花のズボラ飯とブラックジャック創作秘話
「ちはやふる」があまりにも面白かったので、その続きを(間数話開いてもいいから)読みたいと思い、「BE LOVE」を探しに最寄りの本屋へ。
本は程なく見つかり、即座に目次を探すも「ちはや」のちの字もない。が、代わりに「生徒諸君」があったのでおもむろに立ち読み。まぁ悪くない。一作目と比べてナッキーのアゴが妙にしゃくれてるのが気にはなるが、続きが読めるなら読んでもいいかな、という感じ。
まぁ「ちはや」はたまたま休載だったらしいが。
「BE LOVE」は月二回刊で次は2月15日。その号から、このふたつのマンガ目当てで買っていこうかなぁどうしようかなぁという感じ。
で、思った。
「このマンガが凄い」はあながちバカに出来ないな、と。
世の中には僕が知らない、見たことも聞いたこともない物やコトがそれこそ星の数ほどある。ゲームに関しては、ある程度自分が楽しめる「型」があるから、特に既存のレールに乗った上での佳作は、そうそう取りこぼすこともないだろうとは思うが、マンガや音楽、映画に関しては、
まだまだ全然。宝の山だろうと思う。
でも、今日それほどマンガを読みまくってるという友人はいない。勧められてもなかなかテンションが上がるほど楽しめるケースも少ない。
でも大多数の支持を得た作品ならどうか。
案外楽しめちゃったりするんではなかろうか。
そんなわけで、コミックス売り場を覗いてみると、、、
2012年のオンナ部門第一位「花のズボラ飯」
2012年のオトコ部門第一位「ブラックジャック創作秘話」
が置いてあった。
ちなみに、前日の電話で「3位のましろのおと」が面白いと友人Tからの情報も得ていたので、そちらも併せてチェックしつつ購入。
で、感想はというと、、、
●花のズボラ飯
一位の2作はどちらも続刊がない1冊こっきりで、その分購入に関するハードルが低かったが、特にこちらは、その絵柄が柔らかく、
※少女マンガにありがちな「繊細すぎて線がブレている」感じではない。
どちらかと言えば「髙橋留美子系」。
※もっというとそのアシスタントだった「ふくやまけいこ」かと思うような絵
男性でも気軽に試して見ようと思える絵柄に好感をもちつつページをめくると、
ズボラを絵に描いたような(まんまやん)ゴミだらけの部屋の描写(それもかなり詳細)。
「うむ、悪くない」
簡単に言えば、このマンガは、旦那が単身赴任しているひとり暮らしの奥さんが、ダラダラとゴハンを作り、食べるだけのマンガだ。レシピもある程度は載っているが、美味しんぼみたいな高級志向でもなければ、「スーパー食いしん坊」ほどアイデア満載ということもない。「ミスター味っ子」みたいな煽りもないし、「鉄鍋のジャン」みたいなギスギスした感じも全くない。「焼きたてジャぱん」みたいなラブコメ要素もなく、
※だんなさんは一切出てこない。
あるのは、
美味しそうに主人公「花」がご飯を食べる場面。
美味しい食べ物を食べるために真剣になりつつも、天性のズボラさでバランスを取る。読んでいてとっても「ゆる~い」感じになる。
癒し系グルメマンガ(新ジャンル)。
1話のページ数はわずか8ページほどで、続きの話も(たぶん)なく、かなりあっさりしてるのは、その「料理という題材の料理の仕方」にも通じるが、
まぁかわいい奥さん
※決して美人ではない。
が美味しそうに食べている場面を見るのは悪くないという話。
僕が「AKBで好きなのは食べてるシーン」というように、「かわいい子が食べてるシーン」というのはかように需要があるのだ。
ま、途中で飽きちゃったけどね(^^;。
評価は★★。誰かに勧められなきゃまず読まないし知らない。で、読んでみると損したとは思わないし、スゲェよかったとも思わない。でもこのくらいのゆるい着地が出来るマンガは案外少ないかなぁとも思うし、時代には合ってるかな、とも思ったな。
●ブラックジャック制作秘話
こちらは打って変わって「いかにもチャンピオン系(秋田書店系)」の、「綺麗とは言いづらい作画」。
※ちなみに「花のズボラ飯」も秋田書店だけど。
マンガ制作の裏話や思い出話を綴る、ドキュメンタリーテイストのマンガで、ところどころに出てくる登場人物はみな実在の人。寺沢武一先生や、小谷慧一など、一線で活躍した方のエピソードや、24時間テレビのアニメ「バンダーブック」の裏話など、当時を知ってる人ならば、
高確率で興味をそそられるネタ。
僕自身それほど手塚治虫という神様に思い入れはないが、
※ブラックジャックと火の鳥と他数作しか持ってないし。
氏を慕い、敬っていた周囲の人達の熱量には、興味も共感も出来る。
マンガならなんでも、アニメならどれでもと言った具合に摂取していた小学生時代、やはり手塚マンガの良さや偉大さは理解していたし、凡百の同時代作品からは、比較にならない完成度と支持を集めていたのも知っている。「まんが道」を読んだ人なら誰しもが、「手塚治虫=神様」だと認識したとも思う。
だから、むしろ注目はその「脇役たち」なんじゃないかと思うのだ。
手塚先生は確かに神様だが、周囲の人間はみんな「人間」。でも神様に触れ、時に熱く、時に著しい疲弊をし、次々に思い出を神格化していく。
そこにこのマンガの面白さがあるような気がする。
正直手塚治虫は、「それほど偉大ではなかった」と僕は思う。視野の狭い知識のない愚かな41歳が感じるのは、「少しでも面白いと言われたい」というアイデンティティが、異常に高く、その為には、全ての労をいとわなかった人。そして、お金に関してルーズだった人。宮崎駿監督が「他人より描くのが早いから絵も上手くなった」ことや、ダイソーの社長が「売り切れるのが怖いから在庫を積む」ことと似たような感じで、
万能ではなかったと思う。
それでもその一点の面白さを追求する姿勢こそが大切で、かつ比類ないレベルの強力さを持っていたからこそ、時代を築き、神様と呼ばれるようになった。
なんだかよくわからない話になってきちゃったけど、「まんが道」と併せて読むような、そんなマンガだったと思います。つかまだ最後まで読んでないけど。
クリス評価★★☆かな~。もう少し絵が上手ければ、、、。って感じ。
●ましろのおと
月刊少年マガジンで連載してる「少女漫画家の少年漫画進出作品」。津軽三味線を題材にした高校の学園物で、「少女漫画家」「高校学園物」「あまり取り上げられてない題材」「大会優勝を目指す」「5人組」など、
「ちはやふる」と共通点がめちゃめちゃある。
だからどうしても比べてしまうのだけど、
端的に言えば、
ましろは、少年マンガ誌に載ってる少女マンガ
ちはやは、少女マンガ誌に載ってる少年マンガ
主人公「雪(せつ)」が男前で、最初から三味線のスキルが異常に高い上に女の子にやさしいフェミニストで、ほとんど感情を顕わにしない「カッコ悪いところを見せない」キャラなのに対し、千早(ちはや)は、最初素人なんだけど、「聞き取り」のスキルと、持ち前の情熱でガンガン周りも巻き込んでカルタにのめり込み、勝ったり負けたりしながら成長していく展開。
文字にしただけでも「少女マンガっぽく」「少年マンガっぽい」。
雪は鼻水を垂らさないが、千早は鼻水を垂らす。
序盤で僕の嫌いな「嫌なヤツ」が出てきて凄くテンションが下がったが、それ以降嫌なヤツは出なくなり、代わりに「いい感じの変態」が出てくるようになって読みやすくなったけど、全体的にはまだ「かっこつけてる感」が抜けきれず、惜しいというのが正直なところ。
あと、「三味線」という題材が、「音があってこそなのでは?」という感覚もついて回り、
※のだめの影響かも。
今ひとつ盛り上がるシーンで「シンクロ出来ない」。百人一首が自分も経験して共感できるのと比べ、
※常日頃から三味線の音色に親しんでいたらまた違うんだろうけど。
その点でもビハインドがある。
ただもし実写ドラマ化されることがあるなら、
スゲェ化ける可能性もある。
というかむしろそちらで「魅せて」欲しいと思うような作品だったかな。
クリス評価は★★。
※嫌なヤツが出てきたのでちょっと厳しめ。
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でもたまにはこうしてマンガを読むのも悪くない。っていうか、休日引きこもり症候群の自分は、ちはやの古本を探しに回ることが出来なくて歯がゆし。「ヒカルの碁」を初めて読んだ時みたいな興奮があったからな~。マジで。
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