プロメテウス
評判が悪くてずっと見るのを先送りにしていたのだけど、何となく「そういう気分」になったので見た。判断に迷う部分もなくはないが、
クリス的には★★★
まんざらでもなかったというのが正直なところ。
「プロメテウス」は同監督作である「エイリアン」の前日箪だ。詳しくは物語がつまんなくなりそうだったので調べなかったが、とりあえず、
エイリアンっぽい話だ。
人間の起源とか、遺跡がどうとかの「ストーリー的な骨子」はともかく、見る側は間違いなく「ソレ」を期待する。だから結果「ソレ」の出来が良くなければ裏切られたと感じるだろうし、「ソレ」が期待通りなら映画に対する印象は良くなる。
だが幸いにして僕はこの映画の「評価が低い」ことを知った状態で見ることが出来た。この映画の評価が低い、ということは、つまりは「ソレに対する期待は裏切られる」ということを指す。要するに、
エイリアンを期待して見てはダメだということだ。
では何を期待して見るのかという話になるのだが、
実は何も期待してなかった。
「評判が良くない」知識だけあって見る映画に、何を期待するのかって話。ただ、その「期待しない心構え」を差し引いても、
メカや世界観、ディティールの構築はかなり素晴らしいものがあった。
一見人間に見える冒頭の宇宙人にしても、散見される生物にしても、
CGなんだろうけどCGっぽさを(少なくとも僕には)全く感じさせなかった。
完全なミニチュアやアーマチュアを作って動かしたとしたら、その動きのなめらかさは特筆ものだし、CGだとしたらその光沢や表面処理が特筆もの。
派手な戦闘メカや重火器は出てこないし、車も普通、宇宙服なんてちょっと軽装すぎやしないかというくらいシンプルなものだが、エアロックやコールドスリープ装置、今回登場する医療機器のデザインや「仕上げ」はとっても綺麗で、在りし日のエイリアンをしっかり思い出すことが出来た。これは関連性のある物語を作り上げる上で不可欠なことではあるが、やっぱりそう言う細かなことをしっかりやってくれているのは嬉しい。
話の筋として(ネタバレになるけど)、なぜエイリアンが人型になったのかの説明が大きく欠如してるのが気になったと言えば気になったが、まぁそういうものとして割り切るべきなのかな、とも思った。
いや、
気になったのはそれだけじゃないな。主人公の恋人が一旦派手に焼き殺されたかと思ったら実は生きてた、が再度焼き殺すというのもなんだかおかしな話だし、
※銃による同時攻撃はあったにせよ。
完全に人間に対して敵対行動を取ったのもイマイチよくわからない。ルックスに最終的なエイリアンとの共通点が全くなかったのも違和感が残るし、そもそも人類とDNAが同じ異星人が摂取した黒くて気持ち悪い物質と同じなら、恋人も同じようにからだが黒くボロボロになってしまうのではないのか。違うんなら何がどう違うのかの説明が欲しかったし。
ただひとりの生存者が、なぜ地球を目指したのかもイマイチよくわからない。他のメンツは「思ったより悪質」だったエイリアン型ウイルス兵器に皆殺しにされ、脱出すら試みたというのに、なんでただひとりになってなお地球を目指すのか。宇宙船の規模からしても、母性がすでにないというのも考えにくい。それに最後主人公を殺しに来る理由もよくわからない。まさに、
「なんで人間を作ったのに、それをまた抹殺しようとするの?」<劇中のセリフ。
って感じだ。主人公は最後異星人の母性を目指して飛び立つが、これは単に続編を作りやすくするためのお膳立てに過ぎないだろう。つかそれより気になったのは、
「エイリアン」のオープニングで操縦席に座ったまま死んでいた異星人は、本作で主人公のいるポッドまで来て、本作の異生物に殺されている。
ということだ。いくら異星人でも腹の中から自分と同じくらいの大きさのエイリアンが出てきたら、生きてはいられないだろうに。それともあの「エイリアン」の異星人の船は、本作のそれとは別のものだったの?それにしては本作の最後に「この通信を受けてもここには来ないで」なんて言わないだろう。あれは「発信源を特定することが出来た」というフラグでもあったわけだから、見つけた宇宙船=この宇宙船だと考えるのが自然なはずだ。
まぁ「エイリアン」の中で、本作に出てきた筒状の「ウイルス保存容器」が全く出てこなかったことを強引に関連づけるとするなら、本作の最後に出てきたクイーンが食べ物を探してこの星にある別の宇宙船を探し、そこに巣を作った=そっちには卵はあるけど筒はないってことにしたのかな。それでも電波の発信源はそっちじゃないわけで、、、クイーンがそれともども移動したとも考えにくいと思うし、、、。
でもそれもこれも、
想像したり関連づけたりするのを楽しませようという意図だったのかも、とも思う。
そのくらい「エイリアン」と「プロメテウス」は関連が「良い意味で曖昧」で、「遊星からの物体X」の旧作、新作の関係とは違う感じがした。何もかもが旧作で明確化されてたわけじゃないわけで。
※僕がさっきから言ってる「地球への通信」だって、既に異星人の宇宙船に乗ってから発信されたものだったかも知れないし→だとしたらその位置はこの物語の舞台となった地点とは別の場所ってことになる。
うーん「エイリアン」が凄く好きな人と一緒に見たかったな~。っていうか僕の身の回りに「エイリアンが好きな人」なんていないんだよな(^^;。
そうそう余談だけど、本作に主人公に次いで出まくってるロボット「デビッド」が、X-MENファーストジェネレーションのマグニートーだったのはちょっとテンション上がった。「知り合い」というのもおかしな話だけど、やっぱり見たことがある俳優の方が親しみが沸く。ましてやその役がかっこよかったりすればなおのことだ。
でも逆に、主人公エリザベス役をやった女優さんはイマイチ。シガニー・ウィーバーだって初代エイリアンの頃から有名女優だったわけじゃないだろうけど、でもやっぱりそこと比べてしまう。その結果、
もうちょっと迫力のある人がやるべきだっただろう
って思った。正直プロジェクトリーダー役の女性の方が迫力満点で、主人公はともすれば他のメンツと勘違いしてしまいそうなくらい影が薄かったから。もっとも誰が適任かって言われたら答えに窮する部分ではあるのだけど。
※でも遊星からの物体X(新作のほう)のヒロインにはその迫力があった気がしたな。まぁ同類作品だから出すのは難しかっただろうけど。
気付いたら結構感想書いてる。でもまぁそういう「言いたいことがたくさんある」映画だったからこそ、冒頭にも書いたように評価が★★★になったんだけどさ。
まだ何か書き忘れたことがあったような気がしたなぁと思ったら思い出した。タイトルの「プロメテウス」は、本作の宇宙船の名前なのだけど、やっぱりそれには違和感があった。むしろ「種の起源」みたいな、人類の種の起源とエイリアンの種の起源両方を意味するワードの方がよかった気がする。ただ、「種の起源」そのものはスピーシーズの副題でも使われちゃってるわけで、ましてやスピーシーズはエイリアンの二番煎じ作品だったわけで、、、。オリジナルのプライドとしては「使えない言葉」だったのかもね。
本作の一番の名場面もまた、エイリアンと同じく、腹から出てくるところだったかも知れないな。まぁ「出てき方」は全然違ってたけど。
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