クリスマスソングについて思うこと
「商業ロック」という言葉を聞いて以来、「なるほど確かにこれは商業ロック=商売としての音楽だ」と思うことが多くなった。今年も自店の有線からは、それっぽいクリスマスソングが流れているが、それなども、
全部商業ロックだよな・・・
と思ったり。
だがちょっと待て。オマエは高校生の頃、そんな商売の結晶、カタマリ、具現化であるところの、クリスマスソングを、これでもかと愛し、聴き続けてきたのではないか。あまつさえマイフェイバリットベスト的な1本のカセットテープを、ダビングを繰り返し作ったりしていたのではないか。
そもそも「商業ロック」とはなんなのか。「ロック=反体制」。そもそもロックンロールというジャンルは、それまでにあったものを壊す、アイデンティティの叫び声として産声を上げた、、、気がする。だが実際のところ、僕が中高生と耳にしたロック、およびブルーハーツに代表されるパンクロックは、むしろ耳馴染みのいい、メロディアスな物が主体だった。レベッカしかり、ボウイしかり。
※ボウイに関しては特に僕が好んで聞いていた楽曲が、ってことにはなるけど。
そして、日本で当時ロックバンドを結成したあまたの野郎どもはすべからく、
モテるためにギターやベースを奏でていたはずだ。
「モテるため」とはつまりは「ニーズに傾倒する」ことと同義。つまりそれこそが「商業ロック」のルーツであり、もっと言ってしまえば、
商業ロックにあらざるロックンロールなど、日本にはほとんど存在しない。
ひとりで部屋にこもってつぶやくように呪詛を繰り返す、それこそがリアルなロックンロールなんだ!なんてことは、今さらだれも口にしたりしないし、まぁそれはそれで何か大きな勘違いをしてる気もする。
となれば、11月の終わりから12月の終わりに掛けて街を賑わすクリスマスソングもまた、
すべからく商業ロックでありつつも、すべからく「普通」である
とも言えるだろう。恋人同士が雰囲気を盛り上げるBGMも、ひとり寂しく体操座りをして部屋の灯りを消すのも、どちらもニーズに沿った曲作りであり、実際に、
自分が求めていたモノ
だったわけだ。まぁ恋人同士で聴いたという過去履歴は僕に存在しなかったりはするが。
ただ、そんな過去の思い出を十分噛みしめ理解した上でなお、今僕が耳にするクリスマスソングに対する違和感というか、
気持ちの乗らなさ加減は、一体何だ。
聴いても聴いても入ってこない薄っぺらなフレーズと、感動も寂寥もないシチュエーション&セリフの数々。
今の人はこれでフックしてるんだろうか。今の若い衆はみんなこの曲このメロディでボルテージを上昇させ、それが一方通行であれ、インタラクティブであれ、コミュニケーションを図りまくっていたりするのだろうか。
もしそうなら、大概オレも歳を取ったってことになるよな・・・
中身は「中二」と口にはしていても、その感性は既にジジイのそれということなのか。
でも、
それにしては最近のクリスマスソングで爆発的に目、耳にするものはないのではないか。山下達郎や松任谷由実クラスとはいかないまでも、その年を代表するクリスマスソングの一つや二つはあっても不思議ない気がする。常日頃からラジオやテレビを見る絶対時間が少なくなっては来ているものの、それでも本当にヘビーローテーションされる曲は、イヤでも耳に入ってくるもの、そんな気がする。
つか、クリスマスって飽きられてきてるよな。
10年くらい前はクリスマスのデコレーションやら何やらが、もっと今より盛り上がっていて、ツリーとか店先に飾ってる店も(ウチを含めて)たくさんあった気がするのに、今って別段そういう感じがしない。子供が大きくなったとか、特にゲーム業界が盛り下がってしまっているとか、いろんな要因はあるだろうけど、
今さら感がにじみ出てる気もするんだよな。
だからこそ余計に、「商業ロックとしてのクリスマスソング」のニーズもより薄っぺらになり、魂のこもった名曲が生まれにくくなってきているのかな、と。ロマンスの神様とか、当時は当時でヒットしたけど、今リリースされても、そこそこ注目される気はするんだよな。楽曲の持つ力みたいなので。
正直AKBやエグザイルがマイナスに作用してる感は否めない。商売として年間回していく、優良コンテンツを維持するためにリソースの配分が計算高くなる。数売れるCDには良曲を回すが、季節的にクリスマスの商売は、AKBやエグザイルには不向き=季節外れなのかも、とも思う。
やっぱりクリスマスってのは「ひとりのものじゃない」気がするんだよな。
まぁエグザイルのファンがAKBほど「ぼっち」であるとは思わないけど。
結局何が言いたかったのかというと、
例え商売の道具だとしても、自分にフックするような「いい感じの」クリスマスソングが欲しいよな。
って話。
有線でダウンタウン浜田のチキンライスの歌が掛かってるのを聴くと、正直何とも言えない「カチンと来る」感じがする。自分が貧乏だからなのかとも思うが、どっちかと言えば、同じ槇原敬之の「冬がはじまるよ」の方が、しっくり来る感じがしちゃうんだよな~。ジジイの戯れ言なのかも、だけど。
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