ているような気がする。気がするだけかも知れないが。まぁブルーレイが出て高解像度に出力しなおしたから、それを機にテレビでも放映しようということなのだろう。
まことにありがたいことである。
ウチは残念ながらデジタル放送を録画する装置がないので、リアルタイムで見るしか出来なかったが、いやいやどうしてクリアな映像というのはそれだけで印象がずいぶん変わるモノだなぁと思った。線にボヤけがなく、塗りにムラを感じにくいのは「正直善し悪しある」とは思うが、純粋に細かなディティールに目を向ける限りに置いては、「完全にアリ」だと思う。今まで見慣れてきたカリオストロだからこそ、中心に据えられたキャラ以外の「いかにもどうでもよさそうなところ」にも目配せすることが出来る。非常に残念かつ情けないことに、それがどこなのか今書き記すことは出来ないが、
※忘れっぽいので。
娘と見ていて、「あそこにあんなものが!」とか「これ気付かなかったなぁ」とか。セリフをいかに覚えているかは「カリオストロを見るたびに必ずしてしまう仕方のない行為」だが、今回は「んぐ」とか「おい」とか「うー」とかの「言葉にならない言葉」まで注意深く聞いてしまった。
カリオストロの城と、太閤殿下の館の位置関係についても、ラスト水が出てからの遠景からは、序盤にルパンと次元が話をしていた位置がよくわからないとか、地図が欲しいとか、アニメのウソで案外適当にやってるのかなぁとか、大塚康生氏の妙なこだわりを考えたら意外としっかり立地関係が構築されてるのかなぁとか・・・。
※序盤のチェイス後にルパンとクラリスが落ちたところの崖とか。
当時は全然気付かなかったことだけど、週アスの岡田斗司夫コラムで、
カリオストロはお金持ちの概念を覆した
旨の記述は結構目から鱗だった。「お金持ちと言えばステーキとメロン」というステロタイプな日本人の「お金持ち観」からは、あの、「たまごの白身を捨てて黄身だけ食べる朝食」のイメージはどこをどうひねっても出なかったというのだ。
※他にも結婚の儀式、お辞儀の仕方、地下牢の亡者たちのディティール、時計塔の中でルパンと戦う時に剣を顔の前にかざすところも、冷静に考えると凄く「かっこいい」。今までの悪役は決してそうした「礼節」を重んじたりはしなかったと思うんだよね。悪玉なんだけど、やっぱり偉いお金持ちは「育ちの違いが出る」んだろうな、と。
ただ、一方でアクション時のセル枚数の少なさや、色数の少なさ、濃淡の物足りなさみたいなのを感じたりしたのも事実。もっともそれを踏まえて今の技術で焼き直したところで、このカリオストロを超えられる作品が出来るかどうかとなると、話は別だと思うけどね。山田康雄さんもいないし<これが一番大きい。
一方ハムナプトラ3はというと、
CMの面白そうな編集はもはや神業だな
ってくらい「CMの方が面白い」。開始前やCM前後に「おいしい場面」を編集したショートフィルムが差し込まれたのだけど、それを見る限り「超面白そう」。CGの塊(かたまり)だとわかってはいても、主人公、ヒロイン、若きヒーローにジェット・リー演じる悪の皇帝、何千対何千という大合戦シーンも一瞬しか映さない(まぁよく見ればアラが見えるからかも知れないけど)、ドラゴンに雪男、カーチェイス、飛行機の不時着からお約束のミイラ関係。
なんて良くできたトレーラーなんだ!
ってくらい良くできていて、本編のイマイチな部分は全然見えない(まぁ当然だけど)。ただ、当然美味しいところをここまで見せちゃうということは、本編を見たときの驚きや新鮮みが薄れてしまうわけで、特に今回のように直前やスポンサー交代のタイミングで見せられちゃうと、「覚えてる」んだよね。僕ほど記憶力の悪い人間でも。
これがサスペンスタッチのストーリー重視モノであるならそれでもまだ楽しさが残ってるんだけど、、、。
主役のブレンダン・ブレイザーは嫌いじゃないんだけど、どうしてもこの映画を見ると比較してしまうインディ・ジョーンズ=ハリソン・フォードよりは劣ってしまう。表情が乏しいというか、まぁ単純にオーラがない。
※あとから冷静に考えたら、彼のまとう印象はインデペンデンスデイの大統領みたいだって思った。言葉は悪いが「偽マイケル・ダグラス」みたいな。いや、まぁ彼よりは印象も強いんだけど、、、。
センターオブジアースでも同じような探検家の役で、結構派手なアクションもこなせるんだけど、、、。なんかがんばれって思った。
今回のヒロインは主人公リックの奥さんではなく、息子の恋人役リンちゃん。アジア系で文字通り「稟とした顔立ち」なので、最初目を引くんだけど、
※アップもあるし。
惜しいかなそれ以上に見せるシーンがない。色っぽいシーンもほとんどなく、おちゃめなところも強気を見せるシーンも今ひとつテコ入れ不足というか、役者の実力に寄るのかなぁって感じ。息子とのやりあいとか演技次第ではすごく観客を引き込めるというか、ある意味重要な見せ場だと思うのに、どうももう一息って感じで終わってしまう。
結局終始そんな感じで、音楽もインディと比べ耳に残るものはないし、ジェット・リーも皇帝であることが前提で、体術でどうこうという役じゃないから魅力も激減。CGで化けるのは1作目のザ・ロックだっけ?プロレスラーと同じアプローチなんだけど、技術は進歩してもそれだけじゃ何かが足りない、みたいな。
相変わらずのご都合主義に関しては全然問題ない。むしろテンポが良くていいくらいなんだけど、やっぱりどこか、、、そう、言うなれば、
ディティールに魂がこもってないような映画だった。
派手な見た目と贅沢な素材で盛りつけたディナーなんだけど、一皿目を食べ終わる時点で既にちょっとお腹にもたれるというか、うなぎの後に梅干しが出るというか、、、。
続編も臭わせる終わり方だったけど、1億7千5百万ドルで作って4億ドルの興収を上げてるところを見ると(ウィキペ)、コンテンツとしてはとても優秀な部類に入る「方程式」に則った作品ということになる。1作目映画館、2作目DVD購入、3作目テレビでやるまで待つ、と回を追うごとに僕の中の扱いが悪くなっていくシリーズであるが、次回作は作品の方向性上3Dは間違いないだろうし、またちょっと映画館に行くのもいいかなぁどうかなぁというところかな。3の評価としては★☆くらいだったけど。
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