稲船敬二氏カプコン退社について
自身のブログ
http://blog.daletto.net/inafunekeiji/archives/1247962.html
やファミ通
http://www.famitsu.com/news/201010/29035266.html
4gamer
http://www.4gamer.net/games/084/G008467/20101029004/
※4gamerが一番詳細
で稲船氏がカプコンを辞めたという話を目にした。まぁ正直言って氏がどれほどの人なのかは僕にはあまり印象に深くない。岡本(吉起)氏や藤原(得郎)氏と比べたら、同じようにカプコンを退社した人の中にあってのユーザー側までにじみ出る濃度が薄いと感じているからだ。
だが、その内容はなかなか興味深いというか、かっこつけずに言えば、
よくわからなかった。
自分の思い通りにならないからカプコンを辞める。乱暴な言い方をすればそういうことで、重要なのは、カプコンが正義なのか悪なのかが、少なくとも今の僕にはわからないということだ。会社として継続して5年10年先やっていくためにしなければならないことや、重要視すべきことをないがしろにしていると稲船氏がもし警鐘を鳴らしたと言われても、実際5年、10年先にカプコンがなくなっているとは想像しづらい。海外のゲームが優れているといくら言われても、日本で(自分のイメージするソフトを)作れているのが任天堂だけだと言われても、実際自分が楽しい、面白いと感じるソフトがその中に含まれていない限りに置いて、氏の言い分に素直に納得するのは難しいと言わざるを得ない。
レッドデッドリデンプションが国内で10万本しか売れないのはおかしい、もっと言えば良くないくらいの勢いでまくし立てられたとしても、
海外の価値観を国内に浸透させられるとは思えない。
日本人が好きなゲームが外国で受け入れられる「べき」とも思わないし、外人の感性で作られたゲームを日本人が理解嗜好するべきとも思わない。それらがシンクロしていけばいくほど、日本のゲーム業界、具体的に言えばカプコンは将来的な安定を得る助けとなるのはわかるが、それだけが今自分が立っている場所の環境が良くなるわけはないと思う。
日本の主立った大手ゲーム会社の未来を憂いていて、警鐘と情熱をもってサポートしたいという高尚なビジョンに基づいてカプコンを退社したのは伝わってくるが、それが直接自分(クリス)のゲームライフを豊かにするのかと言えば、
「答えはNO」
というのが長いインタビューを読んでの僕の答えだ。
稲船氏は「0から1を作る」コンセプターを評価して欲しいと言い、「1から10を作る」クリエイターと分けて考えて欲しいと言っていたが、僕の中での良いゲームはむしろ、「9を10にする」ところにあるとまじめに考えている。
確かに0を1にする、ズバリ言えば「発明」はゲーム業界全体にとって大きな財産だと思うし、将来を見越せば最も重要視される「べき」だという考え方は理解できる。でなければリリースされるソフトは全て焼き直しと繰り返しばかりになってしまうから。でもそれは同時に遊び手に結構なハードルを求めることにも当然なってくる。ユーザー側にも覚悟が要る的な話もあったが、僕に言わせればそれは作り手のたんなるわがままなんじゃないかと思うのだ。
ゲームってそんなに大変なもんじゃないだろう?
って思うのだ。世の中からなくなったって構わない、でもなくなって欲しくないくらいからあまり背伸びしすぎるのはどうなの?って思うのだ。楽しめるヤツもいればそうじゃないヤツもいる。ハットリくんが楽しくて最高という人もいれば、スーマリを(自分の意志で)買わなかった人間だって何百万人もいるのだ。
話というのは片側から聞いても真実は全く見えない。言葉は悪いがウチの店の素直で単純な女性パートさんが聞いたらこの稲船氏の話は、「全面的にカプコンが悪者」に見えてしまうような内容だが、実際問題モンスターハンターポータブル3は今日本で3本の指に入るほどの作品だ。それをリリースさせ得る会社を、ある種全否定するスタンスを「そっちの話」だけで信じる気には僕には到底なれない。面白いと感じる、楽しいと感じる感性に高いも低いもない。ただ「俺はそう思う」でいいじゃないか。
レッドデッドリデンプションは縄で捕らえた相手を機関車にひかせることが出来るという。まぁ演出にジョークが混じっているとか、そもそもZ指定というのもあるし、僕自身内容をある程度知った上でマッドワールドというある意味もっとずっとひどいゴア表現のタイトルを買ってるわけだから、そこに文句を言うつもりはない。だが、
カプコンが稲船氏を不要だと感じたのはよくわかる。
俺が社長でも彼は部下にいらないと思う。自分のやり方で会社が傾いてしまう可能性がふくらんでいく過程であったとしても、正解か不正解かは下駄を履くまでわからない。結果が出るまでは自分の信じた道を歩くしかないと思いたくなる感じだもの。彼と対峙すると。
いろんな大物クリエイターが母体を離れて、中にはいくつもソフトをリリースしている人もいるが、正直「大きくなった」「結果的に良かった」と感じさせた人は「いない」。前述のカプコン3人、中祐司氏、坂口博信氏、松野泰己氏、、、。ちゃんと母体と良好な関係を築き続けている桜井氏くらいじゃない?結果が残せているのは。
要は人間関係を円滑に進められない、コミュニケーション能力に長けてない人間は、クリエイターとしても微妙なんじゃないかって話。
でなければ突出して個性と実力(=才能)があり、運にも恵まれた庵野監督みたいな人じゃないと、「我を突き通す」のは無理だと思うんだよね。
※いくら音楽の才能があっても、古代祐三氏の360インディーズで発表されたタイトルとか、正直どうしようって感じだったりしたし。
全然関係ないけど、ディアブロ2を作ったクリエイターの中心メンバーは、既にブリザードを退社していて、今3を作ってるのは別のメンツだったりするんだけど(たぶん)、なんだろうね。全然期待感が薄れないこの感じ。でもって退社した連中が作ったゲームが意外と惜しい結果になっちゃった感じ。
※ヘルゲートとトーチライトの事です念のため。前者は面白いと思ったけど一般性と完成度が低かったようで、後者は逆に日和りすぎてたのかなぁとも思ったり。<自分で言うのもなんだけどまぁわがままな物言いですけど。
結局クリエイターってのは自分が思ってる以上に、いろんな人に助けられているということをもっと知って欲しいという感じ。でなければ前面に顔を出さず、ソフトハウス全体として名を上げるか、完全に1から10まで作れるチームとして出てくるしかないんじゃないかと思う次第です。NINJAとか自分は好きじゃないけどそういうことだと思うし。※サンドロットは好きです。がんばってください。
結局はイノケンになっちゃうんじゃないかと思うんだよな。稲船氏も。
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コメント
こんばんは、クリスさん。
ちょうどいましがたPSPのロックマンDASH2にイレ込んでいる私には、「3DSのDASH3はどーなるのさね!?」という話題でした。
新ヒロインを人気投票で決めたばかりだから、そう簡単にポシャるとは思えない、思いたくないですが〜。
DASH2、楽しいです(^^)。ただ所詮は初代プレステの映像だから「対クリスさん」のオススメ度はゼロです。しかしこの新作がロンチで出るなら…3DSを買わずにいられまいて!
という訳で、潰れないことを切に願います。
前置き長くなりましたが、氏のインタビューについて。
やっぱり氏の個人的な能力が分からないので何ともかんとも。考え方は、100%納得できるものではないけど、一抹の真実も含まれてるかなあ、と。海外市場を狙うことは、デカく膨れ上がった会社を支えるのに必要だし。
まぁいけ好かない人物なのは確かかな(^^;。ただ、チャレンジ精神は必要だし、ここまで大口を叩くなら、失敗するよりは成功して欲しい。氏の独立第一作は忘れずに、レビューをチェックしておこうと思います(さすがに発売日には買いたくない)。
まずはお手並み拝見といったところでしょうか。
レッドデッドは、低い評価のレビューを読むといかにもつまらなそうなんですよね〜(^^;。前作は遊んだことがありますが、弾丸を何発ドテッパラにぶち込んでもなかなか倒れない敵たちにあきれて止めました。西部劇なのにターミネーターかよっ、と。
まぁ、一発で死んだり殺されたりしたらゲームとして成り立たないのは分かりますが、ヘッドショットしてる西部劇なんて見たことないし(^_^;)。
新作は逆に主人公がタフ過ぎるようで。
雰囲気を楽しむゲームとの好評価もありますが、これでは私には合わないだろうな、と。
あ、モンハンP3rdですが、体験版をやる限り…、
「12月1日は会社休むとするか!」
てな感じです(^^)。海がない、松明がない、にゃんこが二匹いる!武器は増えてないけど新アクション良し!と、良いところずくめ。カプコンの底力に期待大です。
投稿: トムニャット | 2010年11月 1日 (月) 20時15分
ちーすトムニャットさん、クリスです。レスが遅れて申し訳ない。ちょっと丁寧に書きたいかなぁと思ったので、息継ぎしてました。つってもまぁダラダラとお返事になるわけですが、、、。
ロックマンダッシュは1をどなたかに熱烈オススメされ、数時間やった記憶があるのですが、グラフィックに関する抵抗感が薄かった当時でも、「何かポリゴンアクションって違うんじゃないか」って感じが払拭しきれなかったような記憶がありんす。マリオ64以外、どこか遊びづらいと言うか、シンクロ率が低いというか。
でもこれはプレイヤーの経験値にも依存する話だと思うんですよね。仰るとおり初代プレステ映像に「どういう印象を持つか」に掛かってくる、みたいな。当時あれだけやった「R-TYPEデルタ」ですら、今見ると「かなりつらかったり」しますから。
自分が今の人より楽しめるゲームもあれば違うゲームもある。当たり前なんだけど、ロックマンダッシュはまさにそういう位置づけにあるタイトルだよなぁと思った次第です。絵が綺麗に3DS化したら案外化けるのかも知れませんね(^^。
稲船さんの話に関しては「一抹の真実」とはまさしく、という感じですね。あの話を見てから、なんかモンハンと言わずファンタシースターと言わずFFと言わず、
どこの会社もああいう葛藤というかぶつかり合いみたいなのがあるんだろうなぁ
という目で見るようになったのは事実で、今まで自分が「ダラダラ遊べりゃいいじゃん」って思ってたところまで、なんかこう「ダメなプレイヤー」の烙印を押されてるような?自分みたいなのが業界の未来を狭めてしまっている可能性も捨てきれないのかなぁとか?まぁそこまでじゃないにしても、あんまし良い気分がしなかったのは事実なんですよね。
モンハンでも、辻本さんの顔をウェブで見る度に、「この人もサラリーマンなんだ・・・」って思ってしまったりとか、もちろんそうじゃない人達もいるんだろうけど、
※サンドロットとか。
大きい会社だと多かれ少なかれそういう「作品ではなく商品」の度合いが強くなってるのかなぁと思ったりはします。
自分で、というか少人数で何から何までやるようなつもりじゃないと、なかなか稲船さんにお金を出す人はいないような気がします。キャラは違うけどセガの中祐司さんみたいなところに落ち着いちゃう気がするなぁ。つかそう考えると坂口博信さんは恵まれてますよね。
ちなみに僕も12/1は休みを入れていますよ(^^。ターゲットはむしろ本体の方なんですが、
※ソフトは予約済み
なかなか買うのは難しそうです。
余談ですが、10月の終わりに「シューティングゲームサイド」という本が出たのをご存じですか?自分は出てから本屋で買えばいいと思っていて、発売日の翌日くらいに行ったらなくて、結局AMAZONで注文してようやっと昨日届いた感じなのですが、
筆致は今ひとつだけど、いろんなシューティングの写真がモリモリ載っている点で、買っておく必要がある。
って感じでしたよ(^^。1200円くらいだったかな。もし未見であるなら、、、。
投稿: クリス | 2010年11月 8日 (月) 22時09分
クリエーター買いは、容量が増えた今のゲームだとなかなか難しいですよね。
PCのノベルゲー辺りだと、まだまだありますが。
個人的にはコンシュマーだとクリエーター買いする人は、桝田省二さん位だと思います。松野さんも気になりますけど。
後、ブリザードゲーに関しては、巨大化したあの会社のサービスの至れり尽くせり感は、もうどの会社も(スクウェアでさえも)対抗出来ないと思います。(固定ファンもModなど積極的に開発しますし。)
投稿: wig | 2010年11月 9日 (火) 23時15分
ちすwigさん、クリスですども。
ノベルゲーは確かにカラーが思いっきり出ますね。スタッフが少なければ少ないほど純度が上がるのは自明の理だし、それがスクリプトに特化していれば期待に対する成果も上がろうというものです。ただ、
枡田省治さんもそうなのですが、一度自分の中で「ガッカリ」させられちゃうとなかなか次へ繋がりませんね。
※氏の作品は「商人よ大志を抱け!」を含め、かなりやってる方だと思いますが、我が竜なんかはかなりツライ出来でした。メタルマックスシリーズにも言えますが、「ゲームデザイナー」という職業は、堀井雄二さんレベルまで「見ないと」なかなかカラーが薄れちゃうものかも知れないなぁって感じです。
ネバーランドやコンパイルも好きでしたが、今は・・・。正直クリエイターというか、名指しで買うのはサンドロットくらいですね。自分は。
投稿: クリス | 2010年11月13日 (土) 20時50分