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2011年12月 5日 (月)

PC8801の想い出

たまに、1年に一度くらいのたまに、懐かしく思い出すことがある。悩みらしい悩みのない高校時代。勉強は出来なかったけどゲームをしたり、プラモを作ったり、音楽を聴いたり、友達と遊んだり。

尾崎豊やレベッカ、渡辺美里が好きで、
※あと佐野元春とか、3年になったらブルーハーツとかボウイとか。
ゲームのバックに流しながらやってたから、ふと耳にするとそのときのことがスッと思い起こされたりする。

PC88は当時ファミコン全盛期にあって、「ファミコンとは違うのだよ、ファミコンとは!」と声を大にして主張していた国産パーソナルコンピュータ。
※ここで言う「国産」は日本で作られているという意味じゃなくてプロダクツが日本製って意味ね。

一言で言って「絵が細かく」、ファミコンではなかなか出来なかった漢字表示や、精細な一枚絵、色数そのものは少なくとも、細かいドットでそれを感じさせない中間色の表現(2色を交互に並べることでパッと見混濁した色に見せる)、ファミコンよりも大きな容量の上に直接メディアへの書き込みを行う事が出来る5インチディスク。
※720KBのディスク1枚で5メガビットくらい?

PCエンジンのCDロムの登場にも相応に衝撃はあったけど、PCのそれはまた別の意味でとても魅力的だった。

 だってキーボードだもの。

小学生時代すがやみつるの「こんにちはマイコン」からパソコンの「凄み」に触れていた者にとって、「キーボード」の存在感というのは、格別な物があった。たとえが間違ってるかも知れないけど、ファミリーベーシックのキーボードは「おもちゃのピアノ」で、88や6001のキーボードはプロ仕様のようにも見えた。

ファミコンに限らず、家庭用ハードに対して移植されたタイトルは少なくないが、そのどれもがまるで「アーケードからの移植」並に簡略化されていたり、子供向けのようなアレンジがされているものがほとんどで、そのことが逆に「パソコンの特別さ」「高尚さ」を際立たせたりもしていた。
※まぁ中にはウィザードリィみたいな例外もあるし、逆移植されたスーマリやグラディウスの出来に「ああ家庭用ハードは家庭用ハードの良さがあるのだなぁ」などと思わせたタイトルもあったりはしたのだけど。

今キーボードを使ってゲームをする、というと、多くの方が「やりづらそう」「操作性が悪そう」と思うに違いないが、たとえばゲーム&ウォッチのドンキーコングが出るまでは「十字キー」は存在せず、インベーダーやギャラクシアンの頃にはゲームセンターのレバーも左右にしか動かなかった時代があったわけで、ある側面だけで全てを決めつけるのは全くもって間違っている。実際、数字の8と2で画面内のコマンドを選択する動作は、十字キーの上下を複数回押すよりも早かったし、今やってるWiiゼルダでわざわざポインターを移動させてAを押すという動作より、遙かに快適で高速だったりもしたのだ。

慣れてくれば、「右に行って行き止まりだったから左へ移動」という動作も、十字キーよりも高速に出来る。そりゃそうだ。数字の4は人差し指、6は薬指が常に上に置かれているんだから。

また、細かなコマンドを入力する際にもキーボードの優位性はあった。今みたいにFやRに左シフトに定型化されたコマンドが割り振られているほどのことはなかったが、たとえばウィザードリィの呪文入力は、「決まり字」まで入れる事で確定させたりした。
※わかりづらいかも知れないけど、88版ウィザードリィは魔法の入力を直接アルファベットで入力出来た。「M」だけだと「MAHAMAN」も「MADI」も「MAHARITO」もあるけど、「MAK」なら「MAKANITO」が確定するし、「T」に至っては「TILTWAIT」が確定する。その操作感がとてもハイソで、ファミコンにはない面白さをしっかりと提供してくれていた。ちなみに、このコマンド入力は先行でも受け付けていたため、「入力が早ければ全く待たされずに進行した」点もとても大きい。入力文字数が多くても、マッハで終えさえすれば待たされないという仕様は、特にファミコンから乖離した操作感のキーボードに慣れていく上で、とても大きなモチベーターになり得た。

「押す押さない」のデジタルだからこそ、謎解きにファジィさを伴う物もほとんどなく、アクションよりもストラテジー向けのタイトルが多かったことも加わって、多くのゲームの難度は純粋に知識とひらめきに左右されていた。
※もちろん中にはそうじゃない物もあったけどね。

なので、攻略情報はとても価値があり、全盛期には本当にたくさんの雑誌が刊行されていた。今で言えば「スマホ用ゲーム」の専門誌が5つも6つも毎月発売されていたというとイメージが掴みやすいかも知れない。ネット全盛では考えられないレベルだった。

そんなPC88時代のパソコンゲームなのだが、思い出すのはやはり「オンリーワン」なタイトルたちだ。ファミコンにも移植されず、シリーズもリリースされない。単発で発売され、それっきり。

決して全てが全て売れなかったわけじゃないと思うが、当時のソフトハウスのクリエイターの気質がそうさせたのか、続編物はごく一部で、普通にミドル級の話題作であっても、全く毛色の違うタイトルばかりが名を連ねていたメーカーが多かった。特に僕が好きだったのは、スーファミでスーパーロボット大戦シリーズを作っていたウィンキーソフト。決してメジャーなメーカーとは言えなかったが、そのグラフィックはとても美麗で、よく言えば「雑誌映え」する物だった。でも、タイトルはアークスロード、ロストパワー、ルーインと全て全く違う世界観とシステムだったし、
※どれもRPGではあったけど。
メガドライブで一部からカルトに支持されたスタークルーザーを作ったアルシスソフトも、3Dシューティングを作ったかと思えばリアルタイムアドベンチャーを作ったりして、

 かなり面白いゲームに対してどん欲だった。

そう。僕が今あらためて88ゲーを振り返って思うことは、

 当時のクリエイターが作りたいモノに対して真摯で、かつどん欲だったことだ。

確かにスプライトもない、スムーズスクロール(1ドットずつスクロールする、当たり前すぎてそうじゃない画面が想像出来ないような仕様)も少ないようなパソコンで、一体何が出来るのかって思う。さっきも書いたけど、ファミコンより優れている面もあれば、劣っている面もそれなりにある機械なのだ。

たぶん今でもフリーソフトやシェアウェアのゲームに、その片鱗や面影を探すことはきっと出来る。でも当時と比べいろんなものが整って、いろんな比較対象と情報が氾濫した今では、やっぱり何か違う。

何年、何十年かして、今の現行ハードが全て過去の物になってしまったとしても、きっと僕が思い出すのは88やファミコンや、80年代~90年頃の2Dのアーケードゲームな気がする。

ただまぁぶっちゃけ今エミュでやってもそんなに面白くはなかったりするんだよな。画面の見え方も操作フィールも違うし、何より僕自身が変わってしまってたりするしな。

ちなみに良く脳裏に浮かんでくる88タイトルは、(当時それほど傾注した覚えは薄いのだけど)エニックス「ガンダーラ」、システムサコム「メルヘンヴェール」、メーカー失念「リグラス」、デービーソフト「うっでぃぽこ」など、雑誌に載った時点で「スゲェ面白そう!」と期待させつつ実際はやや微妙だった物が多い。なんか未来と個性と現実の混ざり合った「魅力的なカオス」が88ゲーの神髄だったのかも知れないな~。

次回はストIIを取り上げます<ホントかよ!?

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コメント

こんばんは、32CX400の時はありがとうございました。

久々に拝見したら、懐かしいPC88の記事があり書き込ませていただきました。
ほぼ同世代ですし…(^ ^;

当時から天邪鬼な僕はNECではなく富士通を選びました。
パソコンの使い道なんて、ほぼゲームしかなかったうえにPC88のゲームの方が魅力的だったのに…天邪鬼なだけでなく反体制で負けず嫌いだったので…(爆
そんなこんなでFM-7ってヤツで遊んでいたことを思い出しました。
とかいいつつ、8801Mark2が出たときは、FM77を買わずにそっちへ進んだ記憶が…

ゲームの操作性…あまりゲームってしないんですが…CODはPS3よりPCでキーボード&マウスの方がやりやすかったりします(爆

投稿: muu | 2011年12月 8日 (木) 21時03分

ちすmuuさん、クリスですども。CX400の録画機能は、時間がズレたとき全く対応してくれないのがツライですよね。録画リスト見ると、「え?こんなの録画したっけ?」みたいな番組があったり。まぁコスト重視ですから大きな事は言えないんですけど。

FM7ユーザーは近くにいませんでしたねぇ。X1が1、2人いて、あとは98が1人。88mkIISRユーザーも1人しかいませんでしたが、
※遊びに行った時「スゲェ」うらやましかった(^^。まだ誰も88持ってなかった頃だったし。
FRとMR、FHで爆発的に増えましたね。「高校入ったらパソコン買ってあげる」は常套句で、今で言う「スマホ買ってあげる」に相当するんですかね。

77AVはいつもパソコン雑誌の裏表紙を飾ってた印象がありますが、これまた持ってる人はいませんでした。TOWNSもしかり。っていうか68すら持ってる人はいませんでしたね。もう88人口が圧倒的に多い感じで。懐かしいです。ファミコンとかの家庭用ゲーム機じゃないハードをみんなが持ってる感じは、今とやっぱちょっと異質だと思いますし。

CODに限らず、マウスキーボの方がやりやすいゲーム、もしくは「でしか出来ない」ゲームはたくさんありますが、長時間プレイすると肩が異常に痛くなるんですよね。腱鞘炎とは無縁の自分なんですが、マウスオペのゲームだけは限界が来るというか、痛みが蓄積するというか。

自分ゲーム用のPCがトラブル中で、どうやら電源が悪いらしいというところまでわかったのですが、今日思い切って650Wの電源をポチりました。メモリ増設やグラボ交換程度はしたことがありましたが、電源すげ替えは初めてなので、正直かなりビビってますが、これでPC用FPSがまともに動いてくれるなら、って感じです。自分はCODよりバトルフィールドの方が好きなんですけどね~<と言っても超初心者で対人戦も一切やらないヘタレなんですけどね。

投稿: クリス | 2011年12月 8日 (木) 22時19分

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