「セルラー」久々に見た
最初に見たのは何年前のことだったか(トムニャットさんにオススメされたんだよね)。読者様の中にはこの作品のことを知らない人も多いと思う2004年の作品。2004年と言えば丁度このブログを書き始める1年前だから、ここで詳しく取り上げたこともない気がする。
ハードへの依存度が高いゲームと比べ、映画や音楽はその「劣化」があまり目立つことはない。が、やはり時代背景やカメラの性能、流行のテンポやアングルなど、古ければ古いなりの「違和感」のようなものがどうしても出てくる。あれほど面白いバックトゥザフューチャーでさえ、今見るとその絵作りや個々のパーツに時代を感じさせる。
セルラーはそんな「少し前」を感じさせる作品。主演のキム・ベイシンガーこそナインハーフや007ボンドガールで名を馳せた俳優だったが、実質主役となるクリス・エヴァンスも、ジェイソン・ステイサムも、脇でちょっとだけ出てくるジェシカ・ビールも、当時はまだそれほどメジャーというわけじゃなかった。
でもやっぱりというか、ブレイクする俳優は違う。
今見ても、、、いや、今見るとなおさら、この作品が良く出来ていたことを痛感させられた。
「良く出来ている映画」
「良く出来ている映画」とはどんな映画を指すのか。それは人それぞれの価値観に依存する面も多いが、こと僕に関しては、ごくごく一般的な視点としてジャッジするポイントがいくつかある。
・テンポがいい
間延びするシーンがなく、展開によどみがない。
・嫌な奴がいない
=バカな奴でもいいが、とにかく「そこでそんなことする!?」とか「オマエはすぐに死ね!」と言いたくなる奴がいない。悪役はむしろいくらでもいて構わないが、「勘に障る奴」はいらない。
・既視感を覚えるシーンが少ない
要するにカーチェイスにしても格闘シーンにしても、どこかで見たような演出や見飽きたような動きは、見てる方を萎えさせる。全てが全て「新鮮み」の塊で構成するのは無理だと思うが、やはり既視感はないにこしたことはない。まぁパロディとかはもちろん別ね。
・伏線の張り方拾い方がいい
伏線は張ればイイという物でもないが、後半それをどんどん拾ってくれる展開というのは、見ていて安心するし素直に面白い。アヴェンジャーズとかエクスペンダブルはここの扱いが雑だったと思う。
・ハッピーエンド
ハッピーエンドそのものは少なく無いが、オチが綺麗というのは実はそれほど多くない気もする。大好きなデイアフタートゥモローでも、「地球が晴れてる」ってのはなんかどこか弱かった気がするし、ダイハード4も、あそこまで派手で高速な展開をしてくれたにも関わらず、ラストが尻つぼみだった気がする。オチはオチとして丁寧に越したことはない。
・手に汗握る
これは面白い映画ならある意味当然ではあるのだが、その持続力、頻度、濃度というのは、作品ごとにバラツキがある。
・導入にもたつきがない
実は非常に難しい。わずかな尺の中で状況説明やキャラ立てを一気に進めるのは、その設定や狙いのいかんに関わらずなかなか出来てる映画はないと思う。下手したら30分掛けて、、みたいなのはダレるにもほどがある。そう言う意味では007やミッションインポッシブルの導入って楽しくて良い。
・ヒーローとヒロインに見せ場がある
やはりかっこよくて綺麗(もしくはかわいい)でなければな。出来たらいい感じの濡れ場があるとなお良い。
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こんなポイントを振り返りつつセルラーを鑑みると、
まさに「ヒロインが綺麗」以外の全てのチェックポイントを高レベルでクリアしていると言える。
携帯電話を利用したサスペンス。
説明するならこれだけで全て事足りてしまうほどのシンプルなプロット。なのにそこに重ねられたカードの豊富なことと言ったら無い。およそ考えられるシチュエーション、、どころか僕が思いも寄らなかった札をどんどん出してくる心地よさ。判断も決断も早い上に冷静かつ正確で、これ以上この状況で何が出来る!?という「バカじゃないクレバーなジャッジ」がタマラナイ。
伏線も非常に多く、1から10まで完全にフォローしてると思うし、たかが携帯があるだけなのに、全てのシーンの密度が一段上に上がる感じがする。
おしむらくはヒロインを絡めた色っぽいシーンがないことだが、その点はジェシカ・ビールが出てきてるから勘弁してってことなのかも。もっと絡んで欲しかった!
脇で出てくる弁護士役のリック・ホフマンも、デイアフタートゥモローで全く似たような役でちょっとニヤリとさせらたり、ジェイソン・ステイサムの悪役ぶりもむしろ「しっくり来る」レベル。
※年代的には同年でセルラーの方が後発だから、既出ではあったのだけど。
クリス・エヴァンスも(当時はあまり気にしてなかったけど)しっかりイケメン&マッチョで、
「キャプテン!(アメリカ)かっけーー!」
ってなったり。
とにかくハイテンポで居心地のいいサスペンスが見たいという人には、諸手を上げてオススメ出来る傑作でした。当時トムニャットさんに勧められて見たときは、さほどピンとこなかったんだけど、今見るとその良さが逆に際立つ感じです(^^;。クリス評価★★★★☆!なによりオチを完全に忘れてたのはラッキーだったな(^^;。
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