ダークソウル~番外編~
今日は長男がダークソウルに興味を持ってくれたので、横でギャラリーに。
自分以外の人間がプレイするのを見るのは初めてだったのだけど、まぁ話しても良いことは話すし、話すべきじゃないと判断したことは話さない。その辺りは僕だけでなく長男もわかっている。伊達に13年もゲームやってない。ちなみに僕は35年くらいか。
キャラクターを魔術師とし、アイテムは老魔女の指輪にした。僕が万能鍵をチョイスしていることを伝えてしまった分、逆に選択肢を狭めてしまった可能性もあるが、再三「鍵を選んでもいいよ」と助言した上での選択であるなら、それ以上語ることもない。
デモが始まり、主人公のいる牢屋へ鍵が落とされる。ルートには基本操作に関するアドバイスが書かれ、一歩一歩歩みを進めていく。敵を倒し、盾を取り、ほどなくして最初のかがり火へ到着。
「休むと敵が復活するから」
知らなくてもすぐ知ることになるようなことは伝える。
重い扉を開け、歩みを進めると、最初のデーモンが現れた。
「簡単に死ねる」
事実長男も簡単に死ぬかと思いきや、結構軽快なステップで相手のバックを取るように移動する。モンハンにも言えることだが、やはり現役は違う。もはやアクションゲーム関係で長男に僕が勝てるタイトルはないかも知れない。
だがそれもわずかの間。結局やられてかがり火に戻される。距離にして10mほどなので、精神的なショックは少ないだろう。
「こいつをこの初見で倒すと武器が貰えるんだよ。でも最初に火炎瓶みたいなアイテムを選ばないとたぶん、つか絶対無理」
相手に与えられるダメージはわずかに1か2。よく見ればゲージが減っていくのもわかるが、到底たどり着けるとは思えない、それこそ天竺かイスカンダルかってな長さだ。一方こちらが喰らうダメージは4本分のメーターの1本前後。ことによっちゃ2本近く一撃で持ってかれる。
「ええ~でも諦めたくないなぁ」
「無理だって。だってイチ、ニ、サン、、、全部で13のメーターがある中の1つ目のメーター分すら削れないんだよ。絶対無理だよ。それこそ頭の悪いアメリカ人以外無理だって」
「じゃあせめて1ゲージ減らすまでがんばるかな。そしたら先へ進もう」
長男のチャレンジが始まった。
とにかくヤツの攻撃範囲は広い。動きは遅いが行動によっては前方180度以上をカバーする攻撃もあり、全ては喰らいつつ把握していくしかない。周囲には柱や壺が障害物として行動を阻み、慣れない操作はミスも誘発する。
「正面の振り下ろしがとにかくヤベェ」
「餅つき攻撃がありがたい」
「ヒッププレスもありがたいかな。でも着地時はどっち向いていても必ずこちらを向くみたい」
一つ一つ相手のパターンを学習し、ついにゲージ1つ削りきる。
「っし!」
先へ進むと思いきや、長男が口にした言葉は別のものだった。
「面白いかも」
は?つか難いでしょ?っていうか無理でしょ。1ゲージ削るのと13ゲージ削るのとは、
単純に13倍の差じゃないですよ!?
最初の1ゲージと最後の1ゲージは重みが違う。緊張感が違う。疲弊感が違う。全てが違う。
僕が口を開くより先に、長男のリトライが始まり、今度は相手の体力を2ゲージ分削ることに成功した。
「面白いね」
正直凄いと思う。数えてみたところ、2ダメージ与える攻撃で1ゲージ分削るには、合計30回ヒットさせなければならない。
※ダッシュしながら当たり損ねたりすると1ダメージの時もある。
13ゲージということは、合計で390回も当てなきゃならない。
「思ったより何とかなりそう」
は?つか無理でしょ。一撃でこっちのHPの3分の1とか奪ってくるんだよ。わずかなミスも命取りなんですよ?
「もし倒す時が来るとしたら、その時はきっと相手の体力の半分削るくらいまでこちらはノーミスで、きっと全ての攻撃パターンを完全に把握し、イレギュラーな事態そのものがなくなるようにならないと無理だろうな」
分析ならばいくらでも出来る。その間も長男はリトライを繰り返す。当然1ゲージも減らせない時もあるが、2ゲージちょっと減らせる時もある。
「諦めたくないなぁ」
だったら一旦普通に始めて、こいつを倒したくなったらそこからキャラメイクすればいいじゃん、と言う。
「それは違う。このキャラで倒さないと」
ふむ。まぁそういうものか。っていうか本気で倒す気なの?まぁ確かに絶対的に無理だということはないのだけど。
「でももし相手のHPが半分になった時点で攻撃パターンが変わったら心が折れるよね」
「そうなったら即止める(^^」
デーモンのHPが7ゲージ削られる時が来た。
繰り返し言うが、こちらの相手に与えるダメージはわずかに2だ。7ゲージ削るには、こちらが4回攻撃を喰らう前に、相手に210回の攻撃を喰らわせなければならない。緊張感たるや、想像を絶している。
「パターン継続みたいだね」
ホッとする長男。
ちなみにヤツの攻撃パターンは、、、
・縦振り 攻撃範囲が最も長く、意外に横にも判定が広い一番怖ろしい攻撃。距離があるとジャンプしながらも使ってくる。
・餅つき 杵で突くようなモーション。前方の攻撃判定が分かりづらいが、後方はかなり安全になり、3回~4回の攻撃をケツにぶち込める最大のチャンス。
・なぎ払い大 正面にいる時に頻繁にやってくる。回避は必ず後方回転で。後方に回避する時の方が横に回避するより無敵時間が圧倒的に長いらしい。70時間やってて知らなかったよそんなこと。ちなみにこれを連続でやられるのが一番ダメージを喰らいやすい。なぜなら、「滅多にやってこない」から。最悪3回やってくる。よく見ていれば違いもわかるらしいが、割と砂煙のエフェクトで見えなかったりするんだよな。
・なぎ払い小 餅つきのあと上手くパターンにはまるとやってくる。右に振り上げたら右のケツ、左に振り上げたら左のケツを2回ほど攻撃。欲張ってはダメ。常にスタミナを残し、後方回避が出来るようにする。
・ヒッププレス 餅つきのあととかに上手くパターンにはまらない時などにしてくる。攻撃範囲がことのほか狭く、着地後の槌には当たり判定がないので、それを通過するように後方へ回り込む。でも攻撃出来るのは1回程度。出来ないことも多い。
・・・こんな感じ。
途中僕が気付いて武器の耐久力を確認したら「75/200」になっていて、こりゃヤバイと。まぁ素手でもほとんど変わらないかと切り替え。あとから気付いたけど、素手の方が2撃目以降の隙が少ないような気がする。
また、鎧に関しても、「少しでもスタミナの回復が早い方がいい」ということで途中で全部オフに。どっちみちヤツの攻撃力から考えれば、着ていても脱いでいてもそう受けられる攻撃回数に違いはない。強いて言えば亡者な分、見た目に大きくテンションが下がることくらいだ。
なおも戦い続ける長男。時刻は始めてから2時間が過ぎようとしていた。
そして、「まぁ無理だろう」と思って僕は一旦彼の横で眠りについてしまう・・・
目が覚めると、ヤツのHPが7ゲージ削られ、残り6ゲージになっていた。そして長男のHPは未だ全快!
「凄いじゃん!」
「ここまで削ったよ!」
もはやヤツの討伐は夢物語ではなくなっていた。が、それでも後半戦のシビアさは前半以上だ。とにかくずっと戦い続けていて集中力も切れがちになるし、「疲れた」を連発する。開始当初は、「ダークリングってケツの穴のことらしいよ」とか「ケツに攻撃して血しぶきって、痔か!」とかの軽口を叩いた僕も、ここまで来ると油断させるようなことは一切口に出来ない。
倒せるなら倒させてあげたい。
途中見事なコンボと運で、32ダメージ一気に削れた時もあったが、逆に壁際で2回連続で攻撃をくらい、HPが3分の1強になったりもした。攻撃によってはあと1撃。運が良くてもあと2撃で絶命する。
じりじりとした戦闘中、自然と僕は言葉を繰り返す。「緊張しすぎるな」「残りのHPを意識し過ぎるな」「落ち着け」「集中」「油断するな」「欲張るな」「まだ始まったばかりだと思え」・・・
一瞬のミスでこちらのHPは残り5分の1ほどになる。もはや1撃も喰らうことは許されない。ヤツのHPはまだ3ゲージ弱。かなりキツい・・・。
同じ言葉を呪文のように繰り返しつつ、ミスをしないように、冷静に冷静に冷静に攻撃を重ねていく。ヤツのHPが2ゲージを切り、1ゲージを切る、、、。
「あと少し」という言葉がのどまで出かかっていてそれを飲み込む。
「集中」「冷静に」「焦るな」「がんばれ!」
僕が生きてきた中で、最も長男を応援しているかも知れないと言ったら、長男も苦笑しつつ同意する。それほどまでに「勝って」欲しかった。
ヤツのHPがあとわずかになった時、餅つき攻撃のモーションが見えた。冗談抜きでそれはまさにスローモーションのようで、長男が冷静かついつも通り背後に回り、攻撃を繰り出す。
「ほとんどゼロだよね?」
「大丈夫あと少しだ!」
その直後、ついにヤツは断末魔の咆吼を上げ、霧散した。
大歓声&ハイタッチ。
攻略Wikiにすらまともに倒した人の話は載っていなかったと思う。「それを繰り返せば倒せるかも」と、半ばジョークの域にある偉業。
さすがダークソウルだな。
正直ここから先長男がゲームをクリアするまでプレイする事はないかも知れない。が、確実に言えるのは、
こいつより手強いボスはいない。
一つ一つの学習が積み重なり、結果がどんどん良くなっていく。見ている方も凄く熱が入る。緊張する。「録画しておけば良かったね」「なかなかPS3の録画は大変なんだよ
。軽口をたたき合う。
デーモンの大槌をゲット。
要求筋力46は魔術師の長男キャラにはかなりのハードル。だがそんなことはどうでもいい。とにかく、
普通は倒せないヤツを倒した。
最高に最高な時間だったぜ!結構息子が誇らしい。今回は▲▲▲▲だ。
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コメント
元ゲーについてはプレイしてないので分かりませんが、楽しさが伝わってきました。息子さんすごいなぁ。自分ならとっとと先進んじゃいますね
もうクリアに値するような楽しさを味わってるような気がしましたw
投稿: nyaru | 2011年10月 6日 (木) 16時57分
初めまして、かな?(違ったらごめんなさい)こんにちはnyaruさん、クリスです。コメントどもです。
昔は結構こういうこともあったんですが、最近はめっきり部屋に引きこもってネトゲばっかしてますからねぇ>息子。なかなか残念な部分であったりもしますが、この日は自分でも「熱いのキタ!」って感じで、こういう娯楽は全てに優先されるよなぁって思いましたよ(^^。つかあれから全くプレイしてないんですが、続きやっても楽しいと思うんだけどなぁ。
投稿: クリス | 2011年10月14日 (金) 08時46分
ちすじあんとーさん、クリスですまいど。
Gショックは丈夫そうですね。でもお尻が痛くなりそう(^^。安心感という意味での憧れはあるんですが、自分はやっぱ軽さと、あと「二つ折り」に対する抵抗が(^^;。
世間を席巻しまくってる二つ折りですが、自分はあの「開けたときのカチャッ」という音がどうにも嫌いで、他の人が使っているのは最近は気にならなくなりましたが、自分では絶対鳴らしたくないって感じだったんですよね。気配を悟られる!みたいな(^^;。
だから最近のスマホがいいかって言うと、あのタッチスクリーンババーンってのも実はあんまし好きじゃないというか、ロックしなきゃ100%誤動作しますよね?毎回ロックして解除してってのも煩わしいし、なんつか自分の理想とみんなの理想が乖離していく感じというか、まぁプレステの頃のゲームにも感じましたけど。
車のスマートキーを、、、からのくだりは、申し訳ないですがチンプンカンプン(^^;。とりあえず自分の老化を感じる今日この頃です・・・。
投稿: クリス | 2011年10月14日 (金) 08時46分