遊星からの物体Xファーストコンタクト&無印
以前借りたピラニア2に入っていたCMを見て以来、絶対借りようと思っていた1本。ええ当然のように発売日は忘れてましたけど。
「遊星からの物体X」を語る上での僕の知識は非常に乏しく、伊集院のラジオでたびたび「遊星よりの物体X」と言われるたびに、「からの」じゃなかったっけ?「よりの」だったっけ?っていうかそれっていつの映画だっけ?僕が生まれる前の映画だったような気もするけど、そうじゃない気もするし、、、。
そんな知識。僕が生まれる前の作品だったとしたら、その映像はたぶんモノクロで、登場する「物体X」の造形も、正直安っぽいものだったと思う。子供の頃テレビの再放送とかで見た可能性も少なからずある。
が、一方で、もしそれがスターウォーズから始まるSFブームの中でリリースされたものだったとしたら、エイリアンやプレデターの中に埋もれてしまった一作品という印象になる。どっちだっけなぁと思いつつウィキペを見たら、、
ある意味どっちも正解だった。
「よりの」は1951年の作品で、たぶんモノクロ。「からの」は1982年の作品で、「よりの」のリメイクではなく、同原作からの別作品、という感じだった。
ちなみに、1982年の映画には、「ET」「ブレードランナー」「トロン」があり、僕の中で「埋もれてしまった」のもうなずけるところ。
内容的には、その昔(10万年前ほど)南極に来た宇宙人が、どこぞのチームにより発掘され、解凍され、復活して、人間を襲う。その際その生物の組成を完全にコピーするので、「見た目ではソレ(原題:The THING)が人間であるかエイリアンであるかがわからない」、仲間同士の疑心暗鬼を絡めた人間ドラマもありのSFホラーという感じ。1951年の作品がどうであったのかは覚えていないし、もしかしたら見てないかも知れないが、82年と2011年の作品はどちらもそんな感じ。
見始めてすぐ感じるのは、本作の「エイリアンっぽさ」だ。見た目こそ最初は人間だけど、いつ襲われるかわからない、どこにいるのかもわからないと言う点では、まさにエイリアン的。クリーチャーの造形も、ギーガーほどアーティスティックでないにしても、十分グロテスクで、寄生獣とかゼイラムに通じる、ある意味わかりやすいもの。
※口だけ変容するブレイドとかとは違う。
南極の基地という立地ではあるが、前日譚ということもあって、「嵐で身動き取れなくなる状況(1982年作品)の直前」、どうやってソレと遭遇したのかというエピソードも折り込まれている。まぁそうは言ってもほぼ唯一生き残った女性は82年の作品には出てこなかったと思うし、見ていてそんな「前振り的なエピソード」なんかより、とにかく「閉鎖空間で追い詰められて一人ずつ死んでいくB級ホラー」が作りたかったとしか思えないシーンが繰り広げられまくる。
クリーチャーや絵作りのクオリティは低くないし、主演のメアリー・エリザベスなんとかちゃんも悪くないけど、、、
※ちなみにこの子はどっかで見たことあると思って調べたら、ダイハード4.0で娘の役だった子だった。28歳なのが惜しいけど、もっといろんな役もこなせそう。シガニー・ウィーバーと比べても遜色なかったと僕は思う。
展開は非常にチープ。
「大きな音が鳴るな」と思う場面では、普通に鳴る。「コイツだな」と思うヤツは大抵ソレ。シャーレに取った細胞は調べる止まりでそっから大変なことが起きたりはしないし、火で簡単に焼き殺せる、火炎放射器が大量にある、なぜか手榴弾もあるなどのご都合主義もどこか安っぽい。ご都合主義そのものが悪いわけじゃないんだけど、なんか「安っぽいご都合主義」が鼻につく。
エイリアンなのに血まみれの浴室を綺麗に掃除して痕跡を消してるとかもなんだかなぁって思ったし、金属は複製出来ないって設定の前に、
捕食した時点で服とか血だらけになるはずだろっ!
突っ込もうと思ったらいくらでも突っ込める。そういう映画は少なくないし、もっと言うとそれでも僕はこういう映画が嫌いじゃないんだけど、
もう少しはがんばって欲しかった
って感じはした。
お約束の積み重ねは悪くないし、導入の展開もテンポが良くてむしろ高評価。でも、あのエイリアンがあれほどの宇宙船を操作するには、正直「不向き」だと思えたり、「手だけ」になって動ける&食べようとする意味が欲しかった。つか、
前作がもしこういう映画だったとしたら、僕がそれほど記憶にとどめてないのも至極納得出来る感じだった。
「エイリアン」は僕の中で満点のSFホラーだが、それと比べるとこちらはどうしても評価を下げざるを得ない。大好きなジャンルではあるけど、★★☆が精一杯かなぁ。こういう映画が好きな人なら、見る価値はあると思いますけどね。
・・・
ほんとは別にアップするつもりだったのだけど、あまりにも似たテイストのネタだし、それほど長文でもなかったので、続けて借りてきて見た。やっぱ新作がリリースされると旧作にも多少はスポットが当たるね。すぐ見つかった。
※本数の差はあるけど。
まぁ30年も前の作品ということで、当然のように、「見ていようがいまいが」覚えてはいない。何一つ覚えてなさ過ぎだったので、これはたぶん見ていないということなのだろうなぁとは思ったけど、
個人的にはこちらの方がよかった。
評価で言えば★★★。まぁそれでも僕の好みではこんな感じ。
既に遙か昔の作品なので、ネタバレも差し込みつつの感想になるけど、とりあえずこの2作は、どちらから見ても普通に楽しめるように作られていた。時間にしてかなりの隔たりがあるから、表現的にこの言い回しはおかしいのかも知れないけど、「ファーストコンタクト(以下FC)」の方が、凄く無印をリスペクトして作っていたことがよくわかった。
例えば、エイリアンの入っていた氷漬けの塊。今の感覚で言えばあの直方体然としたビジュアルと、そこからまるで箱形の型を抜くように穴が空いていたのは、正直不自然だろうと思っていたのだけど、
要は無印にも全く同じ物が出ていたわけで。
建物の残骸にしても場面にしても、旧作と新作のつじつま合わせは本当に良く出来ていて、FCでしっかりフォローしてるディティールがある一方で、無印の(たぶん)アーマチュアで造り出されたクリーチャーの出来のよさにも感心させられる。正直ストップモーションアニメなので、動きのぎこちなさは否めないが、ヌメッとした質感や、グロさ爆発のデザイン、「出るぞ出るぞ」と思っているこちらの思惑から、ほんの少しタイミングをズラして出てくる構成などは、むしろというか、やはりというか、FCよりもずっと素晴らしい出来だった。
FCで違和感を感じた「食後の衣服」に関する点でもそれは感じた。
こちらでも同じように捕食するシーンはあるのだけど、一方で、人間に擬態した「それ」がそのままの形で「手」から同化するシーンもあった。こういう「血を流さずに同化、殺害することが出来る」という「解説」は、他の部分の違和感を上手いこと消してくれる。
また、擬態したエイリアンの挙動が無駄に人間っぽくなさ過ぎないのもいい。本作でも疑心暗鬼が大きなテーマのひとつになっているが、前作ほど「エイリアンがわざとらしくない」。というか、そもそもそれほど饒舌に会話をしない。だから、「実はそうでした」と言われたときに素直に「え?そいつ?」という感じになれたりもしたし、同時に「ああそう言えばあのシーンが伏線だったのか」と思ったりも出来た。地味なところだけど、FCを見ていて感じた手抜き感は、無印にはほとんどなかったんだよな。
ただ、全面的にFCを非難するわけでもない。というか、本作での「判定の仕方」が、あまりにも素晴らし過ぎたため、次作であるFCで同様のネタを「折り込み不可」になってしまっていたのだとわかったから。「金属はコピーできない」なんて、どこか安っぽいと思ったら、なるほどそういうわけだったのかって感じ。
最後の最後まで緊張感が途切れない演出と構成はとてもよかったと思うけど、だったらなんで評価が6点なのかと言えば、
そもそもそんなに面白い話じゃなかったから。
つじつま合わせや展開、緊張感の点ではよかったけど、やはりそもそも「人間に擬態してどうこう」という設定そのものにムリがある。ネタを料理する上での最善ではあったかも知れないけど、そもそもそのネタがイマイチだったって感じ。その点で大きく「エイリアン」に劣ってしまってると僕は思うんだよな。
あ、でも犬の演技は凄くよかったかな。この頃はまだCGで犬を描けなかったと思うんだけど、いやいやどうして、「擬態してる犬」が凄く「それっぽい演技」をしていたのは、見ていてむしろ感心した。「よく調教できてるなぁ」と。「いい顔させてるなぁ」と。途中でサラッと「犬なんてどうでもいい」みたいになっちゃうのは、ちょっともったいない気がしたけど。
※話の主題が人間に移っちゃうので。
でもよくわからないところもあるにはあるんだよな。医者がヘリや雪上車を壊したり、通信設備を使い物にならなくしたのは、このエリアを隔離して、世界に「それ」を広めない為だと思うんだけど、同時にこの人は「それ」でもあったわけで、だから部品を使ってUFOを作れたりしてたし、最後にそうであったことを明かしてくれたわけだけど、
いったいどのタイミングで「それになった」んだろ。
もしヘリを壊す段階で擬態されてたのなら、移動手段を無くす理由がよくわからない。自分でUFOを作るくらいだから、移動したくないわけじゃなかっただろうに、もし途中で主人公に言われるように、「あいつは冬眠すればいい」と本人も考えていたとしたら、UFOを作る理由がそもそもなくなってしまう。閉じ込められている間に擬態されたの?誰に?いつ?
あと最後の巨大なクリーチャーも「元は誰だったのか」よくわからない。発電機のあるフロアに降りていった時点で主人公含め3人いたわけだけど、元隊長がわざわざ声を出させないようにこっそりと引きずられて行ったあと、ど派手な登場をする意味がわからないし、爆弾片手に様子を見に行った人も、短時間であれほどまで変容できるとも思えない。そもそも出てきたのは犬の顔で、正直「え?なんで犬?」って思ったもの。あの爆発で医者を含めた3人の「それ候補生」が3人とも死んでないかも、と思わせるラストではあったけど、
個人的には最後に残った二人にももう少しブラックな一言が欲しかったかな
って感じ。例えば「俺は眠るだけだがな」とか。
※もしまぁホントにそう言ったら言ったで余計冷めちゃったのかもしれないけどさ。
ともかく、無印が好きだった人で、話を覚えているような濃いファンの方は、きっとFCも楽しめるだろうなって思った。で、もしFCを(無印を見ずに)見ようという人は、無印と同時に借りてきて、続けて見るのもいいんじゃないかな、とも思った。
どちらかひとつでも楽しめるとは思うけど(もちろんこういう映画が好きな人ね)、
両方とも摂取した方が、それぞれがより楽しめる
そんな作品だったな。スターウォーズのエピソードIIIとIVのつながりよりは、濃かったと思いますよ(^^。
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