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2011年4月13日 (水)

良いゲームとは何か

4gamerでこのタイトルだけを目にしただけなのだけど、何となくお題として取り上げてみたくなったので書いてみる。

「良いゲーム」とは何か。そもそも「良い」「悪い」とはゲームのどこを取って「良し」とするのか。「面白い」や「楽しい」「気持ちいい」ゲームが良いゲームなのか。じゃあ逆の「つまらない」「気持ち悪い」ゲームは悪いゲームなのか。「つまらない、、、が止められない」ゲームは悪いゲームなのか。人によって面白いと感じる部分は違うと思うが、「みんなに面白いと感じて貰える」ゲームが良いゲームということになるとするなら、本数が売れているゲーム=良いゲームになってしまわないか。

人を撃ち殺すゲームが、気持ちよく面白く楽しい場合、それは良いゲームなのか。「善い」と「良い」は違うから、「善くなくても良いゲーム」はありそうだ。あと、「体に良い」としても意味は違ってくる。「脳に良い」は科学的生物学的に何かを立証してるわけじゃないだろうから、まぁ見せ方の一つに過ぎないとは思うが。

僕が20歳そこそこの頃は、「良いゲーム=アクションRPG」だと思っていた頃があった。少なくとも「究極のゲーム」はアクションRPGに行き着くだろうと思っていた。物語を語り、場面を演出しつつ、リアルタイムでインタラクティブなアプローチを要するゲームこそが、「コンピュータゲームならでは」であると思ったし、今でもそうだが、「一番五感に訴えかけてくる」気がしたからだ。

だが、じゃあアクションRPGは全てが「良い」かと問えば、当然答えはNOだ。緊張感のあるアクション性も度を過ぎれば負担となるし、物語の脚色や演出も、デモで紡いでしまえばそれは映像であってゲームではない。名作と名高い「ゼルダの伝説」シリーズも、一作目を至高とする僕のような人もいれば、「神々のトライフォース」が好きな人、「時のオカリナ」が好きな人もいるだろうし、だったら「ゼルダは全て良い」のかと問えば、早々に挫折してしまったGBC版やWii版を良いとするのにはやっぱり抵抗がある。

 「良いゲーム」は時代と共に移り変わる。

グラディウスやR-TYPEが良いゲームだった頃もあれば、テトリスやダンスダンスレボリューション、ストIIやバーチャが良いゲームとされた頃もある。身も蓋もない言い方だが、

 人によって良いゲームは当然変わる。

R-TYPEを知らない人に「これは良いゲームなんだよ」と言ったところで、共感を得ることはまず不可能だろう。
※AKBメンバーのアニヲタ話について行けないのと同じじゃよ。

だから、「今、この瞬間世間一般に最も訴求する『良い』を問うのかどうか」がまずポイントになる。設問がここ数日のブログネタであるなら、当然その「良い」は、「今の良い」なはずだ。

 って、今の良いゲームって何?

軽く袋小路に入る。今って日本のゲームがあまり面白くないというか、世界中からさほど高い評価が得られなくなってる気がするのだけど、じゃあ世界でトップと称されるようなゲームが「良い」のかと問われると、正直首をかしげる。「レッドデッドなんちゃら」に一ミリも訴求されない自分。ベセスダのタイトルがどうにも面白いと思えない自分。三国無双やバイオハザードが楽しめない、ポケットモンスターがつまらなくなった自分にとって、「今の良いゲーム」を

 理解出来るわけがない。

でも、じゃあ僕の考える「良いゲーム」が、完全に個人的で、独りよがりで、排他的な嗜好の遺物なのかというと、それはそれでまた違う気がする。だって世界中で高い評価を得た「TRIALS HD」や「MINECRAFT」を僕も楽しいと思ったもの。400万本とか売れたモンハンP3も3百時間弱は遊んだもの。

そんなわけで、まぁ「世間のメインストリーム」からはズレているものの、価値観として完全にイレギュラーなわけでもないというクリスの視点から、「良いゲーム」というのを考えてみることにする。つかこっからが本題なのだが、いつも通り行き当たりばったりかつ、当然のことながら「ここから先の文章を書いてから、前置きを書いているわけじゃない」ので、まぁつれづれに。

●序盤が簡単であること

これは絶対的正解の一つだと思うのだけど、まず最初から「つまずかせる」ゲームが良いわけがない。最終的にかなり複雑な操作や、細かなパラメータや、綿密なプランニングを要することになろうとも、はじめの一歩は誰にでも、それこそ「母国語以外でも」楽しめるようなハードルの低さは不可欠だと思う。ゲームが始まるまでにいくつもの選択肢や設問、説明、注意書きを超え、お仕着せの不文律に投げ出されるようなゲームが「良い」わけがない。

昔から書いてきたことだけど、その意味でまず「子供が楽しめる」ゲームはそれだけで他のゲームより一歩秀でていると僕は思う。あっさり書いたが、「子供が楽しめる」のは非常に「非常に」高いハードルだ。「子供だまし」のゲームは凡百あるが、当然そんなゴミに子供はぐらつかない。まぁ「子供にしか楽しんで貰えない」ことが正解ではないのも、また真実なのだが。

●嫌悪感を抱かせない

人によって何をトリガーとしていらだちを覚えたり、抵抗を抱いたりするのかはそれぞれあると思うが、少なくとも「良い」とされるべきゲームなら、そこでニッチな選択をしてはダメだろうと思う。ゴア表現があるもの。エロ。ホラーのようなストレートなわかりやすいものだけでなく、読みづらい漢字が一文字使われているだけで、「全年齢対象」を謳うゲームとしては不適切だと僕は感じる。「全年齢」に向けているのに、読めない漢字が使われている。自分の読めない文字、わからない表現が出て来た時、そのプレイヤーはどう思うか。もし「全年齢とはゲームを普通にプレイ出来る方の中の全年齢です」とするなら、じゃあそれは何歳なのかと問いたい。少なくともウチの子は2歳でゲームを始めて、3歳には普通に遊んでた。でも全年齢のゲームで読めない漢字は当然のようにあった。

 まぁわからなくても読めなくても本人が楽しいと感じられるような構造になっていれば、それはそれで全く問題ないとも思うけども。

●テンポが良い

長い戦闘ロード。飛ばせない複数の社名ロゴ。いらだちを覚える移動速度。代わり映えのしない背景。高揚感をそぐ冗長な演出。カットできないボイス演出。ボタンを押しても反応が返ってくるまでにかなりのラグがある。

それらは全て「無いなら無い方が良い」はずだ。小説やマンガを、もし「自分以外の誰かのペースでページがめくられたら」と思ったら、それがどれほど大きなストレスになるのかは、考えるまでもない。まぁそう考えると、「急かされるほどハイレスポンス」であることも、「テンポが良いとは言えない」わけだけどさ。
※ファミコンやゲーセンのボタンは、「押した時と離した時」二回反応したりするようにチューンされているタイトルもあるのだけど、それがもし「押してウインドウを開き、離してウインドウが閉じた」としたら、そのせっかちさはハンパないと思う。まぁ全くその通りなゲームはないけど、近いヤツはあった気がするんだよな。

ちなみに個人攻撃になるけど、「代わり映えのしない背景」によってテンポが悪くなったと感じたタイトルは、ズバリ「パンツァードラグーンツヴァイ」だ。あのゲームの無駄に平坦な道中(敵が一切出ないところがある)は、心底クズだと僕は感じたのだが、評価する声も多いんだよね。今でもその感性が全く理解出来ない。嵐の前の静けさというほど盛り上がるシーンの前なわけでもなく、ただただ時間を無駄に過ごさせるだけのパート。キングスフィールドみたいに裏でロードしてるでもなく。

●選択肢がある

部分的には「ジレンマがある」と置き換えてもいいが、これは自由度の高さを言うのではなく、プレイヤーに(ある程度)目的を持たせることを意味する。「AをするかBをするか(もちろんCでもDでもいいんだけど)」という提示のないゲームは、それだけでモチベーションを低下させうる。常に複数の選択肢を用意し続けられるゲームは、やっぱり良いゲームであると思う。

ただ、これはジャンルによって多少ニュアンスが変わる部分でもある。推理物のアドベンチャーには、コントローラーから手を離して「考える」という選択肢も生まれるだろうし、エロゲーならば「良かったシーンをロードしてもう一度見る」という選択肢も生まれるかも知れない。メタルスライムを倒し続けるか、物語を先へ進めるかという選択肢があるウチはいいが、早々にそのエリアのレベルキャップに到達してしまって、「ボスを何とか倒す以外にやれることが一切無い」という状況になるようなゲームは、良いとは言えないと思う。
※こないだやったメトロイドゼロミッションなんかは、まさしくそういう「良さ」があるゲームだった。未踏のエリアをいろんなアプローチで探索しまくってもいいし、示された目的地をがんばって目指してもいい。ボムジャンプや壁ジャンプで登り切ってもいいし、そそくさと次のアイテムを探しに言ってもいい。

地味だが、メッセージやデモを飛ばせたり、戦闘とかのアニメやモーションをカット出来るという選択肢も非常に重要。みんながみんな召還魔法の演出を毎回毎回見たいわけはないしね。

「選択肢がありすぎる」ことがプラスなわけじゃないと思っていたけど、マインクラフトなんかは、結構それがプラスに働いてる気もするので、一概には言えないかも知れない。レスポンスやメリハリやテンポとの兼ね合いがとても重要ってことかな。それらが満たされているなら、「自由度が高い」ことがそのまま「プラスの意味での無限の選択肢」になるのかな、と。

●音楽がある

全編で流れ続けている必要はないかも知れないけど、やっぱりどこかで鳴って欲しいという気持ちはある。「メロディ」でなく「効果音」でもいいけど、無音より音が鳴った方が良いと思う。

 もちろん不釣り合い不似合いな音楽ではダメだが。

あと、

 タイミングのズレた効果音なら無い方がマシだが。

●安定している

当たり前の話だけど、やっぱり「良いゲーム」の条件には入る。いきなりフリーズしたり、ロールバックするというのは、なきゃ無い方がいい。そんなことを心配しながら遊ばなくてはならないのは、苦行でしかなく、いくら面白くてもそれが100%にはならないと思う。マインクラフトにおける数少ない欠点の一つでもあるけど、やっぱバグによってゲームが不安定になるのは、「基本にして普通勘弁して欲しい」よな。
※バグによってゲームが楽しくなるケースも希にあるけどね。僕の中では第四次スーパーロボット大戦のマップ兵器によるレベルアップとか、初代ゼルダの伝説初版にあった、笛で取るハートとか。

●わかりやすい

「簡単」にも通じるけど、アイコンや名称が容易に想像できたり、パッと見で理解出来る方がいい。固有名詞が矢継ぎ早に出てくるようなの
※SFベースのエロゲーとか。HALOとか。
は、正直「良い」とは思えない」だってその場に置き去りにされるようなもんだもの。それがどこの防具なのか。例えばグラフィックで表示されていても、それが「肩の防具」なのか「盾」なのか「腰」なのか「腕」なのかわからないだけでも、結構ストレスになった気がする(ヘルゲートロンドンの話)。

初代ゼルダが好きなのは、その絵のアイコンドット絵の質が非常に高いことだ。「薬」はどう見ても薬だし、笛は笛、弓は弓。爆弾は爆弾。強いて言えばパワーリングが最初「赤いイモムシか?」と思ったけど、まぁよっぽど見た目で効果がわかる。当然のように日本語版を僕は最初に遊んだけど、もしあれが英語版であったとしても、ゼルダはたぶん普通に楽しんでクリア出来た気がするんだよな。あとスーマリも「メットは初見時に踏んでも倒せなさそう」とか「トゲゾーは踏んだらマズい」とかわかったもんね。毒キノコも、「これは取っちゃダメそう」とか。そういうのスゲェ重要だと思う。

●美的感覚にフィットする

あと何かないかなぁと考えていて、ふと唐突に思い浮かんだのがコレ。

 洋ゲーの何が一番ダメか。

もうね、見た目の「変さ」はいかんともしがたい。まだリアル系のデザインは受け入れられるんだけど、360のアバターとか、コミカライズされたキャラとか、「外人の言うところの美女」の定義とか、

 どうしても愛せない!

愛せないキャラを動かしていても楽しいわけはないというか、ドラクエやFFがなんだかんだ言って凄いのは、「あの見た目」に寄るところも大きいと思う。もっと言うと、「見た目が徹底的に上質」なら、それだけでもう何割かは成功してる気すらする。モンハンとかもうやる前からドラゴンのデザインとかかなりかっこいいじゃん?

 見た目、思ってる以上に重要。

ナムコが一世を風靡したのだって、ゼビウスが売れたのだって、結構このウェイトが高かったからだと思うんだよな。「良いゲームは見た目がいい」。少なくともその国民性にあってないとキツいよな。

●運が良い

いくらスティールダイバーが面白くても、あのタイミングで津波が来てしまっては売れないし、売れなきゃ評価されない。その時のはやり廃りもあるし、タイミングの善し悪しは、「良いゲーム」を決定づける非常に大きなポイントになると思う。「今時これ?」って思われたら、もう遊んで貰う前から負けてる気がするよね。

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ざっと思い浮かんだのはこれくらい。でももちろんこれらが全てクリアされていても、すぐ良いゲームになるわけじゃない。最初の方に書いたけど、最終的には「良いゲームはその人次第」だと思うから。

でも上記のポイントを全てクリアさせることで、「今よりずっと良くなるゲーム」は腐るほどあると思う。事と次第に寄っちゃぁ売り上げを一桁増やせるようなソフトもあると思う。そう考えると僕が挙げたポイントは、「良いゲーム」ではなく「悪いゲームじゃない」点だったのかも知れないけど、まぁ、

 僕の好みは浮かび上がってきたかな、

と思った次第です(^^。

最後に、上のお題を全てクリアしてるようなタイトルが何かあるかなぁあったかなぁと思い返すに、

・ゼルダの伝説(初代ディスク版)
・メトロイド
・スーパーマリオブラザーズ
・ドラゴンクエスト

辺りは、ほとんど完璧だった気がする。もっと言うと、

・NEWスーパーマリオブラザーズWii
・ドラゴンクエストIX

も、条件をほぼ満たしていた気がする。まぁこれを理由に、「僕の考える良いゲームが正解だ」なんて言うつもりはさすがにないけどね(^^;。

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