密着!秋元康2160時間
BSプレミアムで放送された番組。
●Youku
http://v.youku.com/v_show/id_XNTEzNjAzMDIw.html
122分のNHK番組ともなると、実質的なボリュームで3時間以上はあるわけで、一気に見たけど、いやはや凄かった。
要はPV撮影の密着ドキュメントという体で撮られたものだったのだけど、その内側のシビアさ、スケジュールの過密さ、(たぶんだけど)AKBグループの「普通じゃなさ」がスゲェ伝わってくる出来で、
ファンならファンな分だけ楽しめると思った。
まとめんには「やっつけ仕事」とか「薄くなるのも無理ない」「1年に1作くらいにすればいい」みたいなマイナスの感想が数多く寄せられていたけど、僕的には全然そんなことはなくて、
やっぱそうだよな、
と。あれだけのクオリティのPVや楽曲をここまでハイペースにリリースし続けるってのは、やっぱ普通じゃ出来ないよな、と思った。そもそも、
AKBの楽曲の質は落ちてないし。
そりゃ確かに一番好きな曲はポニーテールとシュシュではあるけど、1年以内の曲でフックしたものがひとつもないわけでもないし、何度も書いてるけど、
ワンパターンをバッシングするバカはいつの時代にもいる。
実際番組内で撮影されたPVを全部見たワケじゃないけど、「じゃあ他の歌手のPVがどんだけいいんだ」って話。ギンガムカップリングの3曲はホントどれも良かったし、そのクオリティをここまで切りつめた期間内に量産するためには、ここまで多くの人間があり得ないタイムテーブルで仕事しなきゃいけないんだってわかっただけでも、僕的には凄く収穫だった。
スゲェ長いので見ない人が多いと思うから、ざっと説明すると、
まずPV撮影の日取りが決まるらしい。今回は、表題曲ではなく、カップリングの4曲、AKBそれぞれの曲と、アンダーガールズの曲の4曲を3日間連続で撮影するという。
漠然と思うことは、「ああその時にメンバーがそのロケ地へ行って、監督やスタッフを集めて、1日で一気に撮っちゃうんだろうな」ということなのだけど、
実際のところ、この時点では「メロディ」しか決まってない。
ビックリするのは、「メロディしか決まってない」こと。「そのメロディはPVを撮影する監督にも伝わっていなくて」、「当然のように歌詞も出来てない」上に、「振り付けもなく」、「世界観とかも全く白紙」。
メロディだけが決まってる状態で、PVの日取りが決められるのは、それだけメンバーのスケジュールが過密で、「そこしかない」からなのだけど、とにかく驚くのは、
PV撮影当日になっても歌詞がまだ上がってきてなかったりする事実。
「余裕を持って書けよ」なんてことは、当事者じゃないから言える話。自分が満足行くものを「出せる権利があり」「満足出来ないものを出したくない」人間には、余裕なんてものがあるなら「他の仕事に回す」だろうと思う。たかが「てにをは」を入れ替えるだけのことであっても、
スゲェ推敲したくなる気持ちはよくわかる。
誰がそれを評価するとかじゃないんだよね。「自分が評価したい」からだと思う。
でも、歌詞が出来てないということは、当然「メロディと歌詞がリンクしてない」わけで、「口の動き」も撮れない。PVで歌を歌わないドラマっぽいシーンが差し込まれるのは、
土壇場で変更された時の保険みたいなものだったりもする。
メンバーの誰ひとりいないレコーディングスタジオに仮歌が送られ、信頼に足る人間が、
※番組内で一番印象がよかった人「田中」さん。優しい感じで、絶対メンバーにも人気がありそう。つかちょっと好きになっちゃったし。
「メロディに歌詞を乗せる」。歌詞カード見ながら(画面に歌詞が表示されるのではなく)初めて聞いたカラオケを歌うような感じ。そしてそれを、
ずっと待機してる仮歌のお姉さんにすぐさま歌って貰ってレコーディング。
レコーディングが出来たら同じビルに居る「振り付け師」のお姉さんに届けられ、
※同時にやすすにも届けられる→概ね直しが入るが。
PV撮影当日の深夜3時頃振り付けが決まり、そのままロケ地へ3時間かけて移動。当然一切の振りを知らない状態で、仮歌の音源と歌詞は移動中のメンバーにも届けられ、「覚えられなくても歌えるようにする」
実際のPV時は、「輪唱」のように、歌詞をメンバーが復唱して歌う。
※この時はリップシンクだけで実際に「音を拾う」わけじゃないので、どんだけ雑音が入っていようと問題ないのだ。
番組では強く取り上げられなかったけど、たぶん振りに関しても、「1フレーズ単位で」とにかく「おどってるところだけを切り貼り」するんだと思う。よく「2日で覚えた」なんて話があるけど、実際そんなレベルじゃないもんね。「数時間もない」レベルで覚えられるわけがないし、「覚えられるかどうかなんて曖昧な状況は許されない」。それこそたぶん目の前で振り付けのお姉さんが左右対称の踊りを踊ってるんじゃないかとすら思う。
その間にもやすすから直しが入るたびに、レコーディングスタジオに仮歌のお姉さんが呼ばれたりスタンバイしてたりして、すぐさまリテイク。ちょっと面白いなって思ったのは、「A案」「B案」「C案」で直しの歌詞にも選択肢があったりするところ。仮歌を収録した段階で、さきほどの田中さんの一存で、「良いと思われるもの」にゴーサインが出され、PV撮影をしてるメンバーにその音源が届けられる。当然あとからやすすにダメ出しされることもあるわけだけど、要所要所で「やすすが監修してないパーツ」があるのは、ちょっと面白いというか、驚いた。
PVが全て撮影された、、、と言っても実際は3パターンくらい撮ったりもするらしく、時と場合によっては、
歌詞が上がってこなくて一切の撮影が中止になったりしたこともあるという。
恐ろしい。何人の時間が無駄になったのか、、、。でも一方では、それだけの無駄遣いをしてもなおAKBというコンテンツが回っていくようにお金が動いてるってことでもあるんだよな。
撮影後、編集されたものを見てまた「ダメ出し」や「付け足し」「改良」などがあったりもする。ほぼ同時進行で、今度はメンバーの歌収録。当然全員同時にスタジオ入りするわけもなく、多くても数人という感じで、かつ、
ほんのワンフレーズだけ録り直しのために呼ばれることも。
うろ覚えだけど、「自転車がゆっくり」を「静かに自転車が」にするだけでも呼ばれたりする、みたいな。
全員の歌が集まってトラックダウンというまぁマスターアップみたいな作業がされて、
まだそこでもちゃぶ台はひっくり返ることがある
ここまで来ると、ホントに発売されるのかって話なんだけど、AKBのシングルはたぶんほとんど遅れずにリリースされてるから、
本当に〆切をやすすが知ってる
ってことなのかも知れない。
スタッフに話すやすすはホントに本気で怖くて、AKB49で描かれる戸ヶ崎支配人レベルの迫力がある。でもだからこそ褒められると「ものすごく」嬉しいみたいで、
※今回「夕陽マリー」の監督が褒められてて、「嬉しさを必死に押し殺してる」感じがめちゃ伝わってきてニヤリとしてしまった。
「ああクリエイティブって大変だな」って思った。
AKBグループのシングルは、国内だけでたぶん10枚以上リリースされると思うのだけど、当然今回入ってなかった表題曲の撮影もあるわけだから、実に50日以上が「こんな感じ」なのかと思うと、ホントにゾッとするというか、凄いなぁと思う。公演もやり、コンサートもやり、握手会も、テレビや雑誌やラジオの収録もあり、時にはPV撮影で海外に行くこともあるだろうし、番組内では「公演」ならぬ「講演」をしてるシーンもあった。
「あんまり寝なくても大丈夫だから」
とは言ってたけど、この人、家族と話したりする時間とかあんのかな、、、とも。
でもそんなやすすだからこそ、スタッフみんなが腐らずじっとガマンして「(歌詞が)上がってくるのを待ってる」んだろうな、とも思った。「催促してもはじまらない」。秋元康は手塚治虫じゃないから、担当がときわ荘に何人も詰めてイライラしたり泣きついたりはしない。
※ヒリヒリしたりヒヤヒヤしたりはしてるけど。
まとめんで多くの視聴者が「面白かった」と絶賛していたので、楽しみに期待しながら見たけど、正直「思っていた面白さ」とはちょっと違ってた。でも、自分の知らなかった世界が見えるというのは、「別の面白さ」があったって感じかな。
高井麻巳子が「秋元康のことが好きで自分から告白した」というのは有名な話だけど、実際番組見てて、
AKBグループのメンバーにもやすすのことが好きな人とかいるだろうなって思った。
スゲェどん欲で、前向きで、でも自信過剰ってのとはちょっと違って、常に変化と驚きを大事にしてて、、、。
ガチで「男は中身」って思ってる女性からしてみたら、秋元康って男は、かなり「イイ男」なんじゃないかって思う。有言実行、即断即決。
番組終盤一緒に仕事をしようと、海外のパフォーマンス集団のリーダーと話をした際、
秋元 「お互いの意見がぶつかるようなら、それは捨てよう」
先方 「わかった」
というやりとも、「かっこええ!」って思ったな。自分が絶対イイと思ってることでも、相手が絶対ダメって思ってるかも知れないし、二人で満足のいくものを作ろうとするなら、そういう約束事って大事だよな、って。
でも一方で、「厄払い」みたいなことも普通にやるんだよな。まぁ周囲に対するアピールみたいなモンなのかも知れないけどさ。
・・・
今日と明日は仕事が休み。かみさんと長男の誕生日が間近だけど、プレゼントが決まってない。5000円前後で何かないかな~。
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