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2012年4月17日 (火)

宇宙兄弟

9巻まで読み終えたところ。

 「面白れーー!」

つかここに来ていろんなことが結実していく感じ。序盤上手いとは言えない絵面と、ネガティブで僕の嫌いなタイプの主人公。小さな笑いにどこか逃げのような印象を抱きつつ、一進一退を繰り返す宇宙飛行士への道。

徐々に話はふくらんでいき、それと共に不安定だった筆致も安定感を増し、精緻さ、迫力も加わっていく。エキスパートたちだけがそこにいることを許される環境に、マンガ的なウソは必要ない。リアルとリアリティで魅せれば、十分読者を惹きつけることは出来る。

 宇宙に行くってのはマッチプレイのゴルフで、ヒールがボールを隠すようなエピソードを必要としない。

それでも十分過ぎるドラマや、トラブルが起こりうる。起こり得てしまう。アポロだってハヤブサだって、、、。僕が知らないだけで、数多くの「エリートの中のエリートしかなれない」宇宙飛行士が何人も死んでしまっているんだ。その中には宇宙を知らずに死んじゃった人だっていると思うし、孤独の中で息絶えた人だって、熱さ燃え、寒さに凍えて死んじゃった人だっていると思う。

 そういうドラマをマンガにするなら、ディティールは凄く重要だと思う。

 それがようやくこの1、2冊でにじみ出てきた。

上から目線だけど、序盤に感じた物足りなさはもはや微塵もない。1ページが重く、つい読んでは読み返しを繰り返してしまう。

 面白い。

ちなみに僕が「!」って思ったのは、8巻127ページ2コマ目。複座型の戦闘機のカット。些細なことかと思われるかも知れないけど、

 見とれた。

しばらく見入ってしまった。でもって、

 宇宙関係ってそう言う物だと思った。

各務原の博物館でも、浜松の自衛隊のでも、ディティールに命が宿ってる物ってのは、それが偽物だろうと本物だろうと、説得力が違う。「雄弁に語る」とは僕が使っていい言葉じゃないかも知れないけど、たった一枚のカットに、

 胸が躍る。

ムッタの顔付きもどんどんよくなっていった。もちろんその裏には、どんどん弟に近づいてる充実感や達成感があってのことだとは思うが、それを差し引いても、魅力が増していったと思う。作者が彼に「馴染んできた」感じで、読んでる僕も、同じように親しみを覚えていった。

こないだトムニャットさんへのレスに、「大人向け」って書いたし、今でもその思いは変わってないんだけど、中一の娘が僕以上にのめり込んで読んでいたのを見て思った。

 宇宙兄弟は、宇宙の魅力を描いている。

僕の娘は宇宙が好きなのだ。

★★★☆。
※前半のへたれ部分がなければ8点行ってた。

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コメント

こんばんは、クリスさん。
お勧めしたかいがありました。先のコメントで一巻だけ読んでみるとおっしゃっていたので、まだそこだとムッタが奮起してないからなぁ、とちょっと不安もあったのですが読み進めていただいたようで。

お嬢さんにウケたのがやっぱり一番うれしいですね。
若い世代にこそ読んでほしい、というといかにもオッサンの感想ですが素直にそう思いますね。

最新巻の17巻まではお読みになったでしょうか。私はこの17巻を初めて読んだとき・・・不覚にも涙が!!まぁマンガ読んで泣くのは恥ずかしいこととは思いませんが、電車の中だと話は別(笑)。花粉症のふりをしてごまかしました。
今の自分自身をとりまく環境にかぶった話で、まぁとにかくこのマンガに出会えてよかったなぁと、またしみじみとさせていただきました。

4月からアニメ化がはじまり、一応見ていますが、原作そのまんま過ぎてまぁ無難なつくりです。つーか、お金かけていない感じ(汗)。早朝では視聴率もびみょーでしょうからこれ以上の力は入れられないだろうなぁ。アニメ化の場合、スタッフの愛が感じられれば合格だと思うのですが、今はよくもわるくも普通です。

宇宙といえば、今度金環日食が5月にありますね。これは絶対見てみたい。はやく日食グラス買いませんと。

投稿: トムニャット | 2012年4月22日 (日) 21時16分

ちすトムニャットさん、クリスです。漫画はとうの昔に17巻まで読み終え、先が気になりつつアニメをちょこっとかじったり、5月5日に映画館に足を運ぼうか思案中というところ。

宇宙ってのは近くて遠い存在で、実はコレって漫画やゲームのネタとしても、かなり少ないんですよね。SFのSにスペースのニュアンスを感じつつも実際は全然「ロケット打ち上げ」とかとは無関係なところで話が進んじゃうわけで、こうした物語の面白さが、

 SFではなく、ヒューマンドラマにある

というのは、あらためて考えてみるまでもなく真実だと思うわけです。まぁだからこそアポロ13はトム・クルーズではなくトム・ハンクスなんでしょうけど。

確かに僕はヒューマンドラマ系は苦手な部門なんですが、一方で、

 嫌なヤツがほとんど出ない

点が宇宙物のいいところでもありますよね。そんなのがいたらいろいろなことが「台無しになりすぎる」だから、出て来るメンバーは必然的に理性的で知的でタフな連中が多くなるし、逆に言えばヒールがいない分物語を盛り上げにくくもなる。

 そこでディティールの深さがモノを言うんですよね。

いかにそれっぽくするか。しっかりとした世界観とディティールこそが、悪役のない成功物語を面白くさせる。

もちろんドラマ=フィクションですから、トラブルや色づけは必要なんですけど、それ以上に「二手三手と重ねられたリアリティのあるシチュエーション」が最高だと思うわけです。チームで目的地を目指すシーケンスありましたよね?あれとか、ホント素晴らしかったです。残り物には福がある、とばかりの教官と、その教官の横のつながり、車を作ってたという伏線に、一緒に宇宙飛行士を目指したおっちゃんの登場と、矢継ぎ早な見所のリンク。

 気持ちいい。そして面白い。

逆にそのテンポの良さをしっかりと維持しつつ、今後も紡いでいって欲しいなぁと思ってしまいます。物語ってのは油断するとすぐ動脈硬化を起こしてしまいますからね。何と例を挙げるわけではありませんが。なんかレスになってないですね(^^;。ただ宇宙兄弟への愛を語っただけ、みたいな。

投稿: クリス | 2012年4月30日 (月) 21時15分

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