ミッションインポッシブルゴーストプロトコル
さすがブラッド・バード!
面白い。というか、癒された。
これまでのMIシリーズは、というか前作は特にシリアスで、見ていて重苦しすぎるきらいがあったが、今作はMr.インクレディブル&レミーのおいしいレストラン&アイアンジャイアントのブラッドバード。ネズミというばい菌のカタマリに明るく料理させてしまうだけのことはある。
シリアスさは皆無と言っていい。
それこそインクレディブルの浮気うんぬんみたいなシーケンスすらない。多少の復讐エッセンスはあるが、意図的に罵声の掛け合いをかぶせてオブラートに包んでいるし、ラストの綺麗さは、ブラッド・バード節が見事に炸裂したさわやかなもの。
要所要所で秘密道具が出て来るも、どこか調子が悪かったり、「そこまですることだったの?」とか「それってご都合主義だよね?」みたいな、良い意味での子供受けする演出で、僕みたいな人間にはホント大満足。たとえて言うなら、ロジャー・ムーアの007シリーズにも通じる軽さがあった。
テンポもよく、ところどころで「ここで止まれ!」と思う瞬間に画面が切り替わる心地よさ。再三書いてることだけど、「あと0.5秒短ければいいのに」みたいな冗長さは、本作にはない。ロケーションの展開も絵的な演出もメリハリがあり、ドキドキするところやワクワクするところ、ニヤニヤするところが盛りだくさん。2Dなのに高所を感じさせる絵作りは、本当に凄いと思った。こないだ名古屋の展望台から写真撮ったから余計そう思うんだけど、「普通に撮ったら高さの怖さは感じない」んだよね。
主要メンバーが死なないのもいいし、裏切りがないのもいい。悪役の「核戦争を起こす」という悪巧みも、ある意味「ショッカーの世界征服」に通じるくらい、良い意味の安っぽさがあって、あくまで主役を「インポッシブルなミッション」に据えているのも良かった。無駄に人種問題とかテロ組織とかを掘り下げすぎない方が、気楽に楽しめるってことをバード監督はわかってらっしゃる。
音楽も、いつものメインテーマだけでなく、緊張感を煽る場面での低音メロディから、お約束のチェイスシーンを引き立てる派手な物まで、手堅すぎるくらい手堅い出来。王道アクションはこれでいいのだ、と言いたくなる。
全編通しで僕的な満足度はかなり高かったが、人によっては僕が良いと思った点に、物足りなさや安っぽさ(悪い意味の)を感じてしまう人もいたかも知れない。そう言う意味では、クリストファー・ノーラン監督(バットマンビギンズ、インセプション、プレステージ、ダークナイトの監督)の作品が好きな人とかには、イマイチ受けが悪いかもと思うけど、
そんな作品ばっかりでもな。
って心から思う。
こうして気楽に楽しく笑いながらドキドキ出来るお金をたくさん使ったアメリカ映画も、忘れ去られずにずっと作られ続けて行けばいいなって思ったな。
クリス評価★★★★。
※映画館で3Dで見てたら+☆あったかも。つか3Dで見たかったのは高所のシーンだけだけど。
しかしシリーズが全部違う監督というのも珍しいよね。トムの発言権が強くて、彼のその時々のやりたいことにマッチした監督がブッキングされてるんだろうな、とは思うけど、なんかちょっとFFみたい。全然年齢を感じさせない演技とメイクは凄いなぁと思うけど、ただ一点、一作目の列車での爆発→ジャンプシーンはなかなか越えられないな、とも思う。今作は凄く面白かったし、MIシリーズ以外の作品もひっくるめてお気に入りの映画になったけど、どこか初代は越えられなかった印象が残るし、最初のプロローグの派手さ不足や、最後の最後のシーンの締め方に、ほんのちょっと物足りなさも感じた。
バード監督はやっぱり僕好みの作品を作ってくれたけど、4作(アイアンジャイアント~ゴーストプロトコル)の中では、素直に一番とは言えないかなぁとも思うんだよな。見ている最中の面白さのアベレージはインクレディブル並に高いんだけど、ラストの上手さでアイアンジャイアントとレミーに軍配が上がるというか。
でも子供と一緒に見るには(特に男の子と)とてもオススメの映画だと思いますよ(^^。名前忘れちゃったけど、分析官役のエージェントやってた人なんて、ホント最高。トムを食うほどじゃないけど、またぜひ二人のコンビが見てみたいって思ったもんな。
つかもう一回見てみようかな。
PS.
調べてみたら分析官ブラント役は、ジェレミー・レナーという俳優さんで、ハートロッカーの主役だった人みたい。他に際立った配役はなかったけど、ユアン・マクレガーと同い年で、似た空気をまとってる分、顔の太さがマイナスになってしまったのかなって感じ。丸顔の俳優はなかなか受けが良くないもんね。でもコレを見て良かったので、ハートロッカーも今度見てみようって気にはなったかな。
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