常考
「常考」:常識で考えればわかるだろ、という意味だと思うのだけど、この言葉はなかなかに奥深い。
最初はネットスラングでただ単純に物を知らない人に対する罵声として使われると思っていたのだけど、
※事実その側面が9割以上だと思うけど
その「常識」というのは一体何なのか。でもって使う人が第三者からどう見られているのかに踏み込むと、「常考」の持つニュアンスが結構変わってくる。
「常識」に関しては以前もなんどか書いてきたけど、辞書には、
●常識
普通、一般人が持ち、また、持っているべき知識。専門的知識でない一般的知識とともに、理解力・判断力・思慮分別などを含む。
と書いてあった。もうツッコミどころ満載である。
まず、「普通、一般人が持ち」の点で「常考」という言葉の意味を知り、使う人間が既に除外される。またネットスラングは(全てではないにしろ)専門知識的側面があり、かつ「常考」と称される知識もまた一般的知識とはかけ離れている場合が多いような気がする。
だから常識という言葉の意味だけ考えたら、「常考」という言葉を使う人自体が既に「非常識」であり、その言葉には何の説得力もない。ただ単に、
自分が知っていることを知らない人を侮蔑する「バカだなぁ」「無知だなぁ」という意味を別の言葉に置き換えたに過ぎない。
ただ、実際問題そもそもその「常識」という言葉自体がほとんど意味のない愚か者の戯れ言だという視点もある。というかそれは僕個人がそう勝手に思っているだけなのだが、「常識」という言葉を口にするヤツに限って、
知ってることだけが常識
という頭の悪いケースが多い。自分が知ってることは全て「持っているべき知識」とする価値基準こそが愚かで見苦しいということに気付かずそれを露呈する。自分が「一般的」であるかどうかは、本人が決める事じゃないし、そもそも常識とは、
口にするべき言葉ではない。
統計なりリサーチなりで初めて数字として説得力のある常識になる。それも「何割の人間が知っているから常識なのか」という根本的なラインが明確じゃない上に、その統計がどれだけ信頼に足る物なのかも大抵の場合不鮮明だろう。
Qさまの漢字検定で一般正解率50%以上の問題は常識なのか。当然否である。Qさまがリサーチしている対象という時点でそれは既に「本当の意味での一般人」ではない。「一般人」という表現も、成人ならそうなのか、75歳以上は違うのか、子供の常識は常識ではないのかなど、山ほどツッコミどころがある。
だからこそなのか、最近僕が目にした「常考」は、その「口にしたキャラをおとしめる」使われ方をしていた。「常識」という言葉を使うような「非常識人」というわけだ。
たぶんネットで「常考」を使う連中もまた自分が「イレギュラー」であることは十分わかっている。
ということは、だ、「常考」と侮辱される側は、むしろ本来の意味での「常識人」である可能性すらはらむ。「常識を知らない」とされる側が実は真実で、もっと言えば、
常識なんてものは存在しないことに気付いているのかも知れない。
だからなのか僕も僕の知り合いも、最近「常識」という言葉「普通」という言葉を使うときに慎重になっている気がする。「普通、と言っても僕の中での普通なのだけど、、、」「常識的に考えて、、まぁオレが言っても説得力は薄いかもしれないけど」みたいな。
ちなみに、「常識」という言葉の意味そのものは実際に存在するとは思う。「常識」という言葉に置き換えられる事象に説得力がないだけで、たとえば「たくさんの人の認識を集めた結果」は、すごく意味として常識的。ただ問題は、
それはいわゆる常識では全くないということ。
「こんにちは」を「こんにちわ」と書く人が大多数になった場合、正誤では前者でも、常識では後者を「容認できるミス」とするかも知れない。100人が100人ミスに気付きつつも100人が100人それを容認するとしたら、「こんにちわ」は既に「常識的なミス」として受け入れられている気がする。
最初から最後まで支離滅裂だったけど、とりあえず「常考」って言葉は、「面白い」って言いたかったわけです。TPOで言ってる側が弱者にも強者にもなりうる。まぁ現在はほとんど使われてないのかも知れませんけどね。
※ちなみに自分はクリミナルガールズ内で出てきてちょっと吹いてしまいました(^^;。まさしく「弱者」が使っていたのでね。
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