カウボーイ&エイリアン
※ややネタバレアリ。
手放しで面白かったとは言えないけど、面白かった。
ダニエル・クレイグは精悍な印象が強く、マジメキャラが似合う。だから007の時にはどうしても(僕の中の)イメ-ジにそぐわないところがあったのだけど、いやいやどうして、
カウボーイ、超似合う。
「クール」とは本来「かっこいい」という意味で使われる形容詞だと思うが、彼はまさにクール。冷静でかっこいい。画面を見ながら何度も見とれてしまったし、実際に声に出して、
「か、かっこいーーー!」
と言ってしまったほど。
ただまぁこれはあくまで僕の感想であり、例えばヒュー・ジャックマンやジェイソン・ステイサムのかっこよさが女性にも訴求しうるセックスアピールであるとするなら、もしかしたらちょっと違うかも、とは思った。彼のかっこよさは、
ヒーロー像としてのかっこよさ。
どちらかと言うと(あくまでどちらかと言うと)スティーブン・セガールに近い、圧倒的な感じで、弱さやいい意味での緩さ、ジョークやウィットがない、実直なかっこよさ。きっと監督も彼のそのかっこよさを活かすのに「西部劇」という舞台がとても似合うと思ったからこその起用だったんじゃないかと思った。
そのくらい役にマッチしている。
そしてもう一人の大物「ハリソン・フォード」。ほとんど白髪で、年齢的にもおじいさんの域まで達してる彼だが、
いやいやどうして、やっぱりかっこいい。
ただこちらのかっこよさは、どちらかというと本人をリスペクトする監督のマスターベーションな気もしないでもない。ダニエルのそれが画面から溢れんばかりだとするなら、ハリソンのかっこよさは「演出されたもの」。そのままでも十分かっこよかったのかも知れないが、セリフや行動一つ一つに、どこか「盛ってる」感じがした。
っていうか、この映画はとにかくかっこいい男を見る映画。
エイリアンとの戦いや、西部劇らしい馬を使ったシーン、ヒロインや子供、医者に牧師と言ったわかりやすいメンツに、ゴロツキをまぶして、それっぽいBGMに乗せた感じ。
(俳優以外の部分にも)お金も掛かってるし、テンポも良かったが、
中盤からダレる。
序盤のワクワクした感じが徐々に失速していき、アパッチの「間に翻訳を挟まなければ通じないコミュニケーション」がそれをさらに鈍らせる。味方の人数も多いのか少ないのかよくわからなくなっていくし、そもそもなんで子供や女と戦いに行くのかがわからない。主人公の目的も途中一気にモチベーターを失うのに、そのまま惰性のごとく行動を維持する。
せっかくのかっこよさが台無しになっていく後半・・・。
ところどころで本当にかっこいい男を見せて貰えるし、絵的な面白さ
※西部劇とSFというあまり例のない組み合わせ→バックトゥザフューチャー3くらいしか思い出せない。
もあって、その面ではかなり満足度は高い一方で、どうしても話やディティールに散見される「アラ」が目立ってしまう。
大量にいたはずの敵兵がいきなりいなくなったり、相手の武器を使おうとしなかったり、拳銃で何発撃っても死なないようなヤツが棍棒一殴りで倒れたり、、、。
ごまかすなとは言わない。でももっと上手くごまかしてくれよ、と言いたい。
いきなり驚かしてくる「こけおどし」も何カ所かあるし、伏線っぽいネタも回収しきることなく終わる。二人のイカした俳優におんぶにだっこな感じが拭えず、見終わったあとどこか不完全燃焼な感じが残る。
「終わりよければ全てよし」という言葉があるが、まさにこの映画はそれを逆で行ってしまった感じ。後味最悪というほどではないが、前半の期待感が失速したまま終わってしまったのは事実。評価は★★★と低くないけど、もう一回見るとしても、
(映画では極めて珍しく)前半だけ
かも知れないな。「ダニエル・クレイグのファン」で、この映画を見ていない人などいないとは思うが、もしいたとしたら、その人には諸手を上げてお勧め出来る。拳銃をホルスターに入れる動作ひとつとってもウットリの出来映えだ。
そうそう、ブログに書こうと思っていてスッカリ忘れてたことがひとつあった。序盤で出てくる牧師の声(吹き替え声優)が、あまりにもかっこよくて、かつ絶対聞いたことがあるって思いながらずっと考えてたんだけど、途中で「ハッ」と思い出したんだよね。
グレンラガン最終話ラストシーンのシモンの声か!
かっこよすぎ。この人の声がもっと聞きたい。
・・調べてみたら「菅生隆之」さんという方で、意外というかアニメの声優は2000年前後からのスタートで、さほど知ってる役柄がない。でも映画の吹き替えは、トミーリージョーンズ、エドハリス、ハリソンフォード(本作では違うけど)、バートレイノルズ、リーアムニーソンと、なかなかの男前振り。つかこんな声で上から言われたら、どんな言葉でも説得力を持っちゃうよなぁって思った。
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